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〜44〜 これから②

「えっ、ちょっと」


まってくれ。

そんな言葉が出かける。

今僕は、間違いなく突然されたら衝撃びっくりの告白をしたはずだ。もしくは呆れて取り合わないような信じられないタイプのものだ。だってのにまるでそれを別に珍しくもない、なんて反応されてはこちらだ反応に困ってしまう。

だが、ここは気を取り直して話を進めなければ。


「転生して僕はこの世界に来た。もしかして、神馬のロイドもそうだったけど珍しくない事なの?」


「いえ、それ自体は珍しいですがよくある事みたいです。まさか私のところにきたちょっとお調子者な盗賊がそうだった、なんて思わなかったもので」


「つまり、どういうことなのさ?」


「よくある、事なのです。異世界から人であれ、物であれが浜辺に打ち上がる漂着物のように流れ着くという事はよくある事なんですよ。」


がーん、だ。

こういう異世界転生ってのはなにか特別な資格とか、能力とか人にはない何かを持っている人間だけが選ばれて来ているものと思ったのに、珍しくない、と言われるとちょっとがっかりしてしまった。


「…ただ、私のような不死者を好んでパーティーに誘うような貴方は、どこか他人とは違う、いえ意識がどこかズレているんだと思います。それに助けられて、ありがたかったですよ。」


そう言って、どこか安心したような顔をこちらに見せて寂しそうにティリアは微笑んだ。

まぁたしかにそうといえばそうだ。

僕は彼女とパーティーを組み、彼女と冒険を共にしていく。それ自体がある種の巡り合わせ、不思議で数奇な運命だったのかもしれない。そう思えば自分の転生がちょっとは特別なものとも思えるだろうか。


「思った展開とは違ったけどこれが僕の伝えたい大事な話の二つ目。僕の名前と出自についてサ。でもってこれから話すことも大事な話で、これが三つ目。いっちゃん大事な話って訳なのさ」


言いながらジドはどんぶりを持ち、ホルモン丼を一気にかっ込んでいく。


「あっ、これうまっ!うまあっ!」


ガツガツとかっこんでいく。

もともと甘辛い味噌ダレが白飯に抜群にあう。そこに上質なあまささえ感じるような脂と柔らかすぎるホルモンのダブルの旨味が口いっぱいに広がり、喉を通りすぎるたびに幸せでいっぱいになる。

元の世界で食った上モノのホルモンのような旨さがそこにあった。

てかうまい。うめえ!


「ちょっと、話の途中ですよ。気になるじゃないですか。大事な三つ目の話ってなんですか?」


人タンのコンソメスープで口の中を一気に流し込み、口の中をからにする。

こいつもうまい。一気に流し込んだが野菜の甘みと、に肉の独特な風味に舌鼓を打つ。


「あ、これもうまぁ!まじかよあのマスターなに作らせても最高に旨すぎるな。また頼まなきゃ。」


「ジド。気になるって言ってるんですが」


「ごめん、ごめん、じゃあちょっと真面目に。」


一度どんぶりをテーブルに置き、一呼吸ついて、改めて向き直る。


「君の復讐と、君の本名について、それと僕らのこれからの行動指針についてサ」

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