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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第2章 獣人大陸内乱編
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極光降臨

投稿再開です。


実は先週RWOの番外編を更新したのです。


割り込みだったせいで解りにくかったですね。

 2頭の案内に従い竜の巣に近づいていく。

竜達は遠巻きに眺めているものが大半だ。

同胞の客だと言われても、ニクスの事もあるので信じてよいか判らないのだろう。


「で、どこへ行くんだ?」


〈いや、ここで待とう。騒ぎが大きくなる〉


〈長からもこちらが見えたはずだ。おそらくすぐに……〉


ザワリ


 竜達の垣根が割れ、一際大きな竜がこちらに近づいてきた。

2頭に目をやると頷かれた。

こいつが長か。

話が通じるといいんだが。


〈……我の言葉に耳を貸さず、勝手に出て行った馬鹿共が何の用だ? それにこの男は? 返答次第では覚悟せよ〉


 いきなり不機嫌だった。

つーか、覚悟せよとか言われてるし。

こいつら出て行く時、何言ったんだか。

まあ、覚えてないんだろうけど。


〈長よ、それについては事情があるのだ!〉


〈皆にも関係のある話だ、どうか聞いて欲しい!〉


 必死に頼み込む2頭。

長は胡散臭そうにしている。

っていうか、俺は無視かい。

他種族の事は完全に見下しているようだ。

元々人間(人型生物全般)などどうとも思っていなかったのだろう。

ニクスの件でむしろ嫌悪感が増している感じだ。


 だが、過ぎた自信は油断につながる。

ニクスのギフトは互いの実力差を無視してジワジワと効果を及ぼす。

場合によってはこの長が洗脳されていたかもしれないんだがな。

しかし、長は聞き入れない。


〈それを信じろと言うのか? 高々ドラゴノイド1人に成竜5体を含む20体近い竜が操られていると? 我や皆も影響を受けている恐れがあると? 馬鹿馬鹿しい……〉


〈長よ……〉


〈しかし、現実に……〉


 説得は難航している。

これだから堅物は嫌なんだよな……。

ていうか、成竜5体だったんだ。

聞いた話だと3体だったんだが、温存してたのか増やしたのか。

まったく面倒だな。


ギロリ


 うわ、こっち睨んだ。

話が纏まるまで放っておいて欲しかったよ。


〈おい! そこの小僧! 貴様もこ奴らと同じ戯言を吐きに来たのか!?〉


「あ~、まあ、そうなんだけどね……」


 長の口調が荒くなっている。

相当ヒートアップしているようだ。

幸いなのは、周囲の竜達が長ほど頭ごなしに否定している様子が無い事だろう。

考えてみれば成竜を含む竜十数体がニクスに従っているのは異常だ。

内容はともかく特殊な事情があると言われた方が納得は行くのだろう。


 すでに2頭の話などまともに聞いていない長。

どれだけ長をやっているのか知らないが、考えが硬直してしまっているようだ。

こりゃ、長老竜に成れる器じゃないかもな。


〈もうよい! そこまで言うのなら証拠を見せろ!〉


「あ? 俺?」


 失礼な事を考えていると、再び矛先が俺に向いた。

ああ、もう穏便な説得は不可能だな。

2頭に目をやると沈んだ顔で頷いた。

長の未来に暗雲が立ち込めるのを感じたのだろう。


「まあ、いいけど。それより証拠って?」


〈簡単な事だ。力を示せ〉


 なるほど簡単ですな。

っていうか、そんな単純な話か?

あれこれ説得するよりは楽だけどさ。


-----------------


 2頭は自分達を救った(叩きのめした?)魔人がその気になった事を感じた。

もし彼の配下が複数体呼び出されれば、この地はおそらく壊滅するだろう。

だから何とか長を説得したかったのだが、長のこちらに対する心象は想像以上に悪くなっていた。

その点に関しては非はこちらにあるのだが、この状況はまずかった。

とはいえ、もう自分たちにできる事は無い。


ドン!


〈むう!?〉


〈なんという……〉


 長の言葉を受けフィオが力を解放する。

長どころか長老たちをも超えかねない凄まじい力の奔流だ。

集まっていた竜達が驚愕して後ずさりし、長は絶句している。

隙だらけである。

魔人は容赦なく攻撃に移る。


「そらよ!」


メキメキ ゴッ!


