一触即発、部内で模擬戦!
…大会まであと3日。
私たちは大会に向けて最後の仕上げを行っていた。
「本日は、お互いの弱点を知るために模擬戦を行いますわよ。」
「モギセン…デスカ。」
「楽しそうだにぃ! チーム分けはどうするんだに?」
「あっ、それならいいものが…!」
私はポケットからデヤデヤコミック9月号の付録、
『一発逆転だでや!激アツルーレット』を取り出した。
「コレハ…デヤコミ9ガツゴウノフロク…デスネ。」
「まぁ…なんですの、これは。」
夢実部長はまるで異国の壁画でも見るような目でルーレットを眺めている。
これは人工知能"DADEYA"を搭載した特殊なルーレットだ。
発売元の株式会社弦巻カラアゲソリューションズは社長がヴァンギラスだということが知れて
あっという間に倒産したことで有名ね。オイッ
※ヴァンギラス…社員に筋トレをせがむ社風のこと。
「まぁ、言ってしまえば普通のルーレットよ。 あたしはよく使ってるんだ。」
私は早速4人の部員の名前をルーレットに登録し、
電源のスイッチを入れた。(単4電池2本使用。)
起動中の画面には唐揚げが少しかじられた会社のロゴが移っている。
「面白そうだにぃ! 私がルーレット回したいにぃ!」
るいなはとても興味津々だ。
回したがっていたのであたしはるいなにルーレットのボタンを押させた。
『激アツルーレット開始だデヤ!』
ルーレットからいつも聞きなれた音声が流れる。
「まぁ、全然普通じゃありませんわよ!」
「…トリアエズ、ケッカガドウナルカタノシミデスネ…」
デヤデヤデヤデヤデヤデヤ…と音を立てて回るルーレットを部員でただひたすらに眺める。
一向に止まる気配のないルーレットが突如として止まった。
るいなと書かれた矢印は天上と書かれたマスに止まっている。
『るいなは天上チームに決定だデヤ。』
「わーい! よくわからないけど天上チームだにぃ!」
「ホントニヨクワカリマセンネ…」
「え~、あたしはわかるんだけどなぁ。」
とりあえず、時間も若干アレなので一人ずつルーレットを回していく
『エリナは激熱チームだデヤ。』
『夢実は天上チームだデヤ。』
『咲希は激熱チームだデヤ。』
「なるほど、こういうチームの決め方もありますのね。」
「たまにはこういうのもアリだにぃ!」
ルーレットが終わり、電源を消そうとした時だった。
『今日の一句だデヤ。』
『シケモクを 吸いに今日も 喫煙所』
「…なんですの、シケモクって。」
「ああ、これは"DADEYA"が適当な単語を学習して勝手に一句読んでくれるのよ。
まぁ、ほとんどは適当な羅列だからあたしは意味が分からないけどね。」
『今日も元気に激熱だデヤ。』
というとプッツーンと電源が切れてしまった。
すっかり話が一発逆転だでや!激アツルーレットに持ってかれてしまったが、
チーム分けとしては、るいなと夢美部長が天上チーム。
あたしとエリナは激熱チーム。
つまり、同じチーム同士になったものが今回は模擬戦を行うことになる。
「つまり、あたしの相手はエリナってことね。」
「フフフ、ブトウサン…テカゲンハナシデスヨ。」
というと不敵な笑みを浮かべた。
「当然よ! あたしも負けるわけにはいかないからね!」