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〜23〜 ふたりの森行きさんぽ道⑥

「ここから件の騎士団残党がいるあたりまで、大体半日もしないくらいってのも昨日のうちに聞いたし、少し食休めしたら行こうか。道具も計画も、なんなら殺る気もある。ならどうとでもなるよ」


ジドは出していた火薬の詰まった革袋を道具袋に入れて、あと一口に残った朝食を一息に口に放り込み、ゆっくりと味わうように噛み締めてごくん、と飲み込む。


「ん、ご馳走さま。リリスのも一緒に持ってくよ」


「ええ、ならお願いします」


ぱんっ、と手を叩くように勢いよく手をあわせ、さっさと空になった食器とトレーとを重ねて回収棚へ片付ける。

ジドは妙にせかせかしている。


「どうしました?なんか慌ただしくないですか?」


「やる事が多いからね。早く行って現場の下見に行きたいんだ。僕は正面から戦わない盗賊職だ。だからこそ、武器や防具はもちろん、時も場も、なんなら仕掛け方もこだわる。こだわらなきゃいけない。ほんと、非力なのが嫌んなるヨ」


「徹底するんですね、その辺」


「当たり前さ。僕は武人でもないし、高貴な人間でもない。ちょっと意地が悪い盗賊なんだ。殺しなんて面倒だからやりたくないし、でも殺らなきゃいけないならそれは殺し合いなんて馬鹿らしくてやりたくない。もしやるのは一方的な殺しだ。ここは肝に命ずるようにね」


ジドは出発前の身支度を整えながら、横目でキシシといつものように意地悪に笑っていた。


ーこの顔だ。

ジドは殺したくない、殺しなんて面倒だ、なんて言うけど殺しの計画を私に話すときの顔は至って楽しそうだ。

この男は、私に恩があるなんて言って私と一緒に冒険をするがやはりこの男の心がいまいち読めない。私達の利益、というより私に面倒を追っかぶせるような事はしないと思うけど、なればこそわからない。ジドは本当は何をしたいのか。どうして私に構うのか。場合によって、本当に究極的にはこの男を殺さなくてはいけないのかもしれない。信頼はしても信用は出来ない。ー


「ええ、分かりました。では程々に休んで出発しましょう目的地はどこって聞いてます?」


「聞いたあたりだと亜人たちの村のある近くの森って聞いてるよ」

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