忘れないで上げて
「はい、ルシェ。暖まるから飲んで。」
ちょっと甘めのカフェオレを作って手渡す。
「ありがとう」
「心配してくれたのはありがたいけど、雪の降ってる森は危ないんじゃない?」
「だから来た、ロゼ一人だと危ないだろ?」
ディーヴァやクレハも居るし? なんなら手の平ーズやナディも居るし?
つんつんっ。 あ、ごめん。翁も居てくれるものね。大丈夫だと思うんだけど?
「それに今年の雪は異常だって父上が言ってた。初雪なのに積雪も多いしな。
だからこれ以上積もる前に来たんだ。母上も早く行けってうるさいし」
ん?・・・何故アルテイシアさんが急かすのかな?引き止めるなら解るんだけど。
スッと手紙が差し出された。
バルドさんから? なんだろう改まって手紙を寄越すとか。
【 可愛い娘ロゼへ
初めての冬で不安な事も多いだろうと思い ルーシエを向かわせた。
本当なら私が行きたかったのだが皆にダメ出しを喰らったんだ。
残念だけど今回はルーシエに譲るよ。
冬の間けがや病気の無いように仲良く楽しんで暮らしてくれ。
なんなら冬が終わってもずっと一緒でもいいんだぞ?ハッハッハ 】
・・・・
そう言えばラファが旅行中になんか言ってたなぁ。
でも最後の一行は無くてもいいんじゃないのかな?
「と言う事で冬の間宜しく頼む」
「宜しくね?」
まぁ皆も居るし、変に気にしなかったら大丈夫でしょ・・・
「あれ?冬の間滞在するなら荷物は?」
「あ・・・」
あ・・・? まさか持って来てないとか?
「馬ごと外に・・・」
馬?!えぇぇ・・・忘れないであげて!!
急いで外に出ると可愛そうに馬は雪だるまならぬ馬の雪像みたいになってた・・・
わぁぁぁ、ごめんよぉ。すぐに荷物卸して厩に入れてあげるからね。
急いで雪を払い荷物を運び入れた。あぁこんなに冷え切って。
「厩に連れていってくるから、ルシェは部屋に荷物運んでおいて」
部屋?・・・ え、待って? 部屋って私の寝室1つしかないわよね?
待って待って待って、一緒の寝室はだめぇぇぇぇぇ。
『 案ずるな 増築して部屋は用意してある 』
へ?いつのまに?
『 ロゼが港町に言っている間にだな 』
え?随分と準備がいいね?
『 バルドから聞いておったのでな。
むしろ部屋数が増えておったのに何故気付かぬ 』
まったく気づいてなかったよ・・・。
というかね?バルドさん、ラファやディーヴァに伝えて何故私に伝えてないかな?
ハッ、今は先に馬を厩へ連れて行かないと!
厩に連れて行ってタオルで体を拭いてやると 馬は嬉しそうにしていた。
ディーヴァ、ちょっとだけ厩を温めてあげて貰えるかな?
一応魔道具の厩用暖房器具もあるけど
さすがに待たせ過ぎたし風邪ひいたら大変だからね。
『 承知した 』
「青藍、花子 仲良くしてね?」
ぶふふんっ ンモォー
いい返事だし餌や飲み水の確認もしてから、家へと戻った。
読んで下さりありがとうございます。