親指立てて グッ
「ねぇロゼ、冬支度が住んだら雪が降る前にもう一度港町に行かない?」
手伝いに来てくれていたラファがそう言った。
確かに、冬に美味しい魚もある。鰤とか鰤とか鰤とか・・・
『 全部鰤ではないか・・・ 』
いやだって好きなのよ、お刺身は勿論鰤大根とかさぁ。カマの塩焼きとかさぁ。
メジナだって美味しいし?カワハギだって美味しい。
・・・ 食べたくなったじゃないよ。
まぁそれらがあるとは限らないけど、冬は脂がのって美味しい魚が多いし。
「そうだねぇ、皆でまた行こうか」
「え?違うよ皆でじゃないよ。僕と2人でだよ」
ん? 2人で行くの?
「そうだよ、僕は春になったら諸外国に留学するでしょ。
だから冬になる前に2人で出かけたいなと思って」
あー、確かそんな話もしてたような。そっかぁ。
「1年間だっけ?」
「うん、色々と見て学んできたいと思ってる。
でも1年も離れるから寂しくなりそうでね。
寂しくないように思い出を作りたいなぁーって思ったんだ」
「そっかぁ。確かに寂しくなるよねぇ。
よぉし!そうならないようにいっぱい思い出作ろう!」
あれ?バルドさんとアルテイシアさんの許可は貰ったんだろうか?
ルシェとディアもよくゴネなかったなぁ。
『 ふむ では我が同行しよう 』
『 何故其方が同行するのか、我が参る 』
『 兄上は夏にも同行したのであろう?今回は我が参る 』
いやいや、そこは言い争わなくても2人共お留守番で。
『 それはならぬ。 そなた達だけでは心配ではないか 』
えー・・・大丈夫だよ。タブン・・・
どちらも引く気が無さそうだったのでジャンケンの結果、勝者クレハ。はい決定!
まずは冬支度を終わらせないとね。
貰ってきた藁で木々を囲い、畑にはお礼肥を混ぜ込んだ後に藁を蒔いておく。
ヤマブドウはジュースに、サルナシはジャムに、アケビはそのままで
マジックボックスへ入れておく。
栗は蒸した物とベーストに。胡桃は空煎りしておく。
キノコ類は乾燥させたのと そのままのとをマジックボックスへ。
パン用の小麦粉も買ってこなくちゃ。
ミルク用の牛と山羊は冬季貸出システムがあるらしくてそれを利用する事にした。
『 乳絞り まかせて! 』
ってナディが言うから安心して借りる事が出来るのよね。
しかもナディ バターもヨーグルトも作れるっていうからビックリ!
青藍や牛山羊用の干し草も用意しなきゃねと思ったら
中身がギッシリ詰まったサイロが厩の横に建ってたよ・・・
厩も牛と山羊も入れるように改良されてたし、いつの間に? ビックリだよ。
『 フォッフォッフォッフォ 』
え? まさかの翁がやったの? コクコク頷いている。凄いね翁。
親指立てて グッ そのポーズ気に入ったのね・・・
そんなこんなで(どんなだろう?)冬支度は順調に進み
いよいよ明日からラファとの2人旅に出かける。
『 我を忘れる出ない 』
あ・・・クレハもだった。ごめんて。拗ねないでぇぇぇぇ。