第一話〜ガチャと老婆とスライム〜
貴方は剣と魔法の異世界にてラスボス役に選ばれました!貴方が使える悪役ガチャは全て!ポイントで引けるガチャ数は30!それではスタート!
N:生活魔法(種火、清潔、飲水、止血、球光)
N:下級スライムテイム術(ゴミや肥溜め処理スライム)とそのスライム100匹。
N:生贄の無力な忌み子。(衰弱)
HN:身体強化術と威圧術。
HN:下位魔物テイム術とその角兎50匹と泥虫1000匹と泥鼠100匹。
HN:ドジっ子見習いメイド。
NR:料理を裏切らない(何があっても料理を冒涜しない、毒を入たりしない)そこそこ上手い腕の料理人。
NR:不完全な隷属の首輪10個。
NR:土魔法の才。
NR:風魔法の才。
NR:光魔法の才。
NR:火魔法の才。
NR:ただ美しくてただならぬ雰囲気があるだけのポンコツ少年。
R:完全な隷属の首輪10個。
R:偽装のチョーカー10個。
HR:氷結魔法の才。
HR:雷魔法の才。
HR:全鑑定の才(物品鑑定、鉱石鑑定、植物鑑定、人物鑑定)。
HR:公爵位相応の身分。
HR:忠誠度カンスト最上位騎士。
HR:忠誠度カンスト凄腕暗殺者。
HR:忠誠度カンスト万能家令(戦闘は最低限しかできない以外は何でもすごくできる)。
SR:宮殿(調度品に屋敷に庭園、広大な敷地、相応の金銭)。
SR:空間魔法の才。
SR:高位魔剣。
SSR:全状態異常無効(毒、病、呪い、恐慌、痒みや強過ぎる痛み、度を越した憤怒や悲しみ。)。
SSR:ダンジョン創造(外部空間、内部空間、魔素、ダンジョンコア)。
UR:神獣であるフェニックスの新鮮な死体一式。
UR:低位邪神の肉体。
***
カビの生えかかった少し臭う黒パンを齧って食べていく。硬い。歯にヒビが入りそう。味気ない。全体的に美味しくない。それでも生き残るために食べていく。水で押し込んで。
今日もスラムの端で、自分を嫌うあの老婆と共に狭いボロ小屋で生きている。ここはアーステールという世界の中の色んな国の中の一つ。その中のペラドットという大きな町にある名もなき小さなスラム。
自分の母親は、辺境開拓や鉱山奴隷に次ぐ過酷さで有名な魔石砕きの奴隷の女だった。毎日硬い魔石を岩で砕き続ける仕事。手に沢山の血豆ができて体が痣だらけになる仕事。そんな女が、珍しく人間の奴隷をしていた魔族に犯されてできたのが自分。『穢れ』と言われて、母親はそこから追い出された。行くあてもなくたどり着いたのが、このスラムだった。ここで産気づいた母から産み落とされたのが自分。魔族から頑丈さを受け継いだからか、産まれて2年たって母親が死んで以来、誰も世話をしてくれないけど、自分だけで生きている。
「いいか?あんたは呪われた子だ。なんたって逃げ出した奴隷の忌々しい魔族にレイプされてできたのがあんただからな。…あんたの母親は不幸な女だよ…。誰もあんたなんか愛さないよ。」
いつものように同じ言葉を吐く老婆。物心つくまでの読み聞かせの絵本や童話の歌のように、何度も何度も聴かされた言葉だった。自分はその意味を理解していた。ほとんど何も覚えてないけれど自分には前世の記憶と人格があった。だから理解している。
「……………。」
「無視すんじゃないよっ!!…ゲホッ…ゲホゲホゲホッッ!!」
大きく血の痰を吐き咳き込む老婆。こうなってからだいぶ経っている。自分の母親が死んだ後すぐくらいにはこうなって、そして自分のテリトリーのこの小屋にいつのまにか勝手に居着いていた。藁でできた上にある、薄いけど高級らしいちゃんとした布でできたシーツがのせてある寝床は、この老婆が1人で使っている。
「今日は泥鼠じゃない、パンが食べられてついているな〜。」
いつもは血抜きが不完全なせいで不味くて吐きそうになる、魔物の一種である、ウイルスだらけの泥鼠を焼いたもの食べている。何度も何度も生活魔法の『清潔』を使って痛む腹を落ち着かせながら。
「…チッ。何がいいもんかね。全部1人で食べやがってねぇ。」
「だって動いて食べものとってきてるの自分だけだし。いつもは半分こにして分けてあげているからいいでしょ!」
「……死にかけの老婆に対する扱いってのが…。」
「自分、あなたに育てられた覚えないもん。この家だって自分が母親からもらったものだし。」
