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廃病院の悲劇

作者: 恋する?高校生@鳥取

明日から修学旅行ですが、あくまでも学習の一貫です。くれぐれも変なことはしないように。それから・・・」

「相変わらず岡田の話長いよな」

明日から修学旅行に入る県立高校の3年生。

その前日だったので事前説明会が行なわれていた。

担任の岡田先生の話が続く。

「そして、今回泊まる宿ですが、有名人の度々泊まる有名な宿です。今回そこに我々が行きますが決して我が校の恥にならないよう、勝手な行動はしないようにお願いしますね」

((話が長いよ。そんなこと言われなくても分かるよ))

と言いたかったが怒ると怖い岡田先生にビビってしまいとても言えなかった。


その日の夜、真人は明日の最終準備をしていた。

すると

『ピピピピピピ』突然電話が鳴った。取って見ると相手は同じクラスの大島紳助。

「もしもし紳助?どうしたの?」

突然の電話に不信感を覚えながらも電話を取る。

「おう真人か?明日泊まる宿の名前知ってるか??」

「知ってるよ。予定表に書いてあったから。確か民宿○○〇だろ? それがどうしたの?」

「実はな今ネットで見ているんだけどその民宿〇〇〇の近くに7年前に閉鎖された病院があるんだって。しかもそこにはたくさんの心霊目撃があるとか。だって、だから明日・・・」

「俺は行かないよ」

はっきりと断る真人。しかし紳助は

「まだ何も言ってないよ。とりあえず誘ってみただけだよ」

「俺は絶対行かないよ。そもそも宿から出歩きたくないし。」

「いいから来いよ、それに行くのは全部で4人だ、俺と大智、それに女子の渚と紗季も来るらしい。

それを聞いた瞬間真人はドキッとした。

(紗季って俺が気になっている女子だ。もしここで俺も行って紗季たちを守ったら好印象が持てるかも・・・)

