実演しましょうか・・・
「生の魚があんなに旨いなんてな」
ルシェはそりゃも大満足って顔をしていた。
「本当ね、あんなに脂がのってるのにアッサリしていて身はプリプリ。
今度は私も絶対お刺身にするわぁ~」
「私も!あんなに美味しいなんて。違う種類のお刺身も食べてみたい」
「それなら明日は漁港に行ってみるかい?
直接漁師から魚が買えるかもしれないよ。
買えたらあの店に持って行けば店主が捌いてくれるんじゃないかな」
それは名案だね!
私達はワクワクしながら眠りについた。 何か忘れてる気がするけど・・・
「思い出した!テンジャン買わないと!!」
朝の第一声がこれだった・・・。
虎徹と翡翠が凄く迷惑そうな顔をしてこっちを見てる・・・ごめんてば。
ささっと朝食を済ませてから漁港に出掛ける。
さすが活気があふれてるね。小型の漁船が何隻も停泊している。
水揚げもされてるみたいだねー。アチコチから威勢のいい声が聞こえる。
ディアには少し刺激が・・・・うん平気そうだね。
私たち以外の観光客も居て賑わってるのよね。
あ、あそこで手を振ってるのは昨日の豆狸? 何故ここに?
『 愛し子 こっちこっち。いいおさかなあるよ 』
いい魚?どれどれ。
示された籠を見れば・・・ふぉぉぉ!コレってハモじゃないよ!
「あれ、昨日のお客さんじゃないっすか」
あ、店主さんだ。て事はこの船は弟さんのかな?
「おはようございます、今日はハモですか?」
そう聞けばちょっと困った顔になってた。
「いやぁコレ 旨いんっすけどね。骨が多すぎで人気ないんすよ」
ん?・・・ 骨切りしてないのかな?
「骨切りすれば大丈夫じゃないです?」
「なんすかそれ?」
・・・ 知らなかったかぁ、そりゃ普通の刺身と同じ切り方じゃ骨多いよねぇ。
えーっと・・・どう説明しよう。
「道具あれば実演しましょうか?・・・」
言葉では説明無理だと思ったので実際にやって見せる事にした。
え?出来るのかって?出来るわよ!
父の趣味が釣りだったから一通りは捌けるようになったのよね。
あ、アンコウは無理!吊るし切りは難しすぎる!
漁師さんや他のお店の店主さんまで集まって・・・大注目浴びてる。
大丈夫かしら私。凄く緊張するんだけど。
とは言え、無難に実演は成功。
捌くのはヌメリをしっかり取って釘で頭を固定すれば簡単だし。
骨切りはちょっと練習が必要かもだけどね。
て事で店主さんの練習も兼ねて夕飯は全員ハモのお刺身になった。
そうこうしてる間にすっかりお昼の時間になったので
昨日同様屋台で好きな物を食べる事に。
昨日のおじさんは・・・居た居た。
「こんにちは~!」
「おう、らっしゃい。 ホラこれだがお嬢さんが知ってるのと同じかい?」
「うんうん、見た目は同じでず! 1つ食べてみても?」
と断ってからカクテキを1つ口に入れた。
はぅあぅぁ~、辛さの中にも甘みがある。これよこれ!
ウンウンと首振り人形のごとく頷くと大笑いされた。
「気に入ってくれたんならよかった。ほれ持っていきな」
「ありがとうございます! 凄く嬉しいです!」
「そんなに喜んでくれるとこっちまで嬉しくなるぜ」
お礼を言って皆の所に戻ると視線が当然の様に手元に集まる。
まぁ気になるよねぇ・・・。
「後でのお楽しみにね!」
とディーヴァに預ける。今日は予め言っておいたからマジックバックもあるのよ。
食べ終わったらカンジャン売ってるお店に行こう~っと。
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