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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第3章 妖精大陸探索編
99/216

出所は

 2人が落ち着いたところでダンジョンを出る事にする。

ゴードンの遺体は俺が背負い、残されていた盗賊や犠牲者の遺品もできるだけ回収した。

ダンジョンを出た所では、途中で助けた冒険者パーティが待っていた。

心配で立ち去る気になれなかったらしい。


 すでに足の速いメンバーを、ギルドへ報告に向かわせたそうだ。

彼らも無関係ではないので、当たり障りのない範囲で説明しておいた。

『爛れた牙』の噂は知っていた様だが、現物を見たのは初めてだったそうだ。

知ってる情報もすでに俺が持っているものばかりだった。


 ギルドに着くや即、本部長室に連行された。

そう、支部長ではなく本部長だ。

ここが冒険者発祥の地という事を理解させられる。


 意外な事に本部のギルドマスターは若い男だった。

しかし、彼の種族はエルフの上位種であるハイエルフだ。

見た目と年齢は一致しない。

さてさて、彼は欲しい情報を持っているだろうか。


----------------------------


「ふむ、成程……」


 事情聴取を終えたギルドマスターは指を組んで目を閉じた。

どう見ても20代後半から30代前半の青年だが、冒険者ギルドの誕生時から生きてるらしい。

エルフは長寿だがハイエルフはさらに長寿だ。

妖精族は始祖に近い種族ほど寿命が長いらしい。

ちなみに始祖とは古妖精アールヴのことだ。


「もう10年以上は発見されていなかったのですが、やはりまだ残っていましたか」


 スイフとアミンはギルドマスターにしこたま怒られた。

ゴードンがおかしくなった時点で相談していれば、後の犠牲者は減らせたからだ。

自分達で解決する事に拘った結果、被害は増えた。

精神的に追い詰められ、俺に迷惑をかけた。

冒険者パーティも下手をすれば殺されていた。

お叱りで済めば良い方だろう。

もう2人に罰金を払える余裕はないのだから。


「やはり、という事は調べていたんですね?」


「当然です。こんな危険物を放置しておくなどありえませんよ。……そうですね、少しお話ししましょう」


 転生者達が生まれたのはここ50年ほどの話だ。

長命の種族は早く生まれる傾向があったようだ。

魔族のゴードンや妖精種のスイフとアミン、イカレタ鍛冶師は古参。

ヒューマンのシゼムや教主、獣人のニクスは新参といったところだ。

もっとも、魔族の寿命は種族での差が大きい。

ゴードンより若い魔族の転生者は当然いる。


「『爛れた牙』が製作されたのは30年ほど前になります。当時、天才として名を馳せたあるドワーフが作成した物なのですが、その作成方法は生贄を使う邪法でした」


「あ、そう言えばマスターも事件の解決に尽力したんですよね」


 と、思い出したようにアミンが呟く。

ふむ、当事者か。

これは都合が良いな。


「ええ。使用者を狂わせる呪いの武器が大量に出回ったのです。大騒ぎでしたよ。そして、どこにでも愚かな者はいたのです」


 20年ほど前に西大陸最大の都市『ロスト・イリジアム』である事件が起きたそうだ。

その都市はアールヴ文明の遺跡を基に作られた都市で、この湾岸都市『トラベル・ゲート』と並ぶ主要都市。

王はおらず、評議会によって運営されているらしい。

内政面はエルフやハイエルフが、軍事面はダークエルフが担当しているそうだ。

これは人口や適性によるもので利権やらは関係ない。

妖精種はそういう面で貪欲ではないからだ。


 だが、どこにでも例外はいる。

軍事を担当していた有力なダークエルフの2氏族。

その内の1つがもう1つの当主を謀殺し、権力を握ったのだ。

彼らはそれに止まらず自分に従わぬ者に暗殺者を放ち、政治にまで口を出し始めた。

エルフたちは当然反発したが武力ではダークエルフに及ばない。

『ロスト・イリジアム』は危機を迎えていた。


「その一族、フォーモル氏族は『爛れた牙』を集め、軍事利用し始めたのです」


 使い捨ての兵士に持たせても良し、敵対勢力に送りつけても良し。

利用価値はいくらでも在ったのだ。

うん、ゲスだ。

この一族が転生者ではないという事実が一番の驚きだな。

いや、それは転生者に対する偏見か?


