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リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
第3章 妖精大陸探索編
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余計な事

前回の感想ですでにバレてました。


でも、ボスがデカブツって定番じゃないですか。

 アールヴ文明は1人の転生者によって隆盛を極めた。

しかし、その人物の死によって衰退し、生前の暴挙によって滅びた。

1人の天才に寄りかかり過ぎた末の終焉であった。


 進み過ぎた進歩や過度な革新は身を亡ぼす。

現在のフェアリーやハイエルフ、ハイドワーフといった古き種族たちは保守的だ。

それは、この歴史を教訓としているのかもしれない。

直接的な記録が残らずとも、口伝などで伝わった教訓は多いのだ。


「このパイプは修復しない方が良いですね」


「まあ、それが妥当だな」


 エントを敵に回すなどバカのやる事だ。

連中は聖域の守護種族の中でも特に世界樹との繋がりが強い。

自身や仲間の死を恐れず徹底的に敵を殲滅する。

手を出さなければ無害なのだから、ちょっかいを出すだけ損だ。


「お待たせしました、マスター」


「ああ、どんな調子だ?」


「構造粒子体は十分です。情報粒子体は50%程でしょうか」


 テストタイプ・アンヘルの残骸を吸収したアリエルは6枚翼になっていた。

美少女兵器か、これも男の浪漫なんだろうな。

だが、彼女には戦闘能力以外にも、考えようによってはそれ以上の価値がある。

彼女はアールヴ文明の生き証人なのだ。

彼女が持つ情報はシリルスの大きな助けになるだろう。


「なあ、そのマスター登録は変更できないのか?」


「何かご不満でしょうか……」


「いや、不満っていうか、シリルスの方がお前を必要としていると思うんだよ」


「まあ、居てくれれば助かりますね。戦闘能力も保証されてますし」


 外見も、もう犯罪臭が薄れてるしな。

連れ歩けば大騒ぎになることは間違いないけど。


「方法は2つあります。調整用の施設で登録変更を行うか、エネルギー切れを待って再起動をかけるかです」


「ここでの変更は?」


「不能です」


「エネルギーはどれだけ持つ?」


「自己生成も行えるので、戦闘を行わなければ200年です」


 バッテリー容量デカッ!

まあ、相当持ってかれたしな。

施設が1のアリエルが9ぐらいの比率だった訳だし。

再起動かけるにしても、シリルスが充電するのは相当きついぞ。


 チラリとシリルスに目をやる。

すると、同じ結論に至ったんだろう、手をバッテンに交差して首を振っていた。

しかたない、俺が連れて行くか。

まあ、確かにこんな超兵器を持っていたら揉め事が押し寄せてくるだろう。

シリルスにとってはデメリットの方が大きいかもな。


----------------------


 その後、シリルスはアリエルの補助を受けながらデータを引き出し続けた。

正直言って暇だ。

アリエルは自分の機能が停止してからの情報を持っていないらしい。

そのデータも不完全なものが多い様だ。

辛うじて生きていた設備からデータを引き出して、自分の記録と照合している。

シリルスの質問に答えると共にアリエルからも質問が飛んでいるようだ。


「そうですか。製作者の死後、エントに……」


「まあ、自業自得なんだけどね」


「では、対エント用決戦兵器は間に合わなかったのですね」


「はい?」


「あ?」


 待て待て待て、何か聞きたくない単語が混じっていたぞ?

何、まだ要らん事をしていたのか?

勘弁してくれよ。


「製作者はいずれエント族と対決する日が来ることを予期していました」


「悪いのはそっちだけどな」


「エント族は非常に強力な種族です。水と土の属性を持ち、凄まじい再生能力と増殖能力を持っています。そして意外かもしれませんが、火は致命的な弱点とはならないのです」


 冒険者にとっては結構常識的な知識だ。

彼らは野宿の際、枯れ枝を拾って火を起こす。

生木を折っても水分が多く燃えにくいのだ。

さらに臭いと煙も多い。


 山火事などが起こるのは悪条件が重なった結果に過ぎない。

まず、晴れの日が続くと空気が乾燥し、木の水分も失われる。

そうなると外側の外皮が、枯れ枝と同じように燃えやすくなってしまうのだ。


 水分を多く蓄えたエントは火矢程度では燃えない。

それどころか火の魔法を水や土の魔法で迎撃したりする。


「製作者は対エント用の武器をいくつも考案していました。その中でも最大の兵器が『戦略級機動要塞ギガント・ルーク』です」


「……それってどんな兵器なんだ?」


「一言で言えば砦が変形する超巨大人型ゴーレムです」


「「……」」


 美少女天使の次は変形巨大ロボットかい。

フリーダム過ぎるだろ。


「それって必要だったんですか?」


「エントの長の『巨木のヴァルオーク』に対抗できる兵器はこれ以外無い、と周囲を説得していました」


「……その巨木の何がしってのは?」


「体長50mを超える巨大なエントです。一説には世界樹と共に誕生したとか。世界樹の分木という説もありました」


「ほとんど怪獣じゃねえか! そんなのがいるって知ってたのに世界樹にちょっかい出したのか!?」


「しかも完全にマッチポンプじゃないですか……」


 確かにそのサイズだと弱点どうこうは関係無い。

ゲームで言えばHPが高すぎるのだ。

HPが100万もあれば、ダメージが1だろうと10だろうと大差は無い。

上級の火魔法だってマッチ程度。

バリスタだって爪楊枝くらいにしか感じないだろう。


 そんなのが襲ってくるような原因作っておいて、対抗兵器を造らせようとするとは……。

もしかして、巨大ロボットが作りたいからわざとエントを怒らせたのか?

余計な事ばっかりしやがって。


「で、その巨大兵器はどこにあるんだ?」


「私が製作された時点では、まだ設計段階でしたので不明です」


「……シリルス」


「ええ、広範囲を迅速に調査させます」


---------------------


 1週間後、その報告は来た。

当然のように悪い知らせだった。


「樹海のかなり深部ですが、おそらくこれでしょう」


「デカいな……」


 記録用魔道具によって持ち帰られた映像。

そこには樹海にこつ然と現れた巨大クレーターが映っていた。

ただし、それがただのクレーターではない事は一目瞭然だ。


 通常のクレーターの様に、上から力が加えられた結果できたモノではないのだ。

そう、これは地下から何かが抜けだした結果できる穴。

まるでモグラの穴や火口のような外見だった。


「土が乾いていません。つい最近のモノです」


「だろうな」


 こんな物を手に入れていたら、もっと早く動いていただろう。

俺達の接近に気付いて樹海の奥に逃げた結果、偶然見つけたのかもしれない。

アールヴ達は製作者が死んだことで、こいつを動かせなかったんだろう。

だからゴラーにも扱えないだろうと思っていたのだが、甘かったか。


「来ますかね?」


「来るだろうな」


 『爛れた牙』、『テストタイプ・アンヘル』、『ギガント・ルーク』。

これだけの戦力があれば都市どころか国を相手にできる。

ゴラーは間違いなく動く。


「まあ、準備は進めているんですけどね」


「急いだ方が良いかもしれないな」


 さて、俺はどう動くべきだろう。

やっぱ、巨大ロボットの担当になるんだろうな……。



ちょっと短いけどきりが良い所で。


第3章のボスは巨大兵器となりました。


探索編とか言っておいて結局戦争だなぁ……。

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