ハマったバルドさん
「お帰りロゼ、随分とまた・・・買い込んだね?」
バルドさんちょっと引いてる気がする・・・
「ちょっと買いすぎちゃったぁ・・・アハハ・・・」
買って来た物はディーヴァが部屋に運んでくれている。
そう言えばディーヴァの姿見ても町の人達は驚いてなかったよね?
『 我の姿は通常であれば認識は出来ぬ 』
え? じゃぁ荷物が宙に浮いてた感じに見えてたの?!
『 阿呆、それでは人々が騒ぐ出あろう 』
そうだよね? え? じゃあどういう事??
『 我が触れた物も認識出来ぬ、つまりは見えておらぬ 』
なるほど。でもバルドさん達には見えてたよね?
『 森の管理者にまで認識出来なくてどうする 』
あ・・・ 確かにそうだよね。
なんか残念な子見るようなその眼は止めて貰ってもいいかな?ディーヴァ・・・
あ、そうだ。
「お父さん、夕飯なんだけどね。
精霊に教えて貰ったお店があるの、そこに行こうよ」
「ほう、精霊に教えて貰った店か」
「どんなお料理があるのかしらぁ?」
「魚のフライとか焼き魚とかお刺身があったよ」
「お刺身とは?」
「えーっと生の魚の切り身?・・・」
「「 生?! 」」
やっぱり普通はそういう反応なのね。
「新鮮なお魚だと生でも食べられるんだよ?私も故郷では食べてたし」
「そ・・・そうか」
「どんな味なのかしら、興味はあるわねぇ」
「ね?行こうよ。と言うか予約してきちゃったし」
「ロゼ姉様、予約は皆の意見を聞いてからにしないと・・・」
「そう思ったんだけどね、どうしても食べたくて。ごめんね」
ディアに呆れられてる・・・。
「まぁいいじゃないか。特に行く店も決めてなかったんだし」
やったぁ! 次からはちゃんと相談してから予約するから今回はごめん。
夕暮れになり皆のお腹もすき始めた頃、そのお店に向かった。
大通りからちょっと奥まった場所にあるんだよね。
あ、居た居た。豆狸がニコニコ手を振って待っていてくれた。
『 いらっしゃい。 来てくれてありがとう。 さぁさぁ中にどうぞ~ 』
手慣れているね豆狸くん。
こんばんは~と声を掛けて中に入る。あ、中は普通に洋風だった。ちょっと残念。
とは言ってもお洒落なのではなく庶民向けの造りよね。
ディアは当たりをキョロキョロしている。
あまり庶民向けの店には来た事がないのかな。
他の皆は慣れてるっぽかった。
「兄様達はお父様と視察で出かけるけど、私はあまり他の町にはいかないの」
確かにそっかぁ。じゃぁ今日はきっといい思い出になるんじゃないかなぁ。
「らっしゃい。注文は何にしやすか?」
「今日のお刺身は何です?」
「今日はセイゴとアジそれにタチウオもあるっすよ」
「タチウオのお刺身食べれるの?! あれって超新鮮じゃないと・・・
私それ!タチウオのお刺身定食で!」
「はいよ! 他の方々はいかがなさいやす?」
「私は焼き魚定食にしようかしら」
「「「 刺身定食で!魚はお任せで! 」」」
男性陣はお刺身に挑戦するらしい。たぶん気に入ると思う。なんとなく・・・
「私は・・・迷っちゃう。うーん・・・フライ定食にしようかしら」
ディアは悩んでフライにしたみたい。
でもこれって定食よね? パンで?それともパスタで?
「おまちどうさまっす」
と運ばれてきたのは 普通にお米のご飯だった。お米あるんだこの世界にも。
残念ながらお味噌汁は日本のとはちょっと違う。テンジャンチゲに近いだろうか。
そして箸が、橋があったぁぁぁ。皆は苦戦しそうだけども。
あぁ美味しい~。嬉しい~。刺身もプリップリ。
醤油の味はカンジャンっぽかった。これで山葵もあれば最高なのに!
「お?山葵を知ってるっすか? 食べなれてないかと付けなかったんすよ」
はい、と小皿にいれられた山葵を置いてくれた。神がいたよここに。
て、私また声にでちゃってたのね。恥ずかしい・・・気を取り直して・・・
そうこうこれよこれ、このツンとする匂い!
ちょいっと箸に取って刺身に乗せ醤油につけて・・・パクッ
んん~っ、たまらんっ。うまぁーーーーー
「そんなに美味しいの?その山葵って言うのは」
ディアがちょいとすくって口に運ぶ。
あぁぁぁ、そのままいったら・・・量も多すぎよ!
「くっ・・・むふぅー」
口を押えてるなんとも言えない表情に・・・。
「山葵はね、少量でいいんだよ・・・」
「辛いわっ。でもマスタードとも違うし。爽やかな辛さよね、癖になりそう」
そう言ってまた一口・・・だから量が多いんだってばディア~~~。
その様子を見ていた他の皆はちゃんと少量を魚にのせて食べていた。
バルドさんとルシェはすっかりハマったらしくお土産で買って帰ると言い出した。
うん、ドレッシングにも使えるし私も買って帰ろうかな。
結局お刺身は皆気に入ってくれてた。
アルテイシアさんもディアもちゃっかりバルドさんのをつまみ食いしてたのよ。
これなら帰るまでにもう1回来れそうね。
読んで下さりありがとうございます。