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〜56〜デビルズダンスフロア&キリングユー⑤

人造人間のパッシブスキルで雷系の魔術の威力は上がっている。そこに彼女が使える広範囲、高威力の魔術をこの広場一帯を覆うように叩き込んでくれと打ち合わせをしておいたがこれほどの威力とは。

さっき斬り伏せた騎士やまさに自分を囲もうとした兵士たちが、物陰に隠れてリリスの放った魔術によって残らず息絶えていた。

どいつもこいつもぶすぶすという音と、ほんのり肉の焦げる嗅ぎなれた匂いが室内でもないのに辺りにに充満していた。

そしてふと自分の出てきた地面をみるとショベルカーで掘ったのか?と勘違いするほど抉れていた。


(パッシブによるダメージ増加とこの攻撃範囲、なにより地面ごと抉り取るような威力から察するに上位呪文・(ハイスペル・)大落雷(サンダーボルト)ってところか)


にしても威力出しすぎだ。これだけの威力を出すにはけっこうな生命力(ライフ)リソースを使うことになる。そこまでしなくても何とかなると思ったけど、彼女なりの万全の喫し方だったのかもしれないがあくまで無理はしてほしくない。

僕は彼女を幸せにするのが当面の活動方針だ。だからこそ無理をしてほしくはないのだ。


「まあ、問題ないけどね。これで依頼はお終いだしね。生き残ったアレもあんなだし」


こちらが胸をなでおろしている脇でおそらく今回の殲滅討伐戦の一番の標的(ターゲット)であろう騎士団長は自分をかばうようにして死んだ騎士の甲冑の胸に、兜を埋めて泣きわめいていた。


「ふざけるな!あなたには家族がいた!子供がいた!帰る場所があった!私なんか庇わなくてよかったのだ!!どうして・・・ッ!!どうしてだァッ!!」


「どうだっていいのサ。殺される人間にだって人生がある。でもそれは僕たちが食べてきた家畜だってそうだろ?キミも変わらないよ、順番がきたから死ぬだけなのサ」


改めて短剣を構えなおす。


「私たちが何をしたッ!化け物に騎士団を壊滅させられ、雇い主に用済みと捨てられ!こんな酷い仕打ちの果てがこれか!辛酸の人生の果てがこれか!!騎士として生きゴミのように死ぬのか!」


破れかぶれ、というか。あまりにも悲惨だ。同情だってする。しかしだ。許せないこともある。

今、どんな顔してるだろうかね。


「違う。キミは騎士団が最低な野党団と変わらなくなったからだよ。キミが知ってるのか無視してるかはしらないけどキミの騎士団は既にお尋ね者になってた。ただのお尋ね者じゃないぞ、要注意ならず者集団としてだ」


「な…なん…だと?」


「君の部下の騎士たちはならず者と変わらなかったよ。旅人を殺して物を奪う、飯を奪うに飽き足らず、家にまで押し入り金品強奪に飽き足らず若い娘をさらったり、暴行を加えたり・・・ほとんど小鬼(ゴブリン)豚鬼(オーク)と変わらない悪行を働いていたんだ。」


「そ・・そんな!私はしらない!そんなこと!ほんとに知らなかったんだ・・!そんなことが・・・!私はやってない!」


「娘を傷物にされた父親たちが冒険者ギルドに報告、その話がキミらの元雇い主にまで届き責任を感じて、報酬に色がついたのサ。私は知らないよ、なんてそれこそ知らないように」

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