表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第3章 妖精大陸探索編
85/216

ギルドで情報収集

新章開始です。


概要は活動報告で。



 西大陸は妖精族の大陸だ。

森にはエルフ、山にはドワーフ、平原にはグラスワーカーが暮らしている。

他にもレプラコーンやフェアリー、ニンフにケットシーなどかなりの種族が存在するようだ。

妖精族は古妖精アールヴから枝分かれした種族なので、全種族が親戚みたいなものらしい。


 エルフは魔法技術に優れ、ドワーフは鍛冶や建築技術に優れている。

グラスワーカーは小人のような種族で錬金や商売が得意。

小鬼のようなレプラコーンは彫金などの芸術関係に秀でている。

彼らの生み出す生産物を手に入れるため、大陸東部の港町は貿易船で一杯となっている。

さらに遺跡や未開発地に向かう冒険者が溢れ、全大陸中最も活気のある大陸と言えるだろう。


「まあ、聞いた話だけどな」


 現在俺がいるのは中央大陸の共和国西部、シゼムのいた町に匹敵する港町だ。

ここから船に乗って海を渡るのが一般的な西大陸への行き方となる。

北には天狼の森があるので薬草などの採取が盛んで、それが重要な特産品でもある。

もちろん危険が伴うので、そこは冒険者の出番という事になる。


 そう、冒険者だ。

西大陸で自由に動くには、冒険者に登録するのが一番手っ取り早いのだ。

だが組織に属するというのは行動を制限される場合もあり、正直迷う。

冒険者ギルドの持つ情報にしても、多少非合法的な手を使えば手に入れるのは簡単だしな。


 予約した船が来るまであと4日。

冒険者に登録するならさっさとして慣れておいた方が良い。

迷ったが結局登録することにした。

偽名で登録し、STも誤魔化しておけば問題ないだろう。

幸い以前ガイドブックは読んである。


-----------------------


 冒険者ギルドはイメージしていたような酒場ではなかった。

役所みたいな感じで結構洗練されている。

もちろん食堂や店、鑑定所などの設備は揃っている。

新規登録は……端の方か。


「登録をお願いします」


「はい、承りました」


 登録証は身分証明書にもなる。

ただし、ある程度の個人情報も知られてしまうのがデメリットだ。

まあ、そこは【隠蔽】でごまかそう。

装備も古竜素材の神具なんてバレたら大事だから変更してある。

幸いアイテムボックスにはいろいろ満載されてるし。


「名前はディノさん。種族は魔人で戦闘スタイルは槍と魔法ですか。珍しいですね」


「そうなんですか?」


「ええ、魔人族には優秀な方が多いのですが、あまり北大陸から出られないので」


 偽名はニクスの名前を参考にさせてもらった。

ディノニクスという恐竜がいたらしいからな。

うろ覚えだけど。


「ではステータスチェックに移ります」


「はい」


 おっと、次なる問題が。

魔力を流し込むことで大まかな個人の強さを測定する魔法具。

普通に測れば俺のランクは恐らく『S』、下手をすれば『SS』だ。

それはまずい。


 流す魔力は半分、いや3割くらいにしておこうか。

正直、加減が良く判らないけどな。

ん? だったら誰かを参考にした方が良いか?

うーん、ニクスは行き過ぎか。

じゃあ、帝国の双子位にしておくか。


「はい、完了です。え? ランクCですか!?」


「あれ?」


 担当者の驚愕の声にフィオのやっちまった予感が膨れ上がる。

さて、皆さんは以前フィオがギルドの情報を目にした時の事を覚えているだろうか?

双子の能力はC、勇者英雄クラスである。

人間以外の種族も加えたランク分けなのでDで一流、Bで人外となる。


 問題はフィオが知る双子が訓練中の原石であり、その力を発揮しきれていなかった事だった。

はっきり言うなら、当時の双子はCランクの潜在能力を持ちながら実力はD程度だったのだ。

一流とされるDのつもりがまさかのC。

さて、どうしようと焦るフィオ。


「これは期待できますね。頑張って下さい」


 お? 心配したけど、特に問題は無かったか。

どうやら魔人族や竜人族なら、単純な資質がCランクになることはよくあるそうだ。

ついでに現在ギルドに登録している冒険者に、Cランクやそれ以上の強者が結構いるのだという。

珍しいし期待できるが、大騒ぎするほどじゃないということだった。


「あ、そうだ。情報はどこで買えますか?」


「はい、情報は2階で取り扱っております」


「どうもありがとう」


 そしてこれがギルドに登録したもう一つの理由だ。

ギルドは対価さえ払えば大抵の情報を得る事が出来る。

その中には公開されている範囲ではあるが、冒険者の情報もあるのだ。

ギフト持ちが弱いという事はあり得ないだろうから、有力な冒険者の情報を集めればヒットするはず。

そういう訳で早速情報を購入した。

金貨30枚で。


 ちなみにこの金貨は、手持ちのゲーム時代の金貨を金細工として売却することで得たものだ。

うん、こっちで買い物した事がほとんどないので金貨30枚が高いのか安いのかわからん。

ゲームでの通貨は、そのまんまゴールドだけだったから参考にならないし。

だが、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で白金貨1枚という事を考えるとやっぱ高いんだろうな。

