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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第1章 異世界召喚編
21/216

潜入任務

 今晩は。

草木も眠る深夜。

久々に登場のアサシン・フィオです。


 場所は要塞。

獲物は王族貴族でございます。

……悪乗りしすぎだな。


 要塞にたどり着いた俺は攻め方を考えた。

要塞ごと吹っ飛ばすのが簡単だが、生かしておいた方が良い者もいるだろう。

なら、外に全員誘いだして選別すればいい。

1人1人調べて回ったら限が無いしな。


「えーと、こいつは伯爵か。シミラ、ゴー」


 貴族の部屋に侵入し、記憶を探る。

……。

……。

はい、ギルティ。

さすがクズ皇帝の取り巻き。

期待を裏切らないゲスだ。


 心臓にサマエルを突きたて抹殺。

部屋を出る。

見張りも巡回も俺の姿には全く気付かない。

目の前にいても認識できていない。


 彼らが無能なわけじゃない。

むしろ有能な方なのだろうが、俺の隠蔽を見破れる者はいないのだ。

さらに、こういう施設には付き物の魔力を探知するセンサー類が全て修理中だ。

楽なのは良い事だが何があったんだろう? 


「放火魔は留守か。またどこかで同じ事やってるのかな……」


 異世界人、ファンとかいったか?

そいつの放つ歪みが感じられない。

仕事熱心だな。

傍迷惑な……。


 警備の厳重な方、厳重な方へ進んでいく。

こっちに重要人物がいると教えてる様なものだな。

途中で双子の父親の部屋らしき場所を見つけたが居なかった。

保護者面談は後回しか。


「お、いたいた」


 皇帝には3人の息子と2人の娘がいる。

三男と長女は帝都で始末したけど。

帝王学というか何というか、ヤバい教育で酷い思想を植え付けられていた。

これじゃ国が歪むわけだ。


 ちなみに次女は頭がお花畑のポワポワさんだ。

後継者レースからは外れ、すでに貴族のもとに嫁いでいる。

ある意味ピュアな天然さんだったので放っておいた。

ともあれ長男の皇太子様を発見したわけだが


「……」


 はい、こちらレポーターのフィオ。

現場は混沌としております。

皇太子、第2皇子、他上級貴族の子息が勢揃いしております。

その倍ぐらいの数の女性達が倒れ伏しております。

一言で言うと乱交&SM(注:控えめな表現)の現場です。


 ……いかん、いかん。

オーケー、冷静になろう。

うん、避難先の軍事施設でいい根性してるな、こいつら。

男衆は寝ているだけだが、女性陣は悲惨だ。

暴行の跡が生々しい。


「……首が折られてるな」


 他にも魔法か薬物か知らないが正気を失っている者もいる。

全員奴隷だ。

助けてやりたいが、薬は肉体の傷にしか効果が無い。

死者蘇生も無理だ。

瀕死ならまだ救えたんだが。


「よく眠ってられるな、こいつら」


 肉体と精神の違いはあれど、死人に囲まれて爆睡か。

正気を疑うぞ。

これがこいつらにとっての普通なのだろうか?


「まあ、いい。死ね」


 ゲス共を始末し部屋を出ようとする。

しかし、ふと振り返ると精神を壊された女性がこちらを見ていた。

目の焦点は合っていないのに、こちらを見ていると理解できる。

近付くと彼女の口が僅かに動いた。


「(ころして……)」


「……」


 俺は生きる屍達に安息を与えた。

所詮、俺は破壊者だ。

世界と言う箱庭を維持するために、害虫を駆除する庭師にすぎない。

それでも憤りを感じるのは、元とはいえ俺が人間である証なんだろうな。


-----------------


 皇帝リゴール・メルビルは先日届いた報告書を、絶望的な表情で見ていた。 

謎の暗殺者による王侯貴族の暗殺。

異世界人達の失踪。

そして遂には


「異世界召喚陣が破壊され、修復不能だと……」


 帝国にとっての願いの叶う魔法の箱。

その切り札が失われた?

