世界の終わりに悪と成る
世界が終わる・・・・そのときある人は自分の中の悪を解放した。
「これ・・・なんですか」
部屋に入り目に入る、血を流し倒れている人。助手の工藤サヤカは教授の部屋に入り驚愕した。
「ん・・・・これかい?これはね、人間だったものだよ」
教授は平静な顔で答える。
やっぱりショックかい?でも、僕のほうはそうでもない・・・・・むしろすっきりしたくらいさ。
なんでこんなことしまったのか・・・・もう世界も滅ぶことだし最後なんだ・・・・・遺言ついでに聞いてくれないか・・・・・。
そして教授は大げさな身振り手振りを加えながら一方的に話をはじめる。
僕は幼少期からあるものに憧れがあった。
それは人の社会では受け入れられないもので、それは罰せられるもので、それは悔いるべきものだった・・・・けれど僕はそうなってみたいと密かに強く思っていたんだ。
僕はね・・・子供の頃から悪というものにあこがれていんだよ。悪、人を傷つけ、踏み躙りそれを快楽とする、それを趣味とするような悪に・・・・・それは許されるものではない。
普通の人間は親の教育や学校での授業をまともに受けていたらそうは成らないんだろうね。
けれどね・・・・僕は物心付いたときから心の中にあったんだ、悪への憧れ・・・・僕は今までそれを理性で抑えてきた。疑問に思いながら、衝動を抑えてきたんだ、ひっそりと。僕はこの欲望がどこからくるのか知りたくなり様々なことについて学んだんだ。
そうして気がついたらこうして大学の教授なんかになってしまった。他にやりたいこともなかったからね、ちょうどいいかなんて思いながらやっていたんだよ。
一生。僕は一生この気持を仕舞い込んで生きていくと思っていたんだけどね・・・・そのほうがきっと僕のためにも、世の中のためにも良かったんだろうけどね。世界が終わる?いやーそんなことになるなんて・・・最期に未練は残したくないだろ?
「だから殺したんですか・・・?」
そうだよ。てっとり早く出来ることがこれしかなくてね・・・・彼女は最後の時間を僕と過ごしたいって言うから・・・・僕が快く受け入れてあげたのさ。
「よかったよ、彼女の死ぬ間際の悲鳴・・・」
話し終えると教授はゆっくりと立ち上がった。教授の手にはナイフが握られていた。ナイフには血がべったりと付いている。まだ血は乾いていない。
教授はあっという間に助手へ詰め寄る。そして、ナイフを彼女の体に突き刺す。
ナイフを深く捻りこむ。助手は苦痛の悲鳴を上げ・・・やがて絶命した。
死体は二つに増えた・・・・・教授は長年満たされなかったものが満たされていくの感じていた。世界が終わるその時まで感じていた。
世界の終わりに彼は自分の中の悪を解放したのだった。