とはいえ、泥鼠を食べるには死にかけすぎる老婆には、自分の取ってきたパンと水が生命線だ。それを今回1人で食べてしまったのは、人情がないと誹りを受けても仕方ないかもしれない。反省はしてないけど。
「あ〜。寝るか。」
ここは雪は降らないけど、それなりに寒くはなる。秋風が吹いている寒さと栄養不足によるふらつきと体力のなさ。それを凌ぐために今日も丸まって眠る。まだ幼児とも言える年齢…恐らく5歳なのに、その体温は全くといっていいほどぽかぽかしていない。そんなことを思いながら、無理に目を瞑った。
「……老婆?」
朝になって目を覚ましたら、老婆が氷のように冷たくなっていた。血なんて通っていないように。いつものごとく眉間に皺を寄せて苦しげな不満げな顔のまま、目を瞑って死んでいた。
「…あっさりだなぁ…。困るんだけど…。」
まだ5歳の体格では、ましてや栄養不足の体では、この亡骸を移動させることができない。だが放っておいたら、羽虫や蛆虫が湧きここがより不潔な場所になってしまう。かといって他に暮らせる場所なんてない。スラムの奴らは皆生きるのに必死で、この亡骸を移動させるのを手伝ってくれるとは思えないし、だからといって町の衛兵に頼むには、この魔族とのハーフだと一目でわかる自分の容姿で躓く。最悪の場合は忌み子として殺されるかもしれないし。
「…んんーー…。どうしよう…。」
こういう時、漫画みたいに簡単にスライムを使役して片付けられたらいいんだけど。…なんて。
「…試しにやってみるか。」
人の営みのある場所には、肥溜めやゴミを処理するスライムが必ずいるらしい。スラムの中でもなければ。
とりあえず、そっちの方にバレないように足を伸ばしてみることにした。このスラムの住人にはもう何回か蹴られて殴られた事がある。できれば関らないままでいたい。テイムされた下級スライムは知能が低いから、明確な攻撃をしない限りは襲ってこないらしいし。
久々に外に出ると、曇り空の隙間から覗く太陽の光が目に当たって少しチカチカした。外の臭いはあまりにもキツい。生ゴミの腐臭や糞尿の臭い、そして微かに感じる鉄臭い血の臭い。その血の臭いを辿ってみた。こんな事は普段ならしないけど、そこに町から抜け出してきたスライムがいるかもしれないから。
「いた。」
暫く歩いていると、血の発生源と思わしき事切れたばかりの血塗れた死体が。五匹ほどのスライムがその死体を横取りしあって捕食していた。
「血肉の味を覚えたスライムは、できれば勘弁したいんだけど…。」
そう思って観察していると、やがて死体の全てが捕食されきって溶けていこうとしていた。…時間がない。こんなチャンスがすぐにまたあるわけないし、迷っている暇はないか。
そう決めた瞬間、何かの詠唱が頭の中に浮かんだ。それに逆らわずに言葉を紡ぎ、魔力を込めていく。
「《日々を織り続ける者よ、願いの元で魔との契りを交わんと欲すか?我は魔素と魔力を捧げて今結ばん。全ては糧を得て日々を紡ぐため。喰球流物使役》」
目の前にいる五匹のスライムと自分の間に、確かに線が繋がった感覚があった。ちょうど詠唱が終わって暫くすると、死体は全てスライム達に捕食され終わったところだった。スライムと目が合ったような錯覚。5匹が自分をじっと見つめていた。
《『下級スライム5匹の使役に成功しました。』》
謎の声が聞こえたと共に、少しふらつく。そして直感で理解した。自分の中で3分の1くらい魔力が減った事に。
「……怠い。…あ〜…、えっと、自分について来て。」
怠くて今にも眠りたい欲求を我慢して、のろのろとあのボロ小屋…自分の家に向かっていく。時折スライムの方を確認したが、うまくついてきているようだ。
「この老婆の亡骸を処理して。」
家の中まで入って亡骸を指さしてスライムにそう伝えると、すぐに膝を抱えるようにして丸まって眠りについた。
終
ーーー 現在のステータス ーーー
国籍:無 名:無 種族:万喰主怠人の成り損ない 性別:肉体は女だがまだ未覚醒体のため不明。 血統:???? 年齢:5歳
魔力:30 精神力:??? 称号:無
スキル:下級スライムテイム lev1、悪食 lev6 (経口接種の毒や病に強くなる)、鋭歯 lev4 (歯がひび割れにくく鋭くなる)、耐嗅 lev8 (臭いに耐性がつく)。
ーーーーーーーーーーーーーーーー




