第二十一話
「で、それ聞いて思ったわけよ。本家とか分家とかある古臭さい村ならさ、拷問部屋の一つや二つあってもおかしくね? って」
「なるほど、それがドリームキャッスルの噂につながるのか」
「でも無かったわけだけどな!」
確認してきたのは私で、思い出したくもない。
代わりに、野間が晴れ晴れとした顔で応じれば、名親は不満そうに口を尖らせる。
「婆ちゃんの話じゃ、ありそうだったんだけどな。生贄すんにも口にも出来ん酷いことを、とか悲鳴が耐えぬ日もなく……とか言ってたし」
「じゃあ、本当にあったのか?」
「でも無かったっつう話じゃん」
「…こういうのはどうだ?」
唸る友人たちの中で、固本が思いついたように口を出す。
「こういうのって?」
「アトラクションなんてデカイものを建てるなら、事前に地質調査とかするだろう? そのときに地面を掘り返して見つかったが埋めた、だとか、調査や工事の衝撃に耐えられなくて、崩壊したとか」
「なある! そんなら、地下室なんて残ってるわけないな!」
「お前頭いいな!」
なるほど確かに納得できる理由を受け、友人たちが一様に固本を褒め称える。
「しっかし、お前の婆ちゃん、そんな事実知ってて遊びに行ったんだろ、なんかすげえな」
「確かに! そっちの方がよっぽど怖えな!」
「あ、言われりゃそうだな。折角だから、そこんところ婆ちゃんに聞いときゃ良かったな」
適藤の指摘に、若干悔しそうな顔をした名親。
話も一段落し、弛緩した空気の中、つうわけで、と野間が口を開く。
「噂は噂って結論! ただ、裏野ドリームランドは確かにあったし、アトラクション稼動してたからな! な、裏木!」
「……あ……ああ……」
「裏木よお、釣りってバレたからって、不貞腐れんなよ! つうことで、ドリームランド遊びに行きたい奴は行って来い! 以上! この話は終了!」
手を叩き、総括した野間に、全員がすっきりしたような、どこか満足げな顔を浮かべる。
久しぶりに実話系、それも未だに存在する遊園地の話ときて、それなりに満足したようだ。
「じゃあ、次は野間の番だな!」
「は? マジかよ!」
「マジだな。次は……二週間後ぐらいか?」
「これ以上の話、期待してるからなあ? 野間君よ」
早くも次なる怪談話をせがみ始める一同を横目に、ふと、野間が私へ顔を向けていたことに気付き、目を向けかけ…固まる。
口を閉じていた野間は、私と目が合った瞬間。
ニタリと、哂った。
「っ……お、おい………野間……まさ、か……」
一瞬でその笑みの『意味』を察し、一気に血の気が引いていく。
問いかけようと口を開くも、言葉にならない。
「仕方ねえな。そんじゃ、俺の婆ちゃんから聞いた話でよ…」
「ってオイ野間! 俺の真似すんな!」
「ははっ! 野間、似てるじゃん!」
気付けば、野間は友人たちの輪に入り、実に、楽しそうな笑い声を上げていた。
これにて完結です。
ここまで目を通していただき、有難うございます。
次話は後書きになるので、興味のない方は飛ばしていただいて構いません。
ここまでの一読、有難うございました。