〈〈!?〉〉


〈グバァ!?〉


 意外な事にフィオは槍を使わなかった。

代わりに左の拳を突き出す。

そして次の瞬間、左腕は巨大な獣のように変化し長を殴りつけた。

腹ににまともに食らい吹っ飛ばされる長。


 こちらの世界に来て数カ月。

そろそろフィオも自身の力を掌握してきていた。

さすがに100%とはいかないが、最初に魔神モードになった時のように魔力を暴発させる事は無いだろう。

今の一撃は左手だけ大悪魔アークデーモンモードに変身させたものだった。


 魔神形態を10とすれば、普段の魔人形態で発揮できる力はせいぜい1だ。

しかし、大悪魔形態ならば引き出せる力は3となる。

1が3なら大したことは無いように思えるが、桁が千なら、万なら、3倍という差は途轍もないものとなる。


「ほれ、もう終わりか?」


 ドSな顔で長に歩み寄るフィオ。

左手は元に戻っているが、今度こそ槍を振るうつもりの様だ。

2頭がさすがに止めるべきだと思ったところで予想外の事態が起こる。

突如、遥か上方から強大な魔力が向けられてきたのだ。


〈これは……〉


〈長老達か?〉


 間違いない。

竜族の頂点たる長老達がフィオを威嚇しているのだ。

長老たちは世界樹の守護以外には無関心なのだが、フィオの魔力を世界樹の脅威とみなしたのだろう。

ビリビリするような魔力に竜達も身動きが取れなくなる。

だが


「ふん、長老とやらか。別にお前達をどうこうするつもりは無いぞ?」


 フィオは臆することなく声を上げる。

長老達に向けて念話の様なものも放ったのだろう。

しかし、降り注ぐプレッシャーは変わらない。

フィオは無表情になるとポツリと呟いた。


「最初の躾が肝心って事かね……」


リィン


 フィオの握る槍が澄んだ音を立てた。

はめ込まれた宝玉が輝きを放ち、応えるようにフィオの隣に巨大な光の渦が発生する。

虹の輪のように、束ねたオーロラのように渦は輝きながら大きくなっていく。


〈あ、あれは……〉


〈ゲートか?〉


 それは転移や召喚で使用されるゲートによく似ていた。

だが、そのサイズも発する魔力量も桁外れだ。

やがて渦は同サイズの光球を生み出して消え去った。


 光は収束し見慣れた形を取り始める。

すなわちドラゴンの姿を。

だが、これは本当に自分たちと同じ種族なのだろうか?

そう思わずにはいられないほどソレは隔絶した存在だった。

極光竜カリス。

フィオの使い魔の中で最強の存在であった。


 長の3倍はあろうかという巨体。

全身は万色に煌めく鱗で覆われ、いたる所から虹色に輝く水晶が生えている。

背中には一際巨大な水晶が存在し、そこから放出される光の粒子がオーロラの翼を形成している。

その神々しい姿はまさに神竜と呼ぶのにふさわしい存在だ。


 本能が理解する。

アレは長老達が束になっても、あっさりと返り討ちにできる真正の怪物だ。

さらに問題なのはアレを呼び出したのはフィオであること。

そして長老達はフィオに喧嘩を売ろうとしていたという事だ。


〈ま、まずい……〉 


 極光を纏う水晶竜は、焼けつくような怒りと禍々しい殺意を漲らせている。

あきらかにご機嫌はよろしくない。

いや、よろしくないどころではない。

上空に向けて顎を開き始めたではないか。


 ドラゴン最強の武器、ドラゴンブレスを放とうとしているのだ。

通常のドラゴンブレスは、圧縮した魔力を放つ荷粒子砲の様な能力だ。

しかし、カリスの本気のブレスはそこに全属性の魔力を上乗せしたもの。

その威力は戦術兵器クラスである。


 もっともカリス自身は威嚇のつもりである。

全身の水晶も励起していないので、通常のブレスを撃つつもりなのだ。

ただし、それが解るのはこの場ではフィオだけである。

そして全力ではなくても、その威力は長老竜を一撃で消し飛ばせるほどのモノだった。


〈ゴアアアアアア!〉


カッ


 眩い閃光と共に放たれたブレスは雲を貫き天に消えていった。

上方から向けられる敵意は痕形も無く消えていた。


------------------------


ギロリ


〈〈〈〈!!?〉〉〉〉


 長老達を黙らせたカリスが周りの竜達を睨みつける。

カリスの前ではドラゴンもただの大トカゲである。

久々に登場のカリスである。

あまりにも強すぎるので使いどころの難しい使い魔。

そしてゲーム時代から数えても1歳にも満たない最年少である。

何てデカイ子供なんだろう。


「お、来たな」


 アホな事を考えていると雲の上から1頭のドラゴンが舞い降りてきた。

長よりも一回り大きい竜、長老竜だ。

ようやく話を聞く気になったようだな。

さっきの脅しが効いたのだろう、敵意は完全に喪失している。


「ようやく交渉に入れるな。全く、面倒かけてくれる」


 竜達にとっては面倒どころか災厄にも等しいのだが、フィオとしては親切のつもりである。

実際、フィオには竜達が洗脳されていないか調べる義務は無いのだ。

ともあれ、ようやく交渉相手が到着するのだった。


カリス降臨。


大悪魔モードと同レベルの強さを持つカリス。


RCWなら大悪魔&カリスのコラボバトルも可能です。

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