走ってるつもり
あれからも私達は変わらずに仲良くお店を見て回ったりしている。
あの告白は夢だったのか、というよりもラファの対応が大人なのよね。
まぁその方がありがたいんだけどね?
クレハはクレハで毎夜ラファとお風呂に入ってご機嫌だ。
楽しそうな声が風呂場から聞こえてすっかり仲良くなっている。
『 弟とはこのような感じなのだろうか 』
すっかり気に入ったみたい。
ハッ まさかクレハ・・・
『 男色の気はないぞ 』
あ、はい。失礼しました。ハハハ・・・
『 それよりも、港の方面が騒がしい気がする 』
言われてみれば人だかりが出来てるきがする。何かあったのかな?
「ロゼ僕達も行ってみよう」
見ていたお店を出て港に向かう途中、豆狸が慌ててこっちに向かって来た。
『 愛し子大変 助けてあげて 小さな女の子 』
小さな女の子? よし豆狸案内して!
ポテポテポテ・・・
一生懸命走ってるんだとは思う、けど君足がね?みじか・・・ゲフンゲフン
指差して方向教えて!
豆狸を抱えて走り到着してみれば
真っ青な顔で倒れてる5歳くらいの少女が居た。
側でオロオロしているのは母親だろうか?取り合えず声を掛けてみよう。
「どうされました?大丈夫ですか?」
「アァ、アナタ言葉話セルノデスカ?助ケテ。娘ノ薬ヲ無クシテシマッテ」
言葉?普通に喋ってると思うんだけど・・・いや今はそれどころじゃない。
薬を無くした、持病があるって事よね?
「ラファ お医者様探して宿に連れて来て。このこ宿に運ぶわ」
「解った!」
「今お医者様を呼びに行ってもらいましたから。
ひとまず私の泊まっている宿に向かいましょう?」
「助カリマス、アリガトウゴザイマス」
母親が抱き上げようとしたけど、あらら・・・母親の方もふらついてる。
「お子さんは私が抱えますから」
母親の方はどうしよう、誰かに支えて貰ったほうがいいよね。
「どうしたんだい?」
「あ、宿屋の・・・」
ナイスタイミング! 私は事情を放して付き添いをお願いした。
私達が宿に着くのと同時にラファがお医者様を連れて来た。
部屋に運び込んで診察をしてもらった結果
「免疫過敏症だね」
それってアレルギーの事だった気がする。
症状が出たって事は何かアレルゲンに接触しちゃったて事かぁ。
「手持ちの薬を飲ませたから少しすれば落ち着くだろう。
残りの薬を調合するから誰か取りに来てくれるかい?」
「僕が行ってくるよ」
「ラファありがとう」
お医者様は滞在期間を聞いて必要分を調合してくれると言ってくれた。
「本当ニアリガトウゴザイマス」
「困った時はお互い様ですから。今日はこのままここで休んでくださいね」
宿のおばぁさんがそう申し出てくれたのよね。
料金はいらないからゆっくり休ませてあげとくれって。いい人だぁ。
夕飯は何か適当に買ってこようと思ったら
定食屋の店主さんが差し入れてくれた。
どうやらあの人混みの中にいたらしい。明日お礼に伺おう。
ラファが薬を取って来てくれ、母親に手渡してから私達は自室に戻った。
何度もお礼を言われてちょっと照れ臭かった。
そう言えば・・・豆狸は?・・・
ちゃっかり私の胸ポケットに居たわよ・・・ずっと居たの?
定食屋に戻らなくていいの?
『 心配だったから 』
そかそか、もぅ大丈夫だから安心して戻っていいよ?
『 愛し子 助けてくれて ありがとう 』
何言ってるの、教えてくれた君のお陰だよ?ありがとね。
ぴょんとポケットから飛び降りて ポテポテと走って帰っていった。
たぶん走ってたんだと思う・・・
そう言えばあの子 何で発作反応でちゃったんだろう。
『 鱗粉がわずかに着いておった。 蛾であろうな 』
この季節にまだ蛾飛んでるんだ・・・
『 貨物にでも紛れておったのだろう
あの親子の乗っておった船は南方の物だ 』
なるほど。気が付かない内についちゃったのかなぁ。
何にせよ早く元気になるといいなぁ。