「分かった。俺も行くよ」

わずかな期待をしながら承諾した。

「おお。そうか、ありがとう。じゃあ俺と大智、真人、紗季、渚の5人で行くからな。1日目の夜10時に宿の玄関集合な」

「はいはい。分かったよ」

電話を切り雅人は自分でその廃病院を調べて見ることにした。

「どんな病院なの?一体どんな噂があるの?」

インターネットを開き弘樹から聞いた情報を思い出す。

「確か病院名が〇〇病院で、民宿〇〇〇の近く・・・」

カチカチカチ。キーボードを打つ手も多少寒気が走る。

出てきたページを見て雅人は愕然とした。

『廃病院〇〇 2008年に閉鎖。その翌年には肝試しをした数人が行方不明に』

「おいまじかよ。大丈夫かここ?」

急にビビり出す真人だがもう今さら行かないとは言えない。

「見なきゃ良かった」




「消灯時間だぞ、早く寝ろ・消灯時間だぞ、早く寝ろ」

岡田先生の声が民宿に響き渡る。

5人は先生のタイミングを見計らって玄関に集合し誰にも見つからないように外に出た。

「よし。みんな集合したか?じゃあ行くぞ」

「分かったよ。行けばいいだろ、行けば」

5人が廃病院に向かって歩きだしたその時後ろにいた女子2人が

「私たちやっぱり行くのやめる。怖いし」

渚は既に泣きそうな顔をしてる。

弘樹は大きくため息を付くと

「仕方ない。分かった、じゃあ部屋に戻れ」

3人になり再び病院に向けて歩き出す。

廃病院には本当にすぐ着いた。

まだ歩いて5分も経っていない。

「こんな病院あった?」

「来る時もこの道通ったけどこんな病院無かったよね」

「まあいい入るぞ」

相変わらず乗り気の弘樹。

後ろに続く2人。


入口のドアは当然鍵がかかっていたがその近くにある非常口が空いていた。

「何だ。簡単に空いたよ。じゃあ、入るぞ。覚悟はいいか?」

弘樹がゆっくりと非常口のドアを開ける。

ギイィィィーーーー

古い音を立てながらゆっくりと開くドア。

ドアを開けるとそこはまるで廃墟の雰囲気が漂ってきた。

「おい、ここヤバそうだろ」

「本当に入るのか??」

あまりの雰囲気にビビる真人。

「今さら引き返す訳には行かないだろ!で、誰から入る??」

ここではほぼ紳助が仕切っていた。

「いやあ、そこはやっぱり紳助だろ?」

「そうだよ、だって紳助が初めに言い出したからな」

雅人と大智は口々に言う。

「は??俺いやだよ。真人、お前からから入れよ」

「何でだよ?絶対いやだよ」

雅人が拒否したその時、

「分かった。じゃあ俺から入るよ」

手を挙げたのは大智だった。

「マジかよ?勇気あるなあ大智。分かったじゃあ俺から行きたい。」

雅人は大智に負けたくない!と思い手をあげた。

しかし大智は

「はあ?もう俺からでいいだろ?じゃあ行くからな」

「待てよ、俺からだ」

大智と真人は言い合いを始めた。

それを見た紳助は

「おまえら勢いすごいな。分かった俺から行こうか??」

その言葉を待っていました!と思うテンションをしつつ

大智と真人は笑顔で

「どうぞどうぞどうぞ」



少しビビリながら足を踏み入れる紳助。

「おい、おまえらしっりと着いてこいよ」

「ついてきてるよ。うるさいな」

結局順番は紳助、大智、真人の順番で入ることにした。

懐中電灯を持ちながら行くがあまりに暗すぎてほぼ意味がない。

今にも何か出てきそうなその雰囲気は3人にとって恐怖で仕方無かった。

入ってしばらくたち奥に階段が見えた。

「どうする??地下に行ってみるか?」

声をかける紳助。

「地下?地下は絶対にやばいよ」

「そうだよ、そこは辞めた方がいいよ」

完全にビビっている大智だちは速攻で地下行きを拒否した。

「はあ?何だよおまえら意気地なしだな、本当に。しょうがない俺だけ行ってくるからおまえらそこで待ってろよ。絶対にな」

「え?それが一番怖いと思うよ。大丈夫?」

「うるさいな。お前らが行く気ないからだろ。まあすぐ戻ってくるから絶対待ってろよ」

「分かったよ。気をつけてね」

そう言うと紳助は階段を一段一段と降りていった。

「すげえなあいつ」

「そうだな、何でそんな勇気があるのに1番最初に入ろうとしなかったのかが不思議だよ」

しばらく雑談していた。

すると紳助の足音がだんだん聞こえなくなりしまいには静かになってしまっていた。

「紳助のやつ、どこまで行ったのかな?」

「もう出てから5分以上たっているよな」

「そうだね。何をしているのかな?」

その時、突然雅人が持っていた懐中電灯がなぜか消えてしまった

「え?消えたよ。何故??」

「電池新しいの入れたのに・・・怖いよ」

懐中電灯が消えて数秒経った時、

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」

紳助の悲鳴が聞こえた。

「し、紳助?大丈夫か?」

紳助のもとに行きたいがあまりの恐怖で足が竦んでしまった2人。

しかし紳助は一向に戻って来ない。

「おい真人、これは本当にやばいぞ、行ってみようぜ」

「マジかよ。    しょうがないな」

