星降りの祭り
初夏の終わり。
流星が一番多くみられる日、今日は星降りの祭りの日だ。
バルドさん達と日が暮れるのを待ってあの小高い丘に向かう。
到着するとすでに町の人達が思い思いの場所に座って語らっている。
私達も適当な場所に敷物を引いて腰を下ろす。
もっとおごぞかな雰囲気なのかと思ったけど
周囲にはちゃっかり屋台が並んでいた。さすが商売人チャンスを見逃さないね。
「星降りはもう少し後から始まるだろうから、今のうちに食べちゃいましょ」
バスケットから取り出されたのは軽食というより・・・
ちゃんとしたお弁当もどきだった。張り切ったのね料理人さん達。
私はまず串焼きから頂いた。美味しいのよねこれ。
料理長こだわりの味付けらしい。レシピは「ナイショです」と言われた。
まぁそれは仕方が無いよね。なので恋しくなったら食べに行こうと思う。
あれからボブさんの腰はすっかり良くなって
重い物は息子さん達が運んでくれてると聞かせてくれた。よかったよかった。
それにディアはお見合いの話が進んでいるのだというから驚いた。
「まだお互いに絵姿をみただけだから・・・」
と言いながらも照れているディア。その反応は好みのタイプだったのかしらね?
そっか王侯貴族は早くから婚約とか決まるんだっけ。
あれ? じゃぁルシェとラファは?
「僕達は男だからね、もう少し後でもいいかなと思ってる」
まあ男の子は急がなくていいかもだよねぇ。
それにラファは来年から近隣の国へ留学に行くのだと言う。
「俺も15の時には行ったからな。1年間他国の文化を学び交流してくるんだ」
なるほど、そうゆうのも大事だよね。国交にも繋がるんだろうし。
そんな話をしていると キラッと星が流れた。
「お、始まったみたいだぞ」
バルドさんの声に空を見上げれば・・・
大量の流れ星。 これってあれじゃない?俗にいう流星群ってやつ!
うわぁ・・・肉眼で見るのは初めてだけど圧巻だねぇ・・・
言葉を失うってこうゆう事かな。無言で魅入ってしまった。
「さぁ皆。願い事や一年の報告をしましょう?」
口に出さずとも心の中で思えばいいそうだ。じゃぁ私は亡くなった家族に。
お父さんお母さん 私異世界で若返ったの凄いでしょ?なぁんてね。
元気にしてるから心配しないでね。
妹よ、この世界妖精や精霊が居るのよ!見せたかったなぁ。
あなた、こうゆうファンタジー好きだったもんねぇ。
ちょっとお姉ちゃん私も見たい!て返事が聞こえそう。
弟よ! この世界魔法が存在するのよ!羨ましいでしょ?
あんたはゲームでもいっつも魔法使いやってたもんね。
姉貴ずりぃ!いいなぁ俺も使いたい。え?姉貴使えないの?ダッセ。
・・・・。うん言いそうだ。あんたもきっと使えないわよ!
おばぁちゃん、畑は置いて来ちゃったけど虎徹も翡翠もこっちに居るよ。
なんだか魔獣になってバージョンアップしてたわぁ。
きっとおばぁちゃんなら「そうかいそうかい」って驚かないんだろうなぁ。
ふふふ、きっと皆 〇〇が幸せならそれでいいって微笑んでくれそうだ。
私こっちでも大丈夫だから!安心して見守っててね!
『 ロゼのご家族殿 我が責任を持ってロゼを守ろう。安心なされよ 』
うわぁぁぁ ディーヴァ!耳元で囁かないで!!びっくりしたぁ・・・
ちょっとうるるっとなってた涙が驚きで引っ込んだ・・・
『 驚かせるつもりではないのだがな。すまぬ 』
毎度毎度 何故に耳元・・・。心臓に悪いから。
「そろそろ戻ろうか。夜は肌冷えするからな」
バルドさんの声で引き上げる事になった。
皆は何を願い何を報告したんだろう。
皆の願いが叶いますように・・・
その夜 家族の夢をみた。
「○○の事だから心配はしてないさ。ただ張り切りすぎるなよ」
「お姉ちゃんたらいっつも苦労しょいこむから」
「姉貴少しはお洒落しろよ?モテねーぞ?」
「○○ちゃん糠漬けは1日1回かき混ぜるの忘れないでね」
おばあちゃん?・・・ こっちに糠漬けはないのよ・・・・
やっぱり顔は見えなかったけど皆に夢で会えて嬉しかった。
読んで下さりありがとうございます。




