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~10~ 爬虫類人の迷宮 ~白刃乱舞~

ぼやくように言いながら、剣の柄でゴリゴリと頭をかいた。


(相手がそこそこ強そうでも、やることは決まってる)


僕のスタイルは速さに任せた究極の初見殺し。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()つもりでブッ殺す。

いや、肉の無い骸骨なのだ。ブッ壊す。


正面に刀。右に大剣、左に二刀流だ。


地面を、戦槌で城門をぶち破るくらいの気持ちで思い切り()()

刀の骸骨剣士(スケルトンフェンサー)の首のを狙って踏み込みの勢いのまま一閃。

だが命中はしない、暗殺短刀(アサシンダガー)は受けられてしまった。

できればこの速度を乗せた一撃で即死させたかった。元から3対2。不利は不利だったのだ、なんとか人数有利にしたかった。


だが。問題ない。


(二刀流の本領は攻めから受け、受けから攻めの派生の多さと手数、なにより選択肢!)

つばぜり合いを続ける剣を受け流し、相手の体勢を崩させ、すかさず護拳(ナックルガード)骸骨(スケルトン)の空っぽの腹の奥の背骨をぶん殴る。


砕けこそしないが殴った勢いで背骨が吹っ飛んでいく。合わせて刀の骸骨剣士(スケルトンフェンサー)はガララと崩れてしまう。

ふと視線に振りかぶる直前の大剣の個体が映る。


(うおッ!!)


息をつく間もなく風を薙ぐ轟音とともに大剣が自分めがけて横薙ぎにされる。

頭を下げて、しゃがみ込むように斬撃を避ける。


しゃがみこんだ姿勢から()()()バネのような勢いで相手の懐に入り、骸骨(スケルトン)の肘の骨間を狙って護拳(ナックルガード)でぶん殴る!



「うおッらっっしゃあ!」


叩き割り、砕き散らす!

大剣の重さ支える腕がなくなったせいで体勢が崩れ、残った右手側にもつ大剣の重さにヒザをつく。

すかさず頭蓋骨へ蹴り。頭を蹴り砕く。


「もっぺん死んでろ!✕× ✕× ✕× (ファッキン)骸骨(スケルトン)が!!」


「後ろです!ジド!」


背後には既に剣を振りかぶった二刀流がそこにいた。

(やべ・・!)


「”魔法(スペル)泥沼(スワンプ・グラウンド)”!!」


ティリアの魔法による援護だった。

二刀流が、足をもつらせ体勢を崩し、ヒザをつく。

二刀流の足元を見ると文字通り魔法によって泥沼化した地面に足を取られたようだった。


「たすかったよッ!でえあ!!!」


速さに任せて、鋭い斬撃の連打を繰り出す。

上、下、左右からの時間差連続攻撃。あらゆる連打を試す。

だが虚しい金属音があたりに響くばかりで攻撃はすべて弾かれた。


「畜生!攻撃がきかねぇ!相手のほうが戦士として格上だ!」


「だったら私がやります!そちらにいきます!」


「ダメだ来るな!コイツを放置したらそっちにいくぞ!そうなったら最悪全滅だ!」


今の位置は僕を挟んで、後ろにティリア、前に二刀流。

ここでこの骸骨剣士(スケルトンフェンサー)を街への階段に通すのは結果として最悪だ。

しかし、不意打ちならともかく正面から相手をしてなかなか勝てる相手ではない。

なら()()()()()()()()()()

まもなく骸骨は足を取られた沼から出てくる。そうなったらもう勝てない。


「ティリア、僕の言うことを信じてくれるかい!」

「はい!なんですか!」


「・・・僕ごと狙っていい。攻撃魔法でこいつをやれ!」


「正気ですか!?最悪死にますよ!」


「早く!必ず殺せる威力でやれよ!」


「死んでも恨まないでくださいよ!中位呪文・(エルスペル・)”火炎弾”(フレイムボール)!」


詠唱と同時にティリアの杖の先にこぶし大の火の玉が現れる。

さらに同じサイズの玉がいくつも現れ、一つにまとまり人間の頭より大きいくらいの火炎弾になった。


「くらえ!!」


放たれた火炎弾は真っ直ぐにジドの背後から、骸骨剣士(スケルトンフェンサー)めがけて飛んででいく。

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