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咲希 ―Saku―  作者: エンシェント守岡
9/11

闇の勢力!?

 恐ろしく高い階層にある校長室へあたしはたどり着いた。

 その階層は300階にある最上階、ジョンナム専門学校のマン・ネーン校長の部屋だ。


 重い銅でできている扉がラスボスかのような雰囲気を醸し出している。

 その扉には「オマナグリテ」と書かれれている呪術が刻まれており、扉に近づいたジョンナム生徒をバラバラにしてしまう呪いがかけられていた。


「フン、その程度の罠かかるワケないでしょ。」


 あたしはポケットからツールマキオニー・グレンジャーのようにボーリング玉を出し、解呪の呪文を唱えた。


「オマエヲナグリテ。」(ツールマキオニーのように唱える。)


 ドォン!!という大きな音を立てて銅の扉が壊された。

 砂埃が舞い、そこにはうっすらとマン・ネーン校長の姿が見えた。


「ほう、よく俺の罠を突破したな。」

「あたりまえよ、上田かみだ先生の闇の魔術に対抗する防衛術を受けてますから。

 それにその正しい呪術は『オマエヲナグリテ』。マン・ネーン校長のは『オマナグリテッ』よ。」

「よくも俺の闇の魔術をバカにしてくれたな…」プルプル


 どうやら、バカにされたことが気に障ったようだ。

 ピキピキとその若干歳のいった顔に血管が浮き出ているのが分かる。


「お前…なめてるだろ。」

「先生、あたしなめてません。 話をしに来ただけですから。」

「ふん、まぁいい。 どうせお前らの部活ももう終わりだからな。」

「…え? 今なんとおっしゃいましたか先生?」

「お前らの十柱戯部は廃部だといったんだ。」

「なんですって!?」


 十柱戯部が廃部!? 聞いてないわそんな話!

 まさか。 マン・ネーン校長の虚言に違いない。


「先生、理由もなく廃部にはできませんし、それにあたしたちはもう数日後にはテメェ杯に出場しますから。」

「廃部に理由? ああ、あるさ理由なら。」


 廃部になる原因? あたしはまだこの部のことを全然知らないようだ。

 あたしは恐る恐るマン・ネーン校長の話を聞いた。


「お前らな、下の階の鉄道サークルから苦情が来てるんだ。『アタシノセカイッ!』っていう声がうるさいってな」

「なんですって!? あのキモオタゴミブス糞メガネの何の生産性もない鉄道サークルから苦情ですって?」


 そういうとまたマン・ネーン校長は顔をピキらせながら話をつづけた。


「鉄道サークルはなぁ! 時刻表を眺めたり鉄道の写真を撮ったりして有意義なんだぞ!! アアァアアア!!!」





 ―――――――――殺気。




「呪術!『チカラガ・オサエラレネ』ッ!!!!」


 ダンッ!と教卓を叩くとそこから闇属性のマン・ネーンの右腕が魔法陣から飛び出してきた。

 (ベヨネ〇タの横スマみたいな感じ。)

 あたしはとっさにカバンからマイボールを出すと、あたしも技を唱えた。


「アタシノセカイッ!!」


 ボールを投球する反動で横に90度回転し、マン・ネーンのチカラガ・オサエラレネを回避した。


「ほう、自身の技でチカラガ・オサエラレネをかわすとは。 これをかわしたのはお前が初めてだ、咲希。

 さすがは継承されし、血の力だ。」

「継承…なんですって?」

「いや、何でもない…。」


 意味深にマン・ネーン校長が不敵な笑みを浮かべる。

 まるで何かを知っている、そう言っているようだ。


「お前、テメェ杯に出るって言っていたな。」

「そうよ、それが何か。」

「次のテメェ杯で優勝したら、廃部はなかったことにしてやる。だが、優勝しなかった場合はわかってるな。」

「フン、言われなくても余裕ですけど。」

「そうか、ならばあがくがいいさ。せいぜいあの御方の邪魔はしないようにな。」

「あの御方ですって?」


 そういうとまたマン・ネーン校長はピキった。


「アアアアアァアアアアッ!!!! 『チカラガ・オサエラレネ』!!!!!」

「…ッ! しまったッ!」


 とっさのクイック攻撃。あたしの放ったマイボールはすでに10メートル先にある。

 …アタシノセカイは使えない!! ぶつかる!!


 そう考えた、その瞬間だった。誰かがあたしの目の前に来て、ボールを止めたのだ。


「…マン・ネーン校長先生、少し生徒に対して暴力的すぎるんじゃないですか? ンホッホッホッ」

「あ、あなたは…!?」


 黒いその制服は神父のような恰好、首には十字架を掲げており、いかにもミステリアスな雰囲気だ。

 この人は確か…同じクラスの…? アノマス・アヴァ=ヤッテマス…!?


「俺言わなかったか? その力を無駄に使うなと。お前ヌーヴか?」

「はっ…!?申し訳ございません! アノマス様!!」

「お前分かってないみたいだな。ホッホ。」


 そういうとアノマスはマン・ネーン校長の首根っこをつかみ宙へ掲げた。

 マンネーンは苦しそうに悶えている。


「が…ま…ッ!!」

「じじい、俺に負けた罰だ。オホッホッホ。」


 そういうとより一層アノマスの力が強まっていった。

 一体、何が起こっているっていうの!?


「…見世物じゃないんだけど。お前ヌーヴか?」

「…はっ!?」


 マン・ネーン校長は拘束されている。

 逃げるなら今しかなかった。


 あたしはとっさにマイボールを拾い、300階の窓から身を乗り出した。

 そしてあたしは地上まで残り100メートル程度でアタシノセカイの反動で着地した。


 その放ったボールはまた勇利にあたっていた。

 勇利は動かなくなっていた。



 …早く、早く部の皆に知らせなきゃ!!

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