第七話 生徒と先生
俺は2年2組の担任の海藤飛鳥だ。
話は少し、いやかなりさかのぼる。
うちのクラスは平凡で、特に目立ったこともなかった。別にそれが嫌なわけではないがあんまり面白くないのも事実。
まぁうるさすぎるのも困り者だが、もう少し刺激があってもいいと思う。
例えば1組のようなね。なにもかも完璧な勝ち組の蒼真君や、学年一の問題児の雄二君。学年一の秀才の優香さんとオールスターだなあれ。
改めて溜め息をつく。
どうせ今日もなんも起きねぇんだろうなぁと思いながら学校へ向かう。
「はぁー、俺絶対就く職間違えたわぁ・・・残業多いし、夜まで色々作らなきゃだし。めんどいわぁ・・・ファンタジーの世界みたいに異世界にでも飛ばしてもらいたいわほんまに・・・炎とかさ?ボウッと―――」
ボウッ!
炎が出た。目の前で開いた手から。燃え盛っているし、熱い。偽物ではないし、いたずらとは思えない。
「は!?」
何が怒ってるのかわからないが、とにかくこれは近所の人などに見られたらまずい!
「よくわかんないけど、消えろ!」
消えた。なんなんだ・・・
「ちょっとだけ燃えろ・・・?」
ポッ
小さな火がでた。ろうそくくらいの。
「いや・・・え?俺魔法使いになっちゃったのか!?」
頬をぶっ叩いてみるが、
「いってぇぇぇえ!」
夢じゃなさそうだ。
な、なにが起こってるんだ?
とにかくこの事は秘密にして、学校へ向かおう・・・
秘密にして・・・?
目の前では、昨日まで静かでつまらなかったクラスの面影は全くない。
なぜなら今、目の前では魔法バトルが勃発しているからだ。
炎が飛び交い、雷が落ち、氷の結晶がぶつかり合う。バリアのような物を使ってるやつもいれば風の刃を飛ばしてるやつもいる。
どうなってんだ・・・?
「静かにしなさいぃぃひ!?」
目の前に火炎弾が飛んできた。
ギリギリで避けるが、耳にかすったところが物凄く熱い。これであの炎は本物だと確信した。
な!?倒れてる人もいるじゃないか!
慌てて近寄り保健室に連れていく。
「お、おい!落ち着けお前ら!」
チャイムが響く。
しかし全くやめない。
「黙ってりゃ調子に乗りやがって・・・!」
一番暴れているやつに火炎大魔球を最大出力で放つ。
「「「「「!?!?」」」」」
クラスが騒然としている。
ドゴォォォオ!と教室が崩れる。
「あ!やべ!」
もう遅い。学校全体が崩れる。
あばばばば・・・
と思ったが、回りのクラスも同じだったようだ。
すでに学校がなかった。
もう訳がわからない・・・
校長先生が腰を抜かしながら、壁のない校長室のソファーに倒れている。
外に出たにも関わらず、学年関係無しに潰しあっている。
もう逃げたくなって、家にこっそり帰った。
テレビをつけると、そこでは首相が緊急会見を開いていた。理由は言うまでもないだろう。
『えー、突如発生した謎の元素。これによる影響だと思われます。』
『魔法、とはあくまで夢のようなものだと思われていましたが、それについてはどのように思いますか?』
『それについては有力な科学者たちにどのような原理で起きているのか、現在研究が進められています。』
『魔法は誰でも使えるのですか?』
『研究の結果を待つしかありませんが、少なからず使える人は多いと思われます。私も使えます。』
『なるほど。では魔法による事件やテロ等の可能性についてはどのようにお考えですか?』
『それについては、自衛隊にも魔法特殊部隊(仮)を取り入れる予定です。』
『なるほど。』
というような会見だった。
また、海外でも魔法が使えるらしい。
「訳がわからないな・・・」
それが俺の本心だった。
次回も気長にお待ちください!