弐話:全てを冷静に
ベッドに座ったまま、真咲はジロの方に視線を向けず、少し眠たそうにしていた。
「まったくといって動揺しないな。普通の奴ならびっくりして倒れる様な反応をするけどな」
ジロは少しだけつまらなそうに、あくびをした。
「でも、俺と契約したのはこの冷静さも見込んでの事だろう?」
不適な笑みを浮かべて、真咲は楽しそうに言った。
ジロはもっと楽しそうにケタケタ笑った。
「まあな。細かい事でいちいち驚かれてちゃメンドクセェからな。」
「さっきの女の人の緑色の目にも驚いちゃあいないよ、ジロ。」
自信ありげに真咲は言った。
ほぉー。と少し驚いた様にジロが感心していた。
「まあ、あのくらいのトリックには気付いてるか。てぇ事は当然」
「握手が契約だって事ぐらい気付いてたよ。」
ジロが途中まで言った所で真咲が口を挟んだ。
真咲は、やはり冷静にしたまま、ジロに問う。
「俺は何か仕事でも与えられるのか?」
髪の毛をクリクリいじりながら言った。ジロは答える。
「うむ。まずは下界に潜む天使を捕まえてほしいんだ。今、騎士夜にとりついている悪魔みたいに、自然に人にとりついている。そして二つ目は、色々な悪魔との取り引きを手伝ってほしい。さっきも言った通り、悪魔はいろんな人にとりついている。そいつらとの取り引きは人の姿になってる時にしか出来ない。」
「と言うことは、ジロ達は人間の姿になれるって事か?なら手助けも必要無いが。」
「いや、オレ達は人間の姿になる事はできない。が、人に憑依することはできる。だから騎士夜、お前の体を貸してくれ。ってことだ。」
「なるほどね。で、仕事ってそれだけ?」
少し楽しそうに質問する真咲。
「最後に一つ。仕事って言うよりは目標って所かな。」
楽しそうに聞く真咲に、少し嬉しそうにジロは言った。
「悪魔の頂点、魔男人になる。」
感想求ム