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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第4章 魔大陸決戦編
185/216

夜の国での戦い②

現在イラストレーターさんに見てもらうキャラ設定を作成しています。


外見などはあやふやなところが多かったんで意外に手間取ってます。


特にプレイヤーキャラは服装なんかがありますし。

 ヘカトンケイルの不死身の仕組みは判明した。

だが、まだその原理までは判明していない。

それさえ分かれば、突破口になるはずなのだが……。


 フェイが最初に感じた違和感というのは、この事だったのだろう。

世界樹を材料にしているみたいだし、エントと同じような群体なんだろうか?

だとしたら、ヴァルオークのような統率個体がいるはず。


〈グゲァ!〉


〈ギュエエエェ!!〉


 知性の欠片も無い咆哮を上げて掴みかかってくるヘカトンケイル2体。

少なくとも差があるようには見えない。

動きを止められている3体も同様だ。


〈……一応、効いてるのか?〉


 襲い掛かってくる2体を叩き伏せていると、少しずつだが動きが鈍ってきた。

肉体的なダメージは共有していても、精神的なダメージまでは共有していないみたいだな。

だからといって、それだけで死にはしないだろうけど。


 一番可能性が高いのは、アンテナのように11体のダメージを収束し配分する存在がいることだ。

その候補筆頭はグラーダだが、奴は何故か見当たらない。

そして、そんな派手な事をしていれば、魔力や生命力のパスですぐに居場所が分かる。

それが無いという事は、この共有能力はヘカトンケイルだけで完結していることになる。


〈どうだ? 何か解ったか?〉


〈う~ん、世界樹素材は同じ木の物みたいですねー〉


〈キュキュウ(巨人の心臓は全部別個体の物みたいですね。後はグチャグチャです)〉


 まあ、巨人と世界樹がメインで、そこにありとあらゆる生物を混ぜた存在みたいだしな。

素材となった生物1つ1つなんて分かるはずないか。

となると、やっぱり世界樹素材がカギなのか?

だが、探知能力に優れたリーフたちが分からないなら、俺にも分からないぞ。


〈……〉


〈ん? どうした、シミラ?〉


 突然シミラから情報が送られてきた。

これは、ヘカトンケイルの精神解析情報か?

あんな混ぜ物の精神なんてよく解析できたな……。

底知れぬシミラの精神干渉能力に驚愕してしまう。


〈む? こいつは……〉


 不要な情報がそぎ落とされていくと、最後の1人の情報が残された。

おかしなことに、5体のヘカトンケイル全部から、この人物の精神が検出されたようだ。

双子でも成長すれば精神は別物だ。

つまり完全な同一人物が5人も存在していたことになる。


〈見た顔だな。確かグラーダの取り巻きの吸血貴族……〉


〈……〉


 気の利くシミラが人物データを送ってくれた。

なるほど、マサン・タキシムか。

北に魔獣狩りに向かったグラーダについて行ったんだっけ?

グラーダの奴、自分の取り巻きも材料にしたのかよ。


〈で、こいつは何で5人もいるんだ? まさか五つ子って事は無いだろうし……〉


〈……〉


 俺が疑問を口にすると、さらなる情報が流れこんでくる。

これは、マサンの記憶か?

コイツに何があったんだ?


         *  *  *


「これが、究極の合成獣キメラですか……」


「ああ、そうだ。素晴らしいだろう」


 閣下は自慢げにしているが、私は震えが止まらない。

何という禍々しい気配なのだろう。

巨人でさえ私にとっては理解不能な強者だったが、コレはそんなレベルではない。


 こんなモノがこの世に存在しても良いのだろうか?

解き放たれれば、この世界を食い尽くしてしまうのではないか?

何故、閣下はこんなものを作り出して平然としていられるのだろう。


 いや、それ以前に何故こんなモノを11体も作り出したのに消耗した様子が無いのだ?

閣下の能力は作られた合成獣が強いほど、多いほど膨大な魔力を消耗するはずなのに。

目の前の人物は本当に――


「マサン」


「は、はい!!」


「君の能力は様々な獣に変身するものだったな?」


「そ、その通りです閣下!!」


 何をいまさら聞くのだろう。

私の変身能力など昔から何度も見ているというのに。


「じゃあ、これに変身できるかい?」


「これは?」


 閣下の手にした、水入りのガラスビン。

その中には小さな生き物が入っていた。

ヒル、ではないな。

何だろう?


