順応性が高いね?
もぉ何度目になるのかも解らないけど 私は えぇぇぇ と驚きの声を出す。
異世界転移って・・・
精霊の愛し子って・・・
戻れないって・・・
自分にはありえない、小説や漫画の中の話だと思ってた。
もっとパニックになったり泣いたりショボくれたりするのかと思ったのに。
案外図太いな私・・・。
いや鈍感なのかな?
それはそれでなんか嫌だな・・・
それよりも・・・
私物と言えるのが片手桶1つ?
普通 着の身着のままとかでせめて服くらいはあるよね?
文字通りの体1つで来ちゃってるじゃない・・・
なんでよりにもよって片手桶1つ・・・
いやそりゃぁ入浴中だったからだけどもさぁ・・・
なぁーんか納得いかない。
いやそれよりも・・・ あっちの世界での私の扱いどうなったんだろう?
失踪? 行方不明? まさかの突然死扱い?
ハッ・・・最悪存在自体が無かったことに?・・・
一番可能性がたないのは何だろう、やっぱり失踪か行方不明かな?
あー・・・家宅捜索とかあるのかなぁ、やだなぁ洗濯籠に洗い物入れたままだ・・・し?
待って?
虎徹ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
愛犬の虎徹 ハスキーMIX やんちゃなお年頃3歳男の子!
あのこ 洗濯物引っ張り出して(ぶちまけて)遊ぶ癖ある!
うわぁぁぁぁぁ、お願いだから大人しくしててよぉぉぉ
「 虎徹ぅぅぅぅぅ!! 」
思わず叫んでしまったら
「ぅわんっ!!」
へ?
まさかの返事が返って来た。 うん、キノセイキノセイ幻聴幻聴、居る訳・・・
あったわぁ・・・ 目の前に居たわ・・・何故に?
一瞬フリーズしたよね私、でも仕方がないと思うのよ・・・
「虎徹って言うのね、その子。
この猫ちゃんと虎徹、貴方と一緒に来ちゃったみたい。」
扉の前に これまた可愛らしい女の子が翡翠を抱いて立っていた。
えっと・・・どちらさま?
「うふふ、ノックも無しにごめんなさいね。
一緒に お茶でもと思って持って来たのだけど
虎徹ぅぅって叫び声が聞こえたから入ってきちゃった」
てへってな擬音が付きそうな笑顔で翡翠を降ろし
ドアの外からワゴンを引き入れている。
ワゴンにはティーセットと可愛く盛りつけたプチフールが乗せられていた。
女の子がデーブルにティーセットやプチフールを並べてくれているので
私はベットから降りてソファーに座った。
虎徹はさも当然と言わんばかりにソファーに上って私の横に座り
翡翠はちゃっかり膝の上をキープしている。
順応性高いね、君達・・・。
もふもふと虎徹を撫でていたら 「どうぞ」とお茶小さな包みを差し出された。
なんだろうと思いつつもまずはお茶を頂く。 うん美味しい。ハーブティーかな?
「その包みなのですが・・・」
なんだろう、言いよどんでるところを見ると嫌な予感がするんだけど。
「虎徹が咥えていたのですが
綺麗なレースが付いていたのでてっきりハンカチーフだと思って・・・」
あ・・・察し・・・。
落ち着け私。お茶を飲んで落ち着こう。 うん、拾ってくれたのが女の子でよかった。
「ルーシエ兄様が拾い上げてしまったのです・・・」
ぶほっ げほっげほっ ガフッ
最後変な音が出たのは仕方がないと思う。
盛大に吹き出しそうになったのを我慢したらお茶が鼻にはいったんだもの・・・。
さすがに女の子にお茶吹きかけるのも・・ね?
しばらく咽た後になんとか落ち着いて 虎徹を見つめれば
フッ と目をそらされた・・・。
「あの・・すぐにお母様が取り上げましたからっ!
ちゃんと洗濯も済ませてありますから・・・
その・・・
ごめんなさいね」
「いえ、あのお気になさらずに・・・
お見苦しい物を・・・
虎徹が失礼いたしました・・・」
恥ずかしい。
ルーシエくんとどんな顔して合えばいいのよ・・・。
もぅ穴があったら入りたい・・・
『 穴 掘る? 』
へ?
今の声って・・・ え? 虎徹? まさかねぇ・・・
『 僕だよ 穴 掘る? 』
ブゥゥゥゥゥッ
今度こそ盛大にお茶を吹いた。
勿論 女の子にはかからないように顔はそむけたわよ。
翡翠に思い切りかかったけどもっ。
すんごいジト目で見られてシッポがタシタシしてるけどもっ。
仕方がないじゃない、文句は虎徹に言ってよね!
翡翠 「ねぇ虎徹 ここで穴は掘ったら駄目だと思うにゃ」
虎徹 「だって主 穴があったらって言ってたわん」
翡翠 「でもここ よそ様の縄張りだにゃ」
虎徹 「あ、そうか! 先にマーキングして僕の縄張りにしないとわん!」
翡翠 「マテマテマテマテ そうじゃないにゃ!」
読んで下さりありがとうございます。




