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好きになりすぎるのは悪いことですか  作者: ネロ
中学時代編

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5/5

深まり

瑶季とのやり取りが始まってから、柊の日常が少しずつ色づき始めた。最初は本当に勉強の相談だけだった。

瑶季が数学の関数問題で詰まったとき、「これどうやって解くの??」と画像を送ってきて、柊が丁寧に解説を送り返す。

柊は「俺なんか数学苦手なのに…」と思いながらも、瑶季の「わかった!柊くん神!!」という返事が素直に嬉しくて、つい長文で返してしまう。でも、話題はすぐに勉強以外に広がった。

瑶季

『ねえ柊くん! 今のバレー試合見た!?

あのスパイク、跳び方がヤバくない? 』

『見た見た。あれ、俺も真似したいと思った。跳躍力のタイミングが絶妙で…俺ももっと膝使えば届くかもって』

瑶季

『柊くん絶対できるよ! 体育祭のあのラストスパート見たもん! あれもうプロ級だったって!』

そんな感じで、テレビで試合がある日はリアルタイムで感想を送り合うようになった。

瑶季が「今このサーブ来たー!」って送ってきて、柊が「ブロックの読み合いが神ってる…」と返す。

試合が終わると「今日のMVP誰だと思う?」とか「次はあのコンビで攻めてほしいよね」って、まるで一緒に観戦してるみたいに語り合った。


次第に、LINEの頻度が上がっていった。

夜10時くらいから始まって、気づけば深夜1時、2時…。

瑶季が「やばい、寝落ちしそう…」って送ってきて、柊が「おやすみ、明日もがんばろ」って返すと、翌朝「ごめん寝落ちした〜!おはよ!」って来る。

授業中、瑶季が欠伸を我慢してるのを見て、柊がチラッと視線を送ると、瑶季がプッと吹き出して笑いを堪える。

休み時間に廊下ですれ違ったとき、瑶季が小声で「昨日の続き、今日の夜ね!」ってウインクしてくる。学校でも、少しずつ話すようになった。

最初は休み時間に瑶季が柊の席に来て「数学のこれ、ちょっと見て〜」ってノートを見せてくるだけ。

でもだんだん、放課後の教室でバレーの話になったり、瑶季が「最近フルート吹けてないな~」って愚痴をこぼしたり。

柊は相槌を打ちながら、内心で思う。

(瑶季と話してると、なんか…自然なんだよな)

クラスメイトの反応も、少しずつ変わってきた。

「あの二人、最近ずっと一緒にいるよね?」

「体育祭のあとから急に仲良くなったじゃん。付き合ってるんじゃね?」

そんな噂がチラホラ聞こえてくるけど、柊も瑶季も「え、そんなんじゃないよ!」って笑って否定する。

実際、恋愛感情なんてまだない。

ただ、瑶季の明るい声や、寝落ち前の「柊くんといると楽しい」みたいな言葉が、柊の胸に小さな波紋を広げていくだけ。


でも、柊自身は気づき始めていた。

こんなに長く、こんなに深く、話したのはずいぶん久しぶりだった。

ゲームのオンライン友達とはチャットで盛り上がるけど、それは画面越しで、現実に戻ったら消えるもの。

家族とも、学校の友達とも、こんなに「毎日話したい」と思ったことなんてなかった。瑶季とのLINEが来るたび、スマホを見る手が少し震える。

寝落ちのスタンプが来て「また明日!」って終わると、なんか寂しくなる。

授業中に瑶季の後ろ姿を見ると、つい目で追ってしまう。

(…これって、「深い繋がり」なのかな)

まだ「好き」とか「恋」とか、そんな言葉には程遠い。

ただ、瑶季がいるだけで、世界が少しだけ温かくなる。

「俺なんか…」と思い込んでいた自分が、瑶季の前では少しだけ「俺でもいいのかも」と思える瞬間が増えていく。


ある日の夜。

またバレー生中継を見ながら、瑶季からLINEが来た。

瑶季

『柊くん! 今のセット、めっちゃ熱いね!

…ねえ、いつか一緒にリアルで観戦とか…行けたらいいな』

柊はスマホを握りしめて、息を飲んだ。

心臓が、ドクドク鳴っている。

『…うん。行きたい。一緒に、観戦しよう』

送信した瞬間、顔が熱くなった。


これは、まだ「友達として」の言葉。

でも、柊の中で、何かがゆっくりと動き始めていた。



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