持ってる金を全部市場に流したら金が値崩れするかな、とか考えてしまう。

まあ、目星は付いたし良しとしよう。


 購入した情報を吟味した結果、ピックアップしたターゲットは3人だ。


・ゴードン(男) 鬼人族オーガノイド 『B』  


 近接戦闘を得意とする重戦士。戦闘狂の気があり、討伐系の仕事ばかり受けている。

小細工無しの真っ向勝負で、命を削り合うような戦いをしてこそ生きる実感が得られると豪語する。

圧倒的な豪腕と耐久力、生命力が武器。北大陸出身。通称『戦鬼のゴードン』。



・スイフ(男) グラスワーカー  『B』


 身軽さと器用さが武器の斥候職。二刀流の短剣使いで投げナイフの名手でもある。

索敵、隠形、トラップの解除と設置などダンジョン探索に必須のスキルをいくつも持つ。

気分屋だが依頼に関しては真摯であり、ギルドでの評価も概ね良い。西大陸出身。

通称『軽業のスイフ』。



・アミン(女) エルフ   『B』


 弓と精霊魔法で戦う後衛職。戦闘スタイルは一般的なエルフだが、幾つもの特殊な技術を持つ。

特に弓の腕前は驚異的で、魔法を使用した何らかの専用スキルを持っていると言われている。

真面目で丁寧な態度から人気が高い。通称『曲射のアミン』。


 ほぼ同時期に登録し、異様な速度で実績を残し、しかも測定ランクはB。

さらに3人で組んでいるが、何故か他の冒険者と組む事は無いらしい。

まあ、目星さえついていれば後は顔を合わせれば鑑定でギフト持ちか解る。

これだけでもギルドに登録した意味があったな。


-------------------------


 とある冒険者の証言



 その日、俺たちはギルドの食堂で祝賀会を開いていたんだ。

一番の若手がついに一流の仲間入りを果たしたんでな。

ランクがDと測定される奴は多いが、実際の実力がDに釣り合うまでには多くの経験を積む必要がある。

ランクEだろうがCだろうが初めから強い奴はいないからな。

こいつの頑張りは俺たちが一番よく知っている。


 そもそもランクってのは単なるSTの資質だから引き出せなけりゃ意味は無い。

「俺はランクCだ~」って威張ってた新人が低位の妖獣にあっさり殺られたこともある。

逆に資質はランクEだけど、とんでもない剣術の使い手で上位の冒険者になった奴もいる。

つまりは『資質=強さ』じゃないって事だな。


 そういった目に見えない『強さ』を測るには実績を見るしかねえ。

今までこいつは受注制限がかかっていたんだが、今回の任務達成でその制限は解除された。

おっと、勿論調子に乗りすぎないように見張ってやらないとだがな。

そんな事を考えていた時だった。

あいつが現れたのは。


 黒ずくめの男。

黒い槍に黒いコート、黒髪黒目と黒一色だ。

だが、恰好なんてどうでもいい。

問題はそいつの持つ異様な雰囲気だ。


 この時間帯はさして人は多くない。

俺たちみたいに飲んだくれてる奴もいるが、朝や夜に比べれば半数以下だろう。

そのほぼ全員がそいつに視線を向けていた。

上手くは言えないが生物としての防衛本能とでも言えばいいんだろうか?

油断するな! 気を抜くな! って本能が警鐘を鳴らしたんだ。


 後で聞いた話なんだが、その時そいつを見た者の中におかしな幻を見た奴らがいたんだ。

連中が言うには、あいつが巨大な黒い蛇に見えたんだとか。

何だそれはって笑い飛ばせる奴はいなかったな。

何しろそう言った奴らは、みんなここでは有数の腕利きばかりだ。

俺はランクDだが、連中は最低でもランクDDで経験も伴った凄腕だ。

そいつらが全員? 妙な説得力を感じちまうじゃねえか。


 受け付けはランクCだと驚いていたが、そんなはずはねえ。

アレは確実にそれ以上の力を持った怪物だ。

魔人族ってのはあんな化け物ぞろいなんだろうか……。

何でそんな奴が新人としてギルドに登録するんだ?


 結局俺たちはそいつが2階に消えるまで、祝賀会も忘れて呆然とその姿を追っていた。




テンプレで絡む奴はいなかった。

いや、西大陸のギルドには勇者バカがいるかもしれない。


そして通貨。

RWOでは金と言っていただけで、詳しい通貨単位を説明していなかったような……。

もしかして一回もゴールドってルビもいれてなかった?

やっちまった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