信楽焼?
コーヒーを手に入れてホクホクしながら他の店を見て回っていると
手の平サイズの狸と目が合った。
これがまたなんと言うか・・・信楽焼の狸みたいなデフォルト調の・・・
ちゃんと藁の笠と手に徳利もってるのよ、誰が教えたのやら。
まぁどう考えても精霊よねこれ、ちょっと風変わりだけども。
『 こんにちは愛し子。精霊王様もこんにちは 』
こんにちは、君はこの町の精霊かな?
さすがに人が多いので声には出さないで話しかけてみる。
『 うん、あっちにあるお店に住んでるんだ。良かったら覗いてみてよ 』
お?お店のお手伝い? 呼び込みしてるのかな?
じゃぁちょっと覗いてみようかな。
と案内された先にあったのは・・・
これって・・・ 定食屋? 昔ながらの定食屋よね?!
あ、ちゃんと立て看板もある! どれどれメニューは・・・
アジフライ定食 焼き魚定食 お刺身定食 日替わり定食 やっぱり定食屋だ。
って、待って?お刺身定食?! マジで?!
うわぁ・・・食べたい。けど今はまだ胃がこなれてないのよね・・・
これはバルドさんに相談して夕食にでも来たいなぁ。
『 お勧めは焼き魚定食だよ。今日はタチウオだよ 』
タチウオですって?! あぁぁ食べたい・・・
これはもぉ確定にしよう。押し切って皆を連れて来よう。絶対美味しいもん。
予約って出来るのかなぁ。
「お、お客さんかい?」
お店の中からいかにもな漁師風のお兄さんが出て来た。
「あ、すみません。お店の方ですか?」
「いや店やってんのはうちの兄貴なんだ。俺はみたまんまの漁師だ」
ガハハと豪快に笑うのが似合うねお兄さん。
「おい兄貴。お客さんっぽいぞ」
兄貴と呼ばれて出て来たのはこれまた厳つい坊主頭の・・・
カタギに見えないお兄さんだった・・・
いやいや見た目で判断したら駄目なんだけども。
「ん? なんすか、何か用っすかね?」
喋り方は軽かったよ、うん。 見た目とのギャップが・・・すごいね?
「お仕事中にすみません、あのここは予約って出来ますか?」
狸っぽい精霊にお勧めされたのだけど
凄く食べたいのにお腹がまだこなれてない事を伝えるとお兄さんは
「あー、あの豆狸に。それなら特別に予約受け付けるっすよ」
お兄さんの話によれば
あの狸の妖精(もう豆狸でいいや)は時々お客を案内してくるらしい。
「どうゆう訳だかあの豆狸が連れてくる客は皆うちの料理気に入ってくれるんす」
最初はおっかなびっくりだけど一口食べれば皆虜になるんだそうで。
でもフライや焼き魚なら抵抗なさそうなんだけど。
「刺身って言う生で食べる料理があるんすよ。
内陸部だと馴染みがないと思うんすけどね」
あ、なるほどね。確かにお刺身は生食文化がない人には勇気がいるかもしれない。
「じゃぁ6名で予約をお願いできますか? 夕食の頃合いには来ますので」
おう、任せるっす との返事も貰い一旦別荘に戻る事にした。
ちょっと買いすぎちゃったのよね。
インド綿っぽいラグとかさ・・・クッションカバーとかさ・・・
全部ディーヴァが持ってくれてるけども・・・。
『 ロゼ 買うなとは言わぬ。が それならそうと言っておいてくれ。
解っておればマジックバックを持参しておったに・・・ 』
そうよねごめん。 自分でもこんなに買うとは思わなかったのよ。アハハ・・・
読んで下さりありがとうございます。




