表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
序章 神からの依頼
2/216

転生の輪

 目を開くと、そこは荒野だった。


「???」


 自分の姿を見る。

豪奢な槍に黒いコート。

これは『フィオ』の恰好だ。


「ゲームの中? いや、それにしては……」


 リアルすぎる。

いくらRWOが「第2の現実」だとしても100%ではない。

そもそも、何時ログインしたのだ?

βテストはとっくに終わったはず……。

いや、それ以前に


「思い出せない……?」


 知識はある。

ゲーム内の事は思い出せる。

だが、リアルの事がほとんど思い出せない。

記憶喪失にしては違和感がある。


「どうなってんだ?」


 STの確認をするとビックリの数値が並んでいた。

以前の『フィオ』より遥かに強い。

スキルは覚えていなかったモノまで、おそらく全て持っている。

熟練度もそれなりだ。


 ただ装備のいくつかが無くなっている。

代わりにその能力がSTやスキルに追加されている。

まるで取り込んだように。


 アイテムを見てみると、βテストに存在したすべてのアイテムがあった。

以前ケイルにアイテム目録を見せてもらった事があったが、それより多い。

しかも個数はMAXだ。

金もカンストしている。


 改めて周囲を見渡してみる。

見渡す限りの荒野だ。

普通なら、こんな所に訳も解らず1人なら確実にパニックだろう。


 しかし、本人はまだ知らないが、彼は『聖魔』として転生している。

完璧な精神制御によって混乱などしない。

そして自覚は無くても本能が、「自分を害する者などいない」と判断しているのだ。

正確には「害する事ができる者」だろうか。


 ただし途方には暮れる。

ここがどこだか判らない。

何をすればいいかも判らない。


「とりあえず移動するか」


 ここで呆然としていても仕方がない。

そう思い歩き出そうとすると


〈ほう、面白いな……〉


「?」


 遠くから響くような、しかしはっきりとした声が聞こえた。

威厳のある声だ。

精神耐性を持たなければひれ伏していただろう。


 見渡すが相変わらず誰もいない。

何だったんだ? と思った瞬間、フィオの姿はその場から忽然と消え去った。


-------------


 そこは漆黒の空間だった。

ただし、下の方から淡い光が発せられている。

上下の感覚はあいまいなので、自分にとっての足側だが。


「天の川?」


 それは広大な光の輪だった。

金色の光の粒子が、途方もない大きさのリングを形成している。

自分の知る知識では天の川と例えるのがやっとだった。


 しばらく呆然と、その雄大な光景に見入っていると気付いた。

光の粒子が動いている事に。

そして自分にとっての下以外は、完全な闇だということに。

あれは星などではない。

ここも宇宙ではないのだろう。


 では、ここはいったいどこだ?

さっきまでの荒野の方がまだ理解できた。

ここは完全に理解の範囲外だ。

いっそ夢と言われた方が納得できる。


〈あれは転生の輪。光は魂だ〉


「!?」


 突然響いたのは先ほどの声。

慌てて見渡すが、見えるのは闇と光の輪だけだ。

だが、感じる。

ビリビリする様な力の波動を。


 明らかに単独では自分よりも強いだろう。

だが敵意は感じない。

それに言葉が通じるなら聞きたい事もある。

そう思った時、頭を触れられたような感触がした。


〈なるほど……、これはいいな〉


「お前は誰だ? ここはなんだ? 何をした?」


 低い声で問いかける。

まだ敵と決まったわけではない。

この状況では出来るだけ交渉するべきだ。


〈少し汝の知識を見せてもらっただけだ。そしてここは我の神域だ〉


「神域?」


〈そう、我は世界の管理者の1人。汝の認識で言えば神だ〉


 闇の密度が増し、収束し、巨大な何かが形作られる。

それは蛇。

転生の輪をも凌ぐ巨大な黒い蛇だった。


〈汝の名は?〉


「……俺はフィオだ」


 この姿の自分は「フィオ」と名のるべきだろう。

そう判断して答えた。


〈そうか。我はこの世界の死と破壊、それによる浄化と再生を司る神。冥界の蛇神、暗黒神などと呼ばれる事もある。魂の循環、輪廻転生の輪の管理者だ〉


「命を司る神ってことか。名前を聞いても良いか?」


〈よかろう。我が名はファラク・フォビア・ウロボロスだ〉


 こうして異界の聖魔と黒き神は出会った。


しばらく説明です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