「しかし、当然連中に反抗する者もいました。父を謀殺されたもう一つの氏族、イルダナ氏族の長男が中心となりレジスタンスを組織したのです」


 初めは合法的にフォーモル氏族を告発しようとしたイルダナ氏族。

しかし、証人は消され、証拠は燃やされ、仲間は殺されていく。

イルダナ氏族は逆に追い詰められていった。

しかし、フォーモル氏族はやり過ぎてしまった。


 追い詰められたイルダナ氏族は武力蜂起したのだ。

本来なら勝てるはずもない戦い。

しかし、中立だったダークエルフ以外の種族が協力した事で状況が変わる。

戦力差は覆り、イルダナ氏族は勝利したのだ。

窮鼠猫を噛むというが、鼠は猫の喉笛を食い千切る事に成功したのだ。


「フォーモル氏族は軒並み処刑され、関係者も裁かれました。当然、彼らの集めていた『爛れた牙』も処分したのですが、明らかに数が足りなかったのです」


「誰かが持ち去った、と?」


「……そう思ったのは私だけではありません。何年もかけて調査が行われました。しかし、いくら探しても見つける事が出来なかったのです。今回の大量使用、その時に消えた物しか思い当たるふしはありません」


 使われ方にしてもそうだ。

盗賊に『爛れた牙』を渡して暴れさせる。

連中がどうなろうと知った事では無い。

ただ被害を出せればそれで良い。

フォーモル氏族が取ったやり方によく似ている。


「黒幕に心当たりは無いんですか?」


「……あります。フォーモル氏族はほとんどが戦死するか処刑されました。しかし、本家の次男だけが死亡が確認されていないのです。そして彼にはある特技があった」


「特技?」


「ええ、正確には特異体質ですね。彼は呪いに対する高い耐性があったのです。短時間ですが『爛れた牙』を正気のまま使用できたと聞きます」


「なるほど。最重要容疑者ですか」


 さて、仮にそいつが黒幕だとしてどこに居るのか。

盗賊をダンジョンで暴れさせたことを考えるとダンジョン、または遺跡に潜伏している可能性が高い。

ダンジョンは攻略しても新しいものが次々と発生する。

ギルドが把握していないダンジョンがどこかにあっても不思議じゃない。


 アールヴ時代の古代遺跡にしても同様だ。

トラップや防衛機構の生きている遺跡は調査が困難だ。

手が出せず放置されている遺跡は相当あるらしい。

そのどこかに潜んでいる可能性もある。


 どちらにしても『ロスト・イリジアム』に行ってみる必要がありそうだな。

ここまで話したという事は、ギルドマスターもそのつもりなんだろうし。

好都合だ。


「さて、そこで皆さんに提案があります」


「『爛れた牙』の出所の調査ですね」


「ご名答。お願いできますか?」


「もちろんです。明日にでも『ロスト・イリジアム』に向かいますよ」


 ギルドマスターからの直接依頼。

冒険者なら強制依頼も同然だ。

しかし、全員が一緒に動く必要はない。

むしろ非効率的だ。


 俺以外はダンジョンを地道に調査する事になり、俺は遺跡の調査をすることになる。

遺跡にはスイフでさえ危ないトラップもあるらしいし、安全を考えれば妥当な作戦だろう。

転生者の次は呪いの武器探しか。

個人的にはあちこちに散らばってるよりも、誰かが一か所に集めてくれていた方が楽でいいんだが。




「あ、ディノ君」


「はい?」


「この手紙を持って行ってください。内政を担当する有力氏族宛です。これを見せれば協力してくれるはずです」


「現地協力者ですか。助かります」


「いえいえ、くれぐれも気を付けて下さい」


 次は遺跡探索か。

冒険者らしくなってきたな。


ようやく遺跡探索が始まります。


いよいよ友人と言える協力者と、新たな配下が登場する予定。

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