第十九話
「ナントカじゃねえ、ミラーハウス、な!」
「アトラクションの名前なんてどうでもいいって。で? 結果は?」
「この俺を見りゃ、分かるだろ?」
私への興味が尽きたのか、野間へと集まる視線。
それを受けた野間は、得意げに胸を張ってみせる。
「えっと、ミラーハウスの噂ってなんだったか?」
「確か…別人入れ替わりトリック」
「いやトリックじゃねえし! つかトリックってどっから来たんだよ! 実際入れ替わってんの!」
突っ込み合いながら、それでも友人たちは野間に上から下から目を向ける。
だが、野間に変わったところは見られない。
つまり。
「いやあ、普通に楽しかったぜ!」
「はあ……いい笑顔だな、オイ」
「ミラーハウス、しょぼいアトラクションだと思ってたけどよ、結構楽しめたぜ!」
満面の笑みで応じる野間に、皆が失望したような顔を浮かべる。何かしら怪談話を期待していたのだろう、残念なことだ。
お前らも行ってみろよと薦めてくる、普段通りの野間を前に、友人たちは顔を見合わせ、揃って首を振る。
「簡単に言うが、場所が遠すぎる」
「そんだけの価値あるって! 廃園になってウン十年なのに、電気通って乗り放題! 無料で遊べる! いいじゃん!」
「いやいやいや! 交通費だけで馬鹿にならないから。いや、マジで」
金は出したくないが、噂は気になる。
だからこそ、暇だった私と野間があの遊園地へ行ったのだ。当然、他の友人たちは行きたくないだろう。
私も、正直勧めたくない。だが、口が動かない。声が出せない。息が苦しい。
「お前、楽しそうだよな」
「そうか?」
「ホントホント。イイ笑顔してんなあ」
案の定、皆は渋る…というより行く気もないようで、もうこの話題は終わり、という空気が漂い始める。
だが。
「実はよ、裏野ドリームランドの話、続きがあるんだ」
そんなことを、元凶である名親が言い放った。




