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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第4章 魔大陸決戦編
178/216

映像会談

先週末は保存できなくて執筆できなかった……。


代わりにジャンクボックスに投稿しました。


なんか最近このパターン多いような……。

 夜の国、王城の大会議室。

そこには夜王ジェイス、王妃ルーナ、そして貴族を始めとした重臣達が集まっていた。

全員の視線は中央の大机に向けられている。

いや、正確にはそこに浮かぶ銀色の霧に。


「始めてくれ」


 ジェイスの言葉を受け、銀の霧が動き出す。

霧は3つの塊に分かれ、徐々に輪郭が鮮明になっていく。

やがて霧は3人の人物の姿に変化した。


鬼王ゴウエン


魔人連合国議長タラス


獣魔王リュケウス


 彼らは夜の国を除く3大国のトップ達だ。

だがゴウエンとタラスは鬼王国の砦に滞在しており、リュケウスもまた獣魔国を出ていない。

これはシミラの幻術を利用した、疑似的なテレビ会議の様なものだった。


 鬼王国ではアリエルが、獣魔国ではプルートが会議に立ち会っている。

彼らがシミラと情報の送受信を行い、会議を成立させているのだ。

当然、3人の元にも同じような映像が投影されている。


「お久しぶりです、議長閣下。そして鬼王陛下、獣魔王陛下、私が夜王の座を継いだジェイスです」


「うむ、息災の様で何よりだ」


「成程、貴殿が……」


「ふむ、若いが良い目をしているな」


 まず、新参のジェイスが自己紹介を行い会議が始まる。

最初に行われたのは情報のすり合わせだ。

当人たちの口から直接聞き、記録しなければ公文書として扱えない。


 議長は魔人連合国内で暗躍していた工作員について話す。

その過程で、冒険者にして使徒であるディノという人物の情報が開示される。

普通なら素直に信じられない内容だが、鬼王国にも獣魔国にも彼の部下がいる。

そもそも、この会談自体彼らの尽力によるものだ。

納得こそすれ疑うようなそぶりは全くなかった。


 鬼王は国内で起きたクーデター未遂について話す。

グラーダの部下の暗躍と扇動された豪族たちの末路、先王の死なども全て伝える。

途中アリエルからの捕捉が入ったのだろう、工作員の最後なども伝えられた。


 獣魔王は国内の意見の分裂や、強硬派の暴走などについて説明する。

戦士団は動員してあり、進軍する事は可能だが、現在は国境守備に留めている。

解放された獣魔たちは大半が家族の元に帰ったが、未帰還者の家族が強硬派に所属し、今回の暴走に繋がったという経緯も説明された。


 そして、最後に夜王のジェイスがこれまでの経緯を話し出す。

夜の国のクーデターに始まり、ディノとの出会い、夜の国への侵入と王位継承。

そして現状を細かく説明していく。


「むう、世界樹と巨人に手を出すとは……」


「もはやグラーダはグラーダではないのかもしれません。優秀な男ではありましたが、そこまで人間離れしてはいなかった……」


「あ奴らの生存は絶望的か……」


 ヘカトンケイルに話が及ぶと獣魔王の顔が陰る。

5000の強硬派たちもまた彼の愛する同胞だ。

ましてや彼らの暴走は同胞たちを想うが故。

できる事なら助けたかったのだろう。


 その後も様々な情報交換が行われた。

そして、ジェイスが本題を切り出す。


「では、次の議題です。あと数日もすれば攻め寄せてくるであろう、未曽有の危機についてです」


「うむ」


「本題というわけか」


「まずは紹介しておきましょう。ディノ、姿を見せてくれ」


「ああ」


「「「!?」」」


 ジェイスが声をかけた直後、それに応じる声が響く。

そしてジェイスとルーナの席の間に、いつの間にか1人の青年が立っていた。

その肩には緑色の獣が乗っており、頭の上には妖精が寝そべっている。


「鬼王殿、獣魔王殿は初めましてだな。使徒という話は聞いていると思う。ディノと呼んでくれ」


〈私はフェイ、こっちはリーフ。そっちにいる連中の同僚だよ~〉


 鬼王と獣魔王の映像がフリーズする。

どうやら向こうで何かあったようだ。


〈どうしたんですかね~?〉


「……鬼王殿や獣魔王殿の部下が無礼だと騒いでいるんだろうな」


 暢気なフェイにジェイスが疲れたように答える。

