~3~ 少女
街の様子をあるきながら見てみる。改めて賑やかな市場通りだ。
「いらっしゃーい!羽ウサギの新鮮な肉あるぜー!やすくしとくから見てってよー!」
「とどいたばっかの新鮮な魚もありまっせー!よってけよってけ!」
「産地から届いたばっかの野菜だー!お買い得だぜー!」
活力に満ちた人びとで賑わい、客寄せの声なんかも声高に響いている。
ここは大きな街だ。
雰囲気は明るいし、実際に店先に並んでる商品の鮮度がよすぎる。
そういった質の良い商品が高品度で出回るのはこの街の重要度が高い、つまりこの街がどこかこの街より上の権限をもってるところから大事に思われ優先されて品が回されてきているということだろう。あのダンジョンのおかげなんだろうか。
「いやっ!助けて!誰か!誰か!」
女の子の悲鳴が聞こえた。直ぐ側のうす暗い裏路地からだ。
そっちに目線をやるとフードを深くかぶった大男と目深にフードをかぶった女の子が路地の袋小路に追い詰められていた。
「ヘヘ、もうなんも出来ないだろ。やっと追い詰めたぜ」
「ああ覚悟しな。お前を連れて行ってそこそこで売るんだからサ。あんま傷つけると変態のおっさん方からの謝礼がへっちまう」
「助けて!誰か!お願い!」
男たちは両手にダガーを握っている。追われている女の子が命を狙われているならば毒を塗られている可能性もある。正直彼女を助けるリスクを犯すのは得策ではないのかもしれない。
・・・しかしだ。ココからは利己的な理由で彼女を助けるとしよう。
「じゃあ助けてやろうかな」
男たちが声に反応して振り向く。顔に傷のある大男たちだった。
「なんだお前?死にたくないんだったらすっこんでろよ。アア!?」
どこかしらで自分の戦闘能力を計る必要があった。街のチンピラ相手に喧嘩を売ってもよかったが、仕事で荒事を請け負うような奴らを相手にできるのはちょうどよかったというところだ。
そしてあのゲームの常識がある程度あてはまるというなら、キャラメイクしたキャラのステータスは使えるのだろうか?
剣を逆手持ちにしてゆっくりと抜く。まるで舌なめずりするように。
次の瞬間、冷たい突風が薄暗い路地の突き当りを吹き抜ける。そして二人の男の腕から先がくるくると回転しながら宙に舞っている。
「・・・え?」
男たちは理解できない、という顔をしていた。
そして宙を舞っている腕が握り込んでいた剣がガン!と大きな音を立てて壁に突き刺さった。
その音に事態を把握したのか男たちの顔がみるみる青ざめる
「う、う、うわああああああ!」
「痛え!痛え!」
「フフフ、首が飛ばなかっただけ感謝してくれ。それとも、まだ、やるかい?」
意地悪に笑いながら剣を腰の鞘に収める。それとほぼ同時に悲鳴をあげながら大男が腕を置いて逃げ出した。