「閣下、これは……」


「これはプラナリアという、非常に再生力の強い生き物だ。どうだい? 変身できるか?」


「はあ、やってみますが……」


 ビンを開け、プラナリアという生き物を手の上に乗せる。

そして魔力を通して、その構造を身体に記憶させる。

これで、この生き物に変身できるようになった。


「問題なさそうです」


「では、さっそく変身してくれたまえ」


「はい」


 何だろう? 閣下はこんな口調だっただろうか?

だが、なぜか言う事を聞くのが当然という気になってくる。

言われた通りプラナリアに変身する。


「よしよし」


――ザン


 なるほど、確かにすごい再生力だ。

閣下が私の下半身を切り落としたというのに、また生えてきた。

それだけではない。

切り落とされた下半身も動いている。


 いや、動いているだけではない。

傷口が盛り上がり上半身が生えてくる。

なんと、私が2人になってしまった。


 閣下は私達・・をさらに切り刻み、数を増やした。

思考がまとまらない。

どうやら、分裂するほどに自我が薄くなってしまうようだ。


 そういえば、ドゥモーアの分裂能力は、あまり分割し過ぎるのは危険だと聞いたことがある。

ヘルトの霧化能力も、自分を拡散させすぎると意識を失うリスクがあったはずだ。

同じことが自分にも起こっているのだろう。


「よしヨシ。君は有用ダな、マサン」


 閣下が嗤いながら私たちの身体を弄り始める。

何かの術式を組み込んでいるのだろうか?

良く解らない。


「ヨし、デは1人が1体ヘカトンケイルの所ニ行きタマえ」


 私たちは閣下が命じるままに、ヘカトンケイルの元に向かった。

そして閣下の能力でヘカトンケイルと合成された。

……閣下は、本当に我が友グラーダだったのだろうか?


          *  *  *


〈おいおい、マジかよ……〉


 最近、思考が人間離れしてきたと自覚のある俺。

そんな俺でも、今見たマサンの記憶には正直ドン引きだ。

イカレてるとか、そういうレベルじゃないぞ。


 いくらグラーダが外道だとしても限度がある。

これはギフトの使い過ぎで完全に壊れてるな。

早めに見つけて始末しないと、とんでもない事になりそうだ。


〈シミラ、ご苦労さん〉


 さて、カラクリは解った。

認識してしまえば俺にも見える。

物質的ではなく霊的なアンテナ。

マサンの魂。


神槍ロンギヌス起動〉


 俺の握る巨大な神槍杖が輝き始める。

共有化はメリットでありデメリットでもある。

1体への攻撃を全体に拡散してしまうからだ。


 それが肉体へのダメージならば問題はないだろう。

だが、霊体や魂への攻撃だとすればどうだ。


〈今、解放してやるよ〉


 ズン!!


〈グギョ!?〉


 俺は手近な1体に神槍杖を突き込んだ。

どうせ共有化されるのだから、どいつでも良かったのだ。

輝く切っ先は、ヘカトンケイル全体から見ればほんの欠片に過ぎない、マサンのなれの果てを貫き、消滅させた。


 巨大なヘカトンケイル11体を、全てを即死させる大ダメージを与える。

それはさすがに無理だが、マサンの肉体に対象を限定すれば一掃は十分可能だ。


〈どうだ?〉


〈変な感じが消えましたー〉


〈キュキュウ!〉


〈……〉


 他の個体のマサンの身体も消滅したようだな。

傷自体は小さかったので、槍を引き抜くとすぐに消えてしまった。

だが、続いて爪で縦に引き裂いてやると――


〈よし! 消えない!〉


 これでダメージの共有化はできなくなった。

鬼王国と獣魔国に向かった6体も問題無く倒せるだろう。

全く手間をかけさせてくれたものだ……。


〈グギイイイイイィ!!〉


〈ふん!〉


 背後から襲い掛かってきたもう1体の足に蛇の尾を噛み付かせ、ひっくり返す。

その隙に傷が治りきらない目の前の1体を、流星のような連続突きで穴だらけにしてやる。

さらに蛇の尾を振り回し、捕らえた1体をボロボロの1体に叩きつけ、止めにブレスをお見舞いしてやった。


〈まずは1体〉


 世界樹と巨人の生命力にも限界がある。

粉々に爆散したヘカトンケイルは、そのまま塵となって消え去った。

生き残ったもう1体の傷も深い。

これなら、さほど時間をかけずに始末できそうだな。

だが――


〈結局、核になっていたのは吸血貴族だったか……〉


 なら、グラーダ本人はどこにいるんだ?

忘れてた人も多いであろうマサンの末路。


時系列的には、この後に鬼王国と獣魔国での戦いが始まるわけです。

順序入れ替えた方が良かったかな?


次話、ようやくグラーダの居場所が判明。

さて、嫉妬に狂った彼はどこに?


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