ルーナは苦笑しているが何も言わず、フィオは気にも留めていないようだ。

そこでジェイスは気になっていた事を聞いてみる事にした。


「なぜ、ディノと名乗り続けるんだ? ある程度の事情は話すんだろう?」


「グラーダを倒した後の事を考えるとな……。英雄や神は姿を消して、その後は見つからない方が良い」


「成程、姿を隠す気なのか」


「ほとぼりが冷めるまでな」


 そんな事を話していると、映像が動き出した。

鬼王も獣魔王も、表面上は平静を装っている。

議長は苦笑いしていた。


「失礼、少し部下が揉めてな」


「うむ、礼儀は不要だ。話しやすいように話してくれ」


 2人もこんな下らない理由で会議を中断させたくないのだろう。

平静を取り戻し、話の続きを促す。


「では、聞いてもらおう。グラーダは邪悪な呪いを身に宿している。それは宿主に強大な力を与えるが、使い続ければ宿主を蝕み破滅させる」


 それは夜の国の重臣たちにリーフが話した内容と同じ。

魔人連合国で議長たちが聞いた話より、さらに突っ込んだ内容だった。

鬼王と獣魔王にとっては初めて聞く話だ。


 普通なら笑って無視する内容だがそうはならない。

全員が本人の、あるいはその配下の強大な力を目にしているのだから。

そもそも、グラーダという明確な脅威が目前に迫っているのだ。

それに対抗できる力ある存在と言うだけで充分だった。


「……まあ、こんなところか」


「むう……」


「にわかには信じがたいが……」


「信じぬわけにはいかぬか」


 その後も会議は続く。

議題の中心は当然、如何にヘカトンケイルを打ち倒すかとなる。

だが、ヘカトンケイルの情報は少ない。

その為、効果的な策を練る事が難しかった。


 ドンドン!!


「会議中失礼します!」


「何事だ?」


「実は謁見を求めている者が……。何でもヘカトンケイルと戦ったとか」


「何だと!?」


 その時、会議場に衛兵が飛び込んできた。

傷だらけの獣魔が謁見を求めてきたというのだ。

ある情報を携えて。




「矢が効かない?」


「正確には、木や魔獣素材などは全て……。生物を……素材とした武器は、効果が無かったのです」


 会議場で報告しているのは傷だらけの獣魔の男だった。

最低限の応急処置だけで急いで駆け付けたのだろう。

疲労困憊の様子だが、眼は使命感にギラついていた。


 何としても情報を持ち帰る。

そして4か国の指導者に伝える。

その為だけに我が身を顧みず走り続けてきたのだ。


 そう、彼はヘカトンケイルに挑み、破れた獣魔国の強硬派。

その、おそらく唯一の生き残りだった。

そして彼の持ち帰った情報は確かに黄金の価値があった。


 ヘカトンケイルに生物を素材とした武器は効かない。

奴の身体に接触した瞬間に吸収、いや喰われてしまうのだ。

吸収されなかったのは金属や鉱物製の武器のみ。

それを伝えるために、彼は離脱したのだ。

彼を逃がすために、必死に足止めする同胞に背を向け。


「ハア、ハア、身勝手な……行いであったことは、承知しております。ですが、許せなかった!! あの男が、グラーダが! 私は、私、は……」


「おい!?」


「早く医務室へ!!」


 自分の知りえた限りの情報を伝え終えると、獣魔の男は意識を手放した。

おそらく親しいものを失ったのだろう。

自分たちがダメなら、それを成せる者に託す。 

我が身を顧みることなど一切しない。

凄まじい執念だった。


「むう……」


「面倒な……」


 北大陸は他の大陸に比べると鉱物資源は豊富だ。

しかし、矢は鏃以外は木製だし槍の柄も木製だ。

魔獣の素材も多く使われており、それらを全て金属に変えるなど不可能だ。

そして


「それより気になるのは、ヘカトンケイルの姿形だな……」


「うん? ディノ殿は何か気になる事が?」


 小さく呟いたフィオ。

たまたま、それが耳に入った議長が問いかける。


「実はヘカトンケイルの事は、遠距離から何度か偵察しているんだ。その時に見た姿と、今の報告にあった姿が一致していない」


「つまり……」


「ヘカトンケイルは喰った獲物の情報を基に、急速に変化、あるいは進化してるのかもしれない」





ヘカトンケイルも決戦使用に。


そして、会議に乱入者が現れるのが定番になってきてます。

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