エントリー2
今回の前座です。
ハンヴィーを走らせる事約20分2人はある施設の正門前にいる。
「お疲れ様です。」
冬夜の敬礼に答礼した迷彩柄の被服を着て手に小銃を携行した男が「身分書の提示を」と告げる。
2人は顔写真付きのカードを提示した。
それを確認した男が警衛哨所に連絡を入れてすぐにバリケードが下がった。
冬夜がそれを見て車を徐行して哨所の前で停止し中に居る警衛司令に敬礼をし通る。
そうここは自衛隊の施設、ただここが一介の施設では無く日本の防衛の要にして総指揮をする場
防衛省だと言う事だ
「さっきの人驚いてましたね。」
「きっとこの前の定期異動で来たんでしょ。」
と早苗、冬夜の両名は話す。
それもそうだ、いきなり日本のナンバープレートを付けたハンヴィーの中から出て来たのが白髪でブレザーの学生服を着た男子と女子なのだから。
それから車を駐車場に止め2人は建物の中に向かった。
「今日は誰が居るんだっけ?」
「確か八坂くんと愛さんだったはずです。」
冬夜の問いに早苗が答える。
「それにしても八坂くんも大変ですね。千葉からここまで出勤だなんて。」
「あいつはその辺なんとも思ってないよ。どうせアクアラインで来るし。」
そうこう話しているうちに2人は建物の中入った。
そしてエレベーターで地下2階へ向かう。
扉が開くとそこには長い廊下がありそれを歩いて一つのドアの前で止まる。
ドアには“特殊作戦群戦闘救難小隊”の文字が書かれたプレートが張り付いてある。
「「お疲れ様です。」」
ドアを開け2人は開口一番放った言葉がそれだった。
「お疲れ様です。」「おつ〜」「お疲れさん」等と様々な返事が返っている。
2人は先に部屋の1番奥に陣取る人物のデスクに報告をする。
「伊隅一尉、上条准尉「小早川曹長」出頭しました。」
2人は椅子に座る若い女性幹部に敬礼、報告した。
「2人共ご苦労、それで進級してクラスはどうだ?」
まるで我が子に語りかけるように聞く。
“伊隅みちる一等陸尉”彼らの上官にしてこの小隊の長だ。24歳と異例の若さで一尉に昇任し部隊を預けている。ちなみに部隊の人間からは『デキる女ではあるが、時また見せる女子が可愛い』らしい。
「変わりません、去年と同じ先生にクラスメイト階は違えど同じ構造の教室変化のしようがありません。」
随分と身もふたもない事を言う冬夜の隣からアハハと乾いた笑いを発する早苗
負けじと何か聞き出そうとする伊隅一尉が
「何かあるだろう?高校2年生なんて人生で最高の時期だろ。」
「そう言われましても、」と返答に苦慮していると助け舟がやってきた。
「一尉、そんなもんですよ学校なんて俺はいつも通り独りですよ。」
自らボッチ宣言をし2人とは違うブレザーを着た男子「渋谷八坂陸准尉」が冬夜に援護射撃を敢行
彼の容姿は黒髪短髪で整った顔立ちだ。
また、彼の地元千葉の高校で今年進級した2年生
普段は彼の家に近い習志野駐屯地に居るが部隊の性質上よく市ヶ谷に顔を出す。
「お前は入学初日に私が出動させたせいだろ。」
「そりゃあそうですけど」と援護射撃をあっさり粉砕られ目線でごめんと冬夜にいった。
諦め悪く何かないかと探る一尉はもう1人の高校生“善通寺愛”に照準を合わせた。
彼女の容姿は金髪で青い目だが何より童顔で低身長。
だが、これでも高校組の中ではお姉さんつまり3年生なのだ。
「善通寺、お前はどうだ?」
「私は今年受験生です。それに私の学校は進学校でもうピリピリし始めて雰囲気が....」
と後半から悲痛の声に変わっていった。