これ私?
今 私の目の前には ドレスやワンピースがズラッと並べてある。
服すら持ってない私に配慮してアルテイシアさんが用意してくれた物だ。
そのお気遣いは非常にありがたいし嬉しい。
けどね?・・・
ドレスとかって着た事が無い訳ですよ。
ましてや普段ジャージやスウェットが多い私な訳ですよ。
スカート系は非常に苦手である・・・
足元スースーするし、動きにくいじゃない。
それにドレスなんかは1人で着るのが難しいと読んだ記憶があるし。
とは言え ずっとこのルームウェアっぽいので過ごすわけにもいかず・・・
一番シンプルなワンピースを選ぶことにした。
落ち着いたモスグリーンのワンピースは飾り気も無く動きやすそうだったし。
神は邪魔にならないようにシニヨンに纏めようとして
鏡に映る自分に驚いた。
え? まって? 誰これ。 これ私?
プラチナブロンドのロングヘアに 色みの無い瞳
そうV系のPVとかに出て来そうな姿が映ってるのよ・・・。
うん、ゴシック系とか絶対似合いそう。
なんとなく顔の作りは私の面影がある。そりゃそうか、私だもんね。
でもなんだろう、こっちの人に合わせてなのか
彫がちょっとだけ深くなってる気がする。
ウィッグかな?とカラコンかな?と現実逃避をしてみたけど
頭皮と眼球が痛かっただけだった。
え? つついたりしてないよ? やだなぁ・・・ アハハ・・・
まぁその内 この姿にも慣れるでしょ・・・
V系ライヴ行くために染めてカラコン入れてるんだと思えば・・・
うん、そう思い込もう。慣れろ私。ガンバレ私。
気を取り直して 髪をシニヨンに纏める。
着替え終わって準備も整った頃に ラファイエくんから声が掛かった。
「ロゼ、そろそろ朝食の時間なんだけど準備は整ったかな?」
「はーい」
返事をしてドアを開けると
ちょっと照れ臭そうな笑顔のラファイエくんが手を差し伸べてくれた。
「行こうか、案内するよ。」
なるほど、これがエスコートってやつですかね?
人生初だわー。 そりゃそうか。
現代日本じゃこんなエスコートなんてないよね。
ゆっくりと案内されながら
「ロゼ 昨夜はゆっくり眠れたかな?」
と聞かれたので素直にぐっすり眠れたと答える。
そう、あれこれ考える間もなく、本当にぐっすりと・・・
図太いんだか鈍感なんだか 私意外と凄いな アハハ・・・
そうして到着したダイニングルームには
これまたキラキラしたイケメンが座ってらっしゃった・・・
イケメンと言うか 美形一家だったわ・・・。
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