主 ニブちん パート2
宿屋のおばぁさんや定食屋の店主に挨拶を済ませいざ出発。
港町が見えなくなる場所まで歩き、その後はまた風の精霊馬に運ばれて帰る。
あの大量のお土産はクレハがマジックバックに仕舞ってくれている。便利だね。
しばらくしてラファが言っていた寄りたい場所に到着した。
そこには一面エリカが咲き乱れていて
「うわぁ、凄いね。ここだけ春が来たみたいで綺麗だねぇ」
「でしょう? ロゼに見せたかったんだ。ここで少し休憩しようよ」
癒される。
あの活気のある港町も楽しかったけど、私は人混みが得意ではないから。
やっぱりこう自然豊かな場所の方が好きかもしれない。
いや孤独が好きとかじゃないからね?
「そう言えばロゼ、冬の間兄上がそっちに住むって聞いてる?」
ぶぅぅぅっ、飲みかけてたお茶を綺麗に吹いたわよ。
あ、虹が・・・ってそうじゃない。
「聞いてないけど、どうゆう事?・・・」
「父上が話しておくって言ってたんだけど、あれ?・・・」
バルドさぁぁぁんっ、こうゆう大事な事はちゃんと話しておいてよぉー。
「初めての冬でしょ? 不慣れな事も多いだろうし不安もあるだろうからって。
母上なんかはいい機会だからしっかりロゼのハートを掴んで来いって言ってた」
ちょ、アルテイシアさん。あなた息子に何いってるの。
「まぁそれもあって今回僕とロゼの2人旅も許可が出たんだけどね」
なるほど、だからすんなりと許可がでたのね。
いや待って?そこは私の意見は?え?私何も聞いてもらってないんだけども?
「ロゼは僕との旅行、嫌だった?迷惑だった?」
「そんな事はないよ。楽しかったし沢山の思い出も出来たし。
誘ってくれて嬉しかったよ?」
「よかった。じゃぁこれも受け取ってもらえるかな?」
差し出されたのは、あのバレッタだった。
「貰ってもいいの?」
「うん、ロゼの為に作ったからね。離れていても僕を思い出して貰えるように」
ってっきりディアへのお土産かと思ってた。
こんな事なら私も何かラファに用意すればよかったなぁ。
そっか、冬の間に何か作ろう。うん、そうしよう。
「ありがとうラファ。大切にするね」
「僕が留学から戻ってくるまで忘れないでね?」
「忘れる訳ないでしょ。手紙も書くし!」
「兄上との事もだけど、僕との事も考えてくれる?」
ゲフッ 気管にクッキーの欠片が・・・ ゴホッゴホッ
「だ・・・大丈夫?」
苦しかったぁ・・・
「あのねラファ。ラファはまだ若いよね?
これから留学先で沢山の出会いがあると思う。
その中で素敵な女の子との出会いがあるかもしれないよ?」
「出会うかもしれない。でも出会わないかもしれない。
ロゼ以上に好きになれる子は出会わない気がするんだよね」
「わかんないじゃない」
「うん、先の事は解らない。でも今僕が好きなのはロゼだ。
解らない先の事を考えて今の自分の気持ちを誤魔化したくないんだ」
ラファの方が大人っぽい考えをしてる。私より精神年齢高いかもしれない。
「そっか、わかったよ。自分の気持ちがまず解らないのよねぇ。
きっと恋愛をするって気持ちになってない気もするしね?
ホラ、元は28だった訳だし?
だからまずは自分と向き合う事から始めてみるね」
「よかったぁ。否定されたらどうしようかと」
いやいや宿でも言ったけどまずはお互いを知らないとね?
家族として、兄弟として、異性として、好きって感情がどう好きなのか。
相手を知らなきゃその判断すらできないよぉ・・・
『 物事を難しく考えすぎではないか? 』
そうかな? ごく一般的、普通だと思うんだけど・・・
『 2人共を娶れば円満であろうに 』
だから何故そうなるかな、普通はね一夫一婦だって言ったよね?
『 ロゼは普通なのか? 』
え?ちょっとそれどういう事よぉ?普通でしょ?
『 普通は界渡りはせぬぞ 』
それは私のせいではないし?呼ばれた訳だし?・・・
『 普通は大樹を盆栽に変えぬぞ? 』
う・・・それは・・・私にも謎だけれども。
『 普通は精霊に好かれはしても愛されぬぞ? 』
ぶっ・・・精霊に愛されてるの?実感ないんだけど?
『 ロゼ そなたは恋愛音痴か? 』
ぶふっ そんな事はないと・・・
『ディーヴァや我から愛されておろう 』
えぇ?! そうなの?
「 何故頻繁に傍に居ると思うのだ・・・ 」
そう言われればそうよね?・・・
いやでも手の平ーズやナディだって頻繁に居るし。
あれ?フラウはそこまでじゃない気もする。おやぁ?
「 だから恋愛音痴だと言うのだ 」
確かにスキンシップは多かった気がするけど・・・。
なるほど? あれが愛情表現?? そっかぁそうだったかぁ~・・・
うん、これは恋愛音痴と言われても仕方がないのかも? アハハ・・・
「ロゼ? なんか顔赤いけど大丈夫? 熱でも出たの?」
『 なんだ、今更照れておるのか? 』
黙れクレハ! 余計に意識しちゃうじゃない!
「さぁ休憩終わり! 十分景色も楽しめたし!さっさと帰ろう!」
「え? ロゼ? 大丈夫なの?」
大丈夫大丈夫・・・。
そのまま、何事も無いふりをして帰宅する私であった。
『 主 ニブちん 』
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