ココロよりも顔が痛ひ
「おはよう 君がロゼかな?
昨晩はゆっくり眠れたようだね、顔色も良いようだ。」
うん、イケボ・・・
そうじゃなくて・・・挨拶しなきゃ。しっかりしろ私。
「おはようございます、お世話になってます。
ロゼ と名付けていただきました。宜しくお願いします」
「ああ、話はアルテイシアから聞いているよ。
私はバルド、家長でもあり国王でもあるが普段はただの狩人だ。
どうか気軽に接して欲しい。
うちの愚息たちがすまなかったね。
まったく、レディに対して気が利かないと言うか・・・」
「あ。 いえ、お気になさらず。
その・・・忘れて頂ければ十分です!」
バルドさん今サラッと国王っておっしゃいましたよね?
いやまぁアルテイシアさんとの会話から判ってはいたけど
国王様なのに狩人? あずさ2号歌っちゃうの?
ペチッと翡翠にシッポで叩かれた。
『 その狩人じゃない! 狩りをする人! ハンター! 』
あ、そうだよね。 勿論解ってたわよ、判っててボケてみただけよ。
ハハハ・・・ ハァ・・・
ジト目にならないでよ翡翠・・・
「あずさ2号とは何かな?」
ひぇっ・・・また声にでちゃってたのかぁ。
これは十分に気を付けないとマズイ気がする・・・
「お気になさらず・・・」
ラファイエくんに促されて席に着き 朝食が始まる。
ふわっふわでバターが香るバターロールに似た丸パン
プレーンオムレツにソーセージと付け合わせのサラダ
アッサリしたコンソメスープ
デザートにはフルーツたっぷりのヨーグルトが。
どれも美味しかったのに 少量しか食べれなくて残念。
軟弱だな私の胃よ・・・。
とは言え この世界の食事は元の世界と大きな違いはなさそうで安心した。
小説なんかだと ホラ まったく食文化が違ってとんでもマズ飯だったり
摩訶不思議な食事が出てきたりってのもあったから。
さすがに味噌とか醤油とかアジア系の味はないだろうけども。
だって洋服とか家具も西洋的だし?
食後はバルドさんを中心として私の今後について話し合った。
「ロゼ、君はいきなり見知らぬこの世界、この国に呼ばれて
戸惑いや不安も多い事だろう。」
「あ、いえいえ。お気遣い無く。
驚くほどに 【そっかぁ、なるようになるかな】て感じで
受け入れてる自分が居るんです。
案外図太い神経だったみたいですね私」
そう言って笑えば 皆ちょっと泣きそうな顔になってるじゃない。
あら、なんか責任感じたとかそんな感じ?
だから私は慌てて言葉を繋げた。
「数ヵ月前にね・・・
新種のウィルスが・・・新しい病気が発見されてね。
予防策も治療薬もまだ見つかってなくて
両親も兄妹も、他にも大勢の人が感染して亡くなってしまって。
私は亡くなった祖母が残した家に1人で住んでて感染を免れたんです。
近隣に民家もないような場所だったらか逆にそれが良かったのかも。
私には この虎徹と翡翠が 家族で・・・
その家族が一緒にこの世界に居るなら、まぁそれもいいんじゃないかなと。
自分の名前も思い出せないし 両親や兄弟の思い出は覚えてるのに
顔や名前はやっぱり思い出せないんですよね。
つまりは この世界で新たな人生を歩めって事じゃないのかと!」
うん、本当にそう思う。
家族と栗拾いに行った。 お花見に行った。 海水浴や川遊び。
そう言う思い出はあるのに、顔も名前もまったく・・・
綺麗サッパリ忘れてるんだよね。
だったら、これから先ここで生きていくために忘れた。
そう思い込むことにした。じゃなきゃやってらんないじゃない。
『 主は主 僕 いつも一緒 大丈夫 』
『 虎徹だけじゃ不安だニョン 私が居るから安心してニャ 主 』
虎徹と翡翠が寄り添って舐めてくれる。
ペロペロなんで可愛いものじゃなく・・・
ベロンベロン じょりじょり
あの・・・ 虎徹? 涎が凄いんだけども?
翡翠? 薄皮禿げそうなくらい痛いんだけども?
ベロベロベロベロッ
じょりじょりじょりじょりじょーりじょり
「ロゼ 大丈夫かしら?」
「微笑ましいはずなのに、なんか痛々しく見えるのは気のせいかな」
「羨ましいと思ったけどさすがにあそこまでは・・・」
『 主 主 嬉しい? 寂しくない? 』
『 虎徹 主が涎まみれになるニャ 止めるのニャ 』
『 主 喜ぶ 僕 楽しい 翡翠の 痛い 駄目 フフン 』
うん、うん解った。君達の気持ちはよぉーく解ったから。
そろそろ止めて?
まぁしんみりな雰囲気から笑いに変わったからいいか・・・よくなかった。
なんか皆の目が憐みの目になってるんだけどっ!!
ベロンベロ・・・ブシュンッ べちょっ
「「「「 ・・・ 」」」」
べちょ? べちょって言ったよね? なにこれ ちょ 鼻水じゃないよ!
「虎徹ぅぅぅぅぅぅ」
翡翠 「虎徹 なんでクシャミするのにゃ!」
べちょっ
虎徹 「翡翠の髭が鼻にこちょこちょあたったんだわんっ」
びろーん
翡翠 「虎徹が近くに来るのが悪いにゃあっち行けにゃ」
虎徹 「翡翠があっち行くんだわんっ」
ベロベロじょりじょり べろじょり びろーんっ
ロゼ 「2人共止めてお風呂に入ろうか?(-_-メ)」
虎徹 翡翠 「「やだ! 」」
読んで下さりありがとうございます