表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバース チェンジ ワールド  作者: 白黒招き猫
序章 神からの依頼
1/216

プロローグ

 生物と無生物の差はどこにあるのか。

例えば、有機コンピュータと生物の差は?

魂とは何なのか。

多くの科学者がこの疑問に挑戦してきた。


 思考? 感情? 代謝?

思考も感情も、神経細胞ネットワークを走る電気信号であり化学物質だ。

有機コンピュータで機械的に再現が可能である。

培養されたクローン細胞臓器も代謝している。

では、これらは生きているのか?


 生物は死んだ瞬間重量が減るという。

その理由は?

呼吸が止まりガスが抜けたから?

代謝が無くなったから?


 これらの答えをオカルトに求める者もいた。

曰く、魂、精神と呼ばれるものは、未知の物質『霊子』によって構成されている。

物質に霊子が結びつく事で、生物となる。

人間は物質量に対し霊子量が多い。

虫などは霊子量が少ない。


 生物が死ぬと霊子は放出されてしまう。

だから軽くなる。

幽霊とは、生前の脳細胞ネットワークの影響を受けたままの霊子だ。

霊子は精神に影響するのだから、呪いなども説明がつく。


 しかし、これらは所詮仮説である。

根拠となる霊子が観測できないのだから。

きっとこの疑問は、これからも人類の英知に対しての壁として存在し続けるのだろう。


-------------------------------


 世界とは一つではない。

大きな湖に浮かぶ泡の様に、近付き離れ時に接触する。

この場合の距離は物理的な距離ではなく、空間的な位相である。


 接触した世界はある時は一つになり、ある時はまた離れる。

時として、本当に泡のように弾けて消えてしまう事もある。

そういったリスクを考えれば、孤立した世界は安全と言えるだろう。


 もっとも、お互いの世界の距離を固定する技術を生み出した世界もある。

橋や門の様な装置で互いの世界を行き来する。

そんな世界も存在する。


 目的の物を呼びよせる召喚魔法を、別の世界に行使する世界も存在する。

世界を泡に例えるなら、泡に穴をあける行為であり、非常に危険である。

自分にとっても、相手にとっても。



 ある時、非常に孤立した世界に、珍しく別の世界が接近した。

片方は魔力と呼ばれる力、霊子と呼ばれる物質が豊富だった。

もう片方は乏しかった。

2つの世界は接触し、僅かな時間で再び離れていった。


------------------------------


 広大な地下空間。

そこに、巨大な有機コンピュータが存在した。

かつて行われた、とあるゲームのβテスト。

その全データのバックアップが、ここに収められていた。


 そこに空間の亀裂が発生し、不可視の何かが流れ込んだ。

それは有機コンピュータ内に浸透し、そこに眠るデータと融合していった。

データと何か、霊子の融合したモノは、コンピュータ内部で最も大きいあるプレイヤーのデータをベースに自身を構成していく。

それは精神、魂と呼ばれるモノへと姿を変えていった。


 空間の亀裂が消え始める。

流れ込んだ霊子は、引き寄せられるように亀裂に吸い込まれていく。

それに引きずられるように、新たに誕生した魂は別の世界に旅立って行った。

後に残ったのは静寂。

後日、エンジニアがデータの消失に気付くのは余談である。


-----------------------


 そこは不毛の大地だった。

大陸の中央部という地理的条件により、何百何千回と戦争の舞台になった。

何十回と禁術クラスの戦略級魔法が行使された。

億を数える命が散り、大地に血が染み込んだ。


 結果、その地には超高濃度の魔力が滞留する事になった。

生物はもちろん、アンデッドや精霊さえも存在できなくなった。

魔力生命体である精霊にとって、魔力は酸素の様なものだ。

しかし、濃すぎる酸素が毒になるように、ここでは精霊も分解され魔力に溶けてしまうのだ。

負の魔力によって動くアンデッドも同じだ。


 そんな死の大地の上空に、突然亀裂が走った。

膨大な魔力が押し出されるように流出したが、亀裂が小さくなると押し返されるように戻ってきた。

そして亀裂が消える寸前、それは迷いこんできた。


 大きな魂が1つと、付属するように小さな魂が13個。

次の瞬間、この地に満ちる莫大な魔力が収束し始める。

核となるのは異界の魂。

腕が、足が、魔力によって構成されていく。


 そして全てが終わった時、この地の魔力は根こそぎ食いつくされていた。

ゆっくりと地上に落ちてくる人影。

その姿は黒髪に黒みがかった肌の青年。

豪奢な槍を握り、黒いコートを身に纏っている。


 周囲を舞う13個の魂がその身に吸い込まれる。

浄化された不毛の大地で、青年の目がゆっくりと開かれた。


「ここは……」


 そして始まるのは異世界を舞台とした、もう1つの物語。

黒き神の代行者にして、聖なる悪魔の物語。


前作外伝のコピーです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