渋々2人は紳助を探しに地下に行くことにした。

階段をおりようとしたその瞬間

「・・・く・・・」

どこからか女性の声が聞こえた気がした。

耳を澄まして聞いてみる

「い・・・・・・・・な・・・」

「何か言っているみたいだよ」

もうすこし耳を澄まして聞いてみる。

「おい!絶対に地下に行くな!!!」

突然男性の声に変わり2人はその場から逃げ出してしまった。

「うわああああああああああああああああああああああ」

「ぎゃああああああああああああああああああああああ」

しかし走っても走ってもなかなか初めに入った非常口に着かない。

まるで2人はベルトコンベアに乗っているかのようにずっと同じ場所を走っているかのようだった。

「おかしい、何故着かないんだ??」

真人が呟くも大智はただひたすら走っていた。

すると2人の前になにか書かれているプラカードみたいなものを見つけた。

「変だな?こんなもの始めはなかったぞ」

しかしその場までいくら走ってもたどり着けない。

やっとの思い出着いた時、2人は汗びっしょりでもう走る気力は無くなっていた。

「おい、なにか書いてあるぞ」

そのプラカードには

『このプラカードを見たものは近いうちに不幸になる。回避するには今すぐ全速力でただ走れ。』

と書いてあった。

「走る・・・ってどこまで走ればいいねん」

すると2人の遥か向こうに非常口の灯りが見えた。

「とりあえずあそこまで走ろうぜ」

この時既に2人の頭の中には紳助のことは入っていなかった。

「よし、じゃあ走るぞ、3、2、1、せーの」

大智の掛け声と共に非情口に向かって走り出す2人。


どれくらい走っただろうか。気が付くと2人は非常口の真下で倒れ込んでいた。

「ま、真人?大丈夫か??」

大智の声で目を覚ました真人。

「ああ、俺は大丈夫だ。大智は??」

「俺も無事だ、それより非常口が開いているから出ようぜ」

2人が非常口に足を伸ばそうとした瞬間ふと後ろに視線を感じた大智。

「う、後ろに何か感じる。どうしよう・・・真人」

「見ないほうがいいよ」

雅人が声をかけたがその時大地はもう後ろを見てしまっていた。

それにつられて真人も見てしまう。

2人の後ろには髪の長い真っ白な服を着た女性が立っていた。そして2人を見るなり

「・・・・・みいつけた・・・・・」

と言い顔をあげた。

顔は血だらけで無表情な感じになっていた。

「出たああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ」

2人の悲鳴が病院内に聞こえている感じだったがそんなことを気にしている場合ではなかった。

2人は外に出て、急いで宿泊している民宿に戻り、気が付くと各自布団の中で小さく丸まりながら一夜を過ごした。





「皆さんおはようございます。修学旅行最終日です」

最終日の朝、岡田先生が声をかけた。全員集合しているがそこに紳助の姿はなかった。

「紳助のやつ、あれからどうなったのかな?」

すると先生は

「実は昨日の夜から大島紳助くんの行方が分かっていません。皆さん何か知りませんか?

今地域の方や警察で探していますが全然手がかりが無く・・・」

真人たちは本当のことを言いたいがそれだと夜出歩いたことがバレてしまうので何も言えず複雑な表情のままだった。


その時地域の人が民宿に飛び込んで来た。

その人は1枚の紙切れを持って来ていた。

「すいません、先ほど廃病院の前にこのような物が落ちていたので・・・」

紙切れを受け取った岡田先生は驚愕した。そこには

「もう全て終わった。どうすることもできない。俺はこのままずっと地下に入ったままだ。

もう・・・・終わった・・・・ 紳助」

と書いてある髪を見つけた。

そこから警察やらマスコミやら来て大騒ぎとなったまま修学旅行は終了した。

しかし旅行から半年経った今でも紳助は見つかっていない。

いったい紳助はあのあとどうなってしまったのか?

そしてあの紙切れの文字をどうやって書いたのか?

全ては謎のままだ。

しかし1つだけ言えることがある。

旅行前日に雅人が見たあのネットの記事。

『廃病院〇〇 2008年に閉鎖。その翌年には肝試しをした数人が行方不明に』

あの文字は修学旅行が終わって結構たった今でも真人の頭から離れることはない。


そしてさらに後から分かったこともある。実はあの病院は昔『何かの建物』だったらしい。

それをどかしてあの病院が建てられそのまま放置されて数年が経ってしまったという。

その『何かの建物』は口にするのはあまりにも恐ろしいので言えない。


しかし今はその病院も取り壊されただの空き地になっているみたいだ。

ただ、その空き地になった今でも雨の降る深夜2時になると

「助けて・・・助けて・・・」

と声がするみたいだ。


その声が紳助と何か関係があるのか・・・


それは今でも分からない。


(完)

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