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~1~ ジョン・ドゥ、記憶のない男

僕は正真正銘の()()()()だ。まともに生きるならばこの世界でもそれは変わらないだろう。

それでも彼女となら、おなじ人でなし同士なら肩を寄せ合って生きていくこともできるだろう。それが僕が彼女と選んだこの世界での生きていく方法だ。

()()()()()()()()()と、()()()()()()()()()

多分、二人でちょうどよくて二人で最高で最悪なんだろう。






 どうやら僕は、異世界からやってきて転移してきた、ということらしい。


気がついたら賑わいある市場の往来のド真ん中で呆然と立ち尽くしていたところで気がついた。眠っていたところからふわっと起きるようにではなく、気づいたらそこにいた。というように。

天気は良い。日本晴、というのだろうか。空気もカラっとしていて心地いい。目覚め、とは違うが心なしか気分もいい。しかし今それは重要ではないのか?

自分が異邦人であるということはなんとなく、体を動かせることを説明できないように”わかる”ということだけでなぜかは説明ができない。ただ理解だけはしているということ。

ただ漠然とここに来る直前に”誰か”と会話してここにきたという事だけは何故か頭に刷り込まれたようにわかっている。わかっているだけで内容はほぼ思い出せないが。


そして以前のことを思い出そうとしてみるが、記憶がぼやけて思い出すことができない。

それなのにいくつかのことが頭の中で焼き付くようにこびりついた記憶が密室で跳ね返る音のように響いている。


ひとつ・自分は異世界からやってきた異訪者という形であり。慣れ親しんだと()()()()()()の世界に似た常識がある程度あてはまる。


ひとつ・いくつか「贈り物」があること、背中のリュックにいくつか入ってること


ひとつ・前世の記憶は死ぬ直前に返してもらえる


最後のは妙だ。奪った相手のことは覚えていないのに、この約束だけは覚えている。


(さて、どうするか。)


まずは方針を決めていくべきだろう。

ココがドコかもわからず独り身で放り投げられたのからにはまずはメシや稼ぎ口、もっというならばドコに住むかも決めなくてはならないだろう。最悪野宿も覚悟しなくてはならない。

つまるところ、記憶もなにもない根無し草なのだ、僕は。


まず情報の収集からだろう。幸い周りを見回せば賑やかで明るい市場であり、いろんな人間の往来がある。情報収集する分にはこまらなさそうな風だ。しかしその前にだ。


「このリュック、だよな」


気づいたら往来のど真ん中にいた時、気づいたら背負っていたリュックの中に手を突っ込んでみる。

早速、件の贈り物を確認してみる。まず()()()()()()()()()()、把握しておく。それだけでも立ち回りは変わってくるだろう。


ビンに入った青い回復ポーション、大体2、3回分だろう。量を見て、多い少ないではなく回数で把握できるのは件のゲームの経験だ。1ビンで大体そんなもんだった。大概の身体的外傷はコレで治る。


次に革袋に入った金貨10枚、銀貨5枚、銅貨10枚。コレは財布だろうな。


それと”困ったら開けろ”と書かれた革箱が入っている。


そして”我、影に潜む魔を、闇の中から断つ魔なり”と刻まれた一対の暗殺短刀(アサシンダガー)

最後にこの街の地図が入っていた。


まず自分の置かれている状況の把握。まず自分のいる場所からだ。

街の名前は”商業都市タル・タル・ガ”というらしい。

見ると大きな円形の街、大きく壁がぐるりと街を囲んでいるようだ。実際ここからも大きな壁が見える。


入り口は東西南北に門がそれぞれあるようだ。南には商業用だろうか?ほかと比べると二回りは大きな門があるようだ。そして南の大門が主に旅人や物資が搬入されている部分なのだろうか、地図の街の南には大バザーや宿泊施設などが集まっているようだ。自分がいるのもこのあたりらしい。

街の北には城があるようで恐らく領主や支配者、まあトップがいるということだと思う。

東には大きな集合牧場地帯、なるものがあるらしい。機会があればいってみるか?まあ最悪の場合の働き口くらいにとどめておこう。

そして西には鋳造や繊維、食品といったさまざまな工業が発達した商業都市の心臓部といったところがあるそうだ。


そして一番気になるのは”爬虫類人の迷宮(ダンジョン)”の存在だ。

どうやら町の中央には地下への、つまりダンジョンへの入り口があるということだ。


ならばダンジョンの攻略をとりあえず目指してみようか。それが当面の行動方針だろうか。


そしてダンジョンといキーワードで思い出した。慣れ親しんだゲームのことを。

”ドラグーン・ナイツ・オンライン”のことを。

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