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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
序章 神からの依頼
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歪みと弊害

〈さきほど『歪み』について話したな。実は最近『歪み』が転生の輪に悪影響を与え出したのだ〉


 そういや、さっき俺には歪みが無いとか言ってたっけ。

異界の物は異物だとかなんとか。


〈まずは『歪み』について教えよう。歪みとは世界を歪ませ悪影響を与えるモノの総称だ。怨念や悪感情などが代表的だな。生物は死ぬと、世界にそういった歪みを残して転生の輪に入る。そして転生の輪を漂いながら、完全に歪みを浄化した魂から転生して行くのだ〉


 転生の輪、洗濯機みたいだな。


〈よって、歪みは自然に発生するもので、それ自体は必要悪だ。問題なのは、その量が異常に増えてきている事なのだ。世界に残った歪みは周囲に影響を与える。ある時は心を歪ませ、ある時はその身を異形に変える。時には、歪み自体がモンスターとして具現化する事もあるのだ。〉


「原因は解ってるのか?」


〈急激な人口増加と技術の発展。そして、それによる異界の異物の流入だ。前者だけならばそれほどでもないのだが、後者が致命的だった。異界の生物や技術は我々の想定を逸脱させてしまう〉


 アサガオの観察をしていたら、いきなりヒマワリが接木されていたようなものか。

そりゃ歪むわ。


〈最も原因の一端は我々にもあるのだがな……〉


 蛇神は苦渋に満ちた声で話し始める。

実は蛇神の眷属には悪魔が、白き神の眷属には天使がいるらしい。

悪魔は試練を与え、天使は導く。

直接手を出せない神の代わりというわけだ。


 なぜ悪魔に試練を与えさせるかというと、俺達で言う性悪説によるものらしい。

つまり、平穏と安寧だけでは人の心は腐っていく。

楽するだけでは成長も発展もしない。

そういう理由があるそうだ。


 賛否両論ありそうだが、俺は理解できた。

しかし、ハノーバスの人間は納得できなかった。

その為、黒き神=邪神とされてしまったのだ。


 だが、悪魔も試練を与えるだけではない。

争いあっていた2者を襲い、共通の敵となる事で争いを鎮めた事もあるそうだ。

共に協力して戦ったことで、両者は和解したとか。

個人から国単位までよくあった事らしい。


 恨まれ、最後には殺され、それでも悪役であり続ける。

何て素晴らしい自己犠牲。

しかし、それも他人だから言える感想なんだろうな。

実際の関係者にしてみれば、たまったもんじゃないだろう。


〈彼らは考えた。どうにか自分達は楽をして発展できないかと。そしてたどり着いたのが、邪法『異世界召喚』だったのだ。術を作りだしたのは元ヒューマンの神種だった。奴の死後知ったのだが、奴はいわゆる『転生者』でその魂は異界の物だったのだ。前世の記憶も持っていたらしく、進み過ぎた技術をばら撒いて歪みを強くしおった〉


 どうやってこの世界に入り込んだのやら、と蛇神は未だにご立腹の様だ。

管理者の目を欺いて侵入か。

偶然か、必然かは知らんが、相当迷惑な奴だったようだ。


〈異世界召喚は術者の望む人材を召喚する。人間達は本来なら自分達が乗り越えねばならない試練を異世界人にまかせ、100年単位で進んだ技術を手にし、どんどん堕落して行った。終いには、人間同士の争いの武器として異世界人を呼び出し始めたのだ〉


 うーん、ありそうだ。

訳も解らない状態なら簡単に洗脳できるだろうし、金と女でも与えれば男ならコロッといってしまうだろう。

ちなみに神は嘘を付けないし、契約は破れないらしい。

精神生命体である彼らは、自己規律の背反が自己の存在否定につながるとか。

精霊も同様だ。


 こうして歪みは増大し、それがさらなる歪みを招く。

神様たちも困り果ててしまったそうだ。


〈そして遂に転生の輪に影響が出た。魂の歪みが浄化しきれなくなり、転生がスムーズに行かなくなってきたのだ。新たな生命の誕生の停滞。この他にも弊害が多く出る。まさに世界の危機と言える。最悪の場合……〉


「大戦争とか天変地異でも起きるのか?」


〈世界そのものが弾けて消える。現に今、この世界の境界線は薄くなってきている〉


 うえ!?

それは困る。

俺、まだ生まれたてだよ。

いきなり世界ごとさようならとか勘弁してくれ。


〈そこで汝に依頼だ。世界の歪みを許容範囲内にまで浄化して欲しい。我の浄化の権能を与えるので、それを振るって欲しいのだ〉


 うーん、何したらいいか解らなかったし、世界と心中はしたくない。

否定する理由もないし、受けるか。


別にアンチ転生モノってわけじゃないですよ。


ただ、こういう見方もあるかなーと。

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