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佐野優菜 1

「ただいまーっと…誰もいないけど。」

高校から帰ってきた私を出迎えてくれるのは

シーンとしたマンションの一室だ。クラブに入っておらず、授業が終わったら真っすぐ家に帰る私は、仕事に出ている両親よりも早く家に帰ってくる。

「部屋で寝ておこうっ。」

背負っていたリュックをリビングに置き、自室の扉を開ける。ガタガタ。この扉はあまり建付けが良くなく、かなり力を入れないと開かない。ガラッという音とともに、ようやく扉が開いた。部屋着に着替えようと、扉から右の方…勉強机の横のタンスに目をやった。しかしその目線は、タンスではなく勉強机の方へ吸い寄せられた。

「…なんだろう、これ。」

勉強机の上、ほぼ中心に、手紙が置かれていた。手紙を手にとって、ベッドに腰かける。よくわからないものは観察した方がいい。

よくある長方形の封筒だ。もっとも、携帯電話やスマートフォンが普及した今ではあまり見かけなくなったけれど。宛名にはしっかり"佐野優菜 様"と私の名前が書かれている。そして宛名の横には今日の日付け、10/8と書かれていた。…でも、妙だな。差出人の名前がどこにも見当たらない。封筒をくるくると回し隅々まで見たけどやっぱりない。中に入っているであろう便箋の隅にでも書いているのかな?そう考えてみたもののなんとなく気味が悪く、封を開けるのは先延ばしにした。

「父か母に聞いてみよう。」

そう小さく呟き手紙を机へ放り投げた。手紙が机の端に着地したのを見届けると、ベッドに背中を預けた。目を瞑り少しすると意識が遠のいていった。あぁ、私制服のままだ…。しわになってしまう…。そんなことを考えながらも睡魔には勝てず、眠りに落ちていった…。

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