自分はこれからどうやって帝国を治めていけばいいのか?


 ファンは確かに強力な魔法使いに成長している。

しかし、彼にも寿命がある。

彼の死後、新たな英雄は現れない。

必要な技術も知識も自分たちで生み出さなければならない。


「出来るのか?」


 自問するが答えは否だ。

失ってようやく気付いた異世界召喚の負の側面。

強力な特効薬の恐るべき副作用。

まるで麻薬の様だった。

もはや帝国は異世界召喚無しでは何もできなくなっていたのだ。

それが失われた。


「どうすれば……」


「積み木と同じだ。一度壊して作り直すしかないな」


「!」


 思わず口からこぼれた呟きに答えがあった。

驚愕して目を向けるとテラスに人影があった。


「な、何だ貴様は……」


「解ってるんじゃないのか?」


 震える声でたずねるが、相手の言うとおりだ。

何者かなどはっきりしている。

一連の事件の犯人だ。


 なぜこんな事を?

どうやってあれだけの事を?

聞きたい事が多すぎて口に出ない。


「ここに来るまでにまた害虫駆除をしておいたぞ」


「な、に?」


 全ての思考が吹っ飛ぶ。

なぜなら途中には息子たちの部屋が


「これであんたの子供は天然ちゃん1人だな。ご愁傷さま」


「貴様ッ! 誰かいないのか! 衛兵!」


 しかし、何の反応も無い。

入り口の前には騎士が立っているはずなのに。

そして気が付く。

いくら深夜とはいえ、あまりにも静かすぎる。

兵の声はおろか風の音一つしない


「無駄だよ。結界を張ってある。逃げることも不可能だ」


「ぐうっ……」


「さて、あんたに1つチャンスをやろう」


「何だと?」


「3日後、この要塞の南の平野に軍をそろえて待っている」


「何のつもりだ? この場で殺さないつもりか?」


「まあな。そっちも集められるだけ数を集めて挑むといい。例の放火魔君も連れてな」


「……後悔するぞ」


「させてみな」


 言い残すとテラスの気配は消えた。

皇帝は急いで部屋を飛び出す。

警備の騎士が何か叫ぶが耳に入らない。

向かう先は息子たちの部屋。


 仲の良い2人は、取り巻きと共に大部屋で楽しんでいるはずだった。

皇帝の様子から、ただ事ではないと察した騎士や貴族達が集まる。

そして遂に部屋の扉が開かれた。


「ああ……」


「こ、これは……」


 2人の皇子達はすでに冷たくなっていた。

おそらく毒の塗られた刃物で刺されたのだろう、苦悶の表情を浮かべていた。

さらに要塞のあちこちで暗殺された貴族が発見され、要塞は一気に騒然となった。


「陛下……」


 騎士の1人が声をかけるが、皇帝は反応しない。

その目からは涙が流れ続け、瞳の奥には憎悪が燃え盛っていた。


 

 翌日、皇帝は全軍に戦闘準備を進めるよう命を下した。

決戦は3日後、相手は帝国を騒がせている正体不明の勢力。

3日間で集められるだけの戦力を集めよ、と。


 最終的に集まった兵力は約3万。

帝国の総人口から考えると、とてつもない数の兵力だった。

教国が勘違いして迎撃の準備を始めるほどの。


 しかし、その相手は唯1人。

軍を用意すると言っても、それは彼が作りだした軍。

3日後の決戦の日。

帝国軍は自身の罪と向き合う事になる。


 なぜならその相手は、本来ならば自分達を守ってくれるはずの帝国。

その犠牲になった民の怨念だったのだから。



めったに書かないグロシーンでした。


どうも書き慣れないな……。


更新の順序どうしようかな?


今まで通りランダムか、まずはシリアスなワールドの第1章を終わらせるか……。


オンラインは相変わらず馬鹿騒ぎだし。

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