~21~ ふたりの森行きさんぽ道④
頭にはてなマークを浮かべたようなきょとんとした顔で、僕の手にある道具袋を彼女は見つめている。
道具袋の大きさ、まぁ前の世界の基準なら小振りなリュック程もないような小さなサイズであり、肩からかけることができるように一応の紐がついてる。簡素なリュックのというような道具袋だ。
少し丈夫な素材でできている以外、外見的な特徴は特段にあるわけでもない。普通の布袋だ。
「まぁ、こいつを見てくれよ。たぶん納得するから」
そういって、道具袋を膝の上に置いて、紐を解いて袋を開く。そこにぐいっと手を突っ込む。
そんなにものが入るように見えない道具袋でジドはせわしなく、あれでもないこれでもない、とゴソゴソと何かを探すように腕をかき回していた。
「お、このサイズにこの重さだ。よっ」
ジドが目当てのものを見つけたのか袋からなにかを取り出そうとぐぐっと力を入れて、重いものでも引っ張りあげようとしているのか、何かを掴むとせーの、とタメを作って勢いで袋からそれを引っ張り上げる。
「えっ?」
リリスが思わず驚きの声を上げていた。
袋から出てきたそれを見てだ。それなりのサイズがあり、およそ小さな革袋に入るとも思えないクロスボウが出てきた。
「びっくりでしょ?コレ。この革袋、どうやら口を開いて先端だけでも覆えるなら、どういう理屈かどんなものでも入っちまうんだよネ」
ジドはそういって、もう一丁袋から同じ型のクロスボウを取り出す。
「しかも中は無限みたいなひろさがあるのか、どんなにしまってもいっぱいにならない。僕の道具作成で作った大型クロスボウがあと198丁ほどまだ入ってる」
「…奇術の類いじゃないんですよね?」
「ああ。いくらでも仕舞えて、好きなときに取り出せるそういう魔法の道具袋さ。ただ欠点もあって、好きなときに出せるから中にしまった生き物は普通に出てくる。このまえ試した。」
「なるほど。それで改めてそれを使ってどうやって騎士団を倒すつもりで?」
「前も言ったけどね、今回は準備をする時間がそれなりにあるね?そんでこの道具袋は材料も道具もどれだけでも詰めていける。その気になればこのリュックで城でも建てれるほどの石材だって積めるかもしれない。なら一個の騎士団くらい鴨撃ちなんかより簡単に終わらせてみせるサ」
そういってジドはキシシ、と意地悪そうに笑った。
「敵は洞窟にいて、拠点にしてるらしいんだろ?ならそこが奴らの家で要塞ってわけだ。なら答えはシンプルだよな。そこを丸ごと墓場にしてやりゃいい。」




