癖になる?
このハリモグラどうしようと思ったけど
家に着いたら勝手に降りて庭をフンフン散策し始めた。
言葉は聞こえて来ず きゅっ と言う鳴き声のみなので精霊ではなさそう。
まぁ花や作物荒らさいならご自由にどうぞ。飽きたらどっか行くだろうしね?
(と放置してたらちゃっかり巣を作って定着したのは数日後の事。)
確か割と雑食で昆虫とか葉物野菜とかヒマワリの種とか食べた気がする。
昆虫はまぁいいとして、畑を荒らされないように時々葉物野菜をあげておこう。
ヒマワリの種・・・これはちょっと待ってね?
今から植えて種が採れるのは秋口? 冬用の餌になっちゃうけど我慢して?
ハムスターやモルモットは飼った事あるけどハリモグラは無いもんなぁ。
『 僕達がお世話するよ 』
『 ちゃんとここでの暮らしを説明出来るよ 』
『 駄目な事も教えるから大丈夫だよ 』
それは助かる。 頼もしい妖精達にお任せしてしまおう。
小さな妖精達とハリモグラの会議? それを見守る虎徹。
絵本の世界みたいな場面だなぁと和んでいたけどそうじゃない。
日が暮れる前に野菜の苗受付なきゃ。せっかく貰ったんだものね。
植え付けも終わって のんびりと夕飯を食べ終わった頃ナディがやって来た。
ちゃんと玄関からこれたね、うんうん。でも次はノックも欲しいかな?
あ、ドアベル付ければいいのか。そうしよう。
「どうしたのナディ。元気ないね?」
『 牧場のじぃじ 怪我 寝てる 』
牧場の・・・ボブさんかな? 怪我ってどうしたんだろう。
明日様子見にいってみようかな。
あ、バルドさんが何か知ってるかも。
バルドさんに聞いてみてから牧場に行くかどうか決めよう。
「えぇ?! ボブさんギックリ腰やっちゃったのぉ?!」
やっぱりバルドさんは事情を知っていた。まぁ牧場主だしね?
確か家族経営だから人数は多くなかったはず。人手足りてるかな?
「お父さん、私ちょっと手伝いに行ってくる」
「え? ロゼ牧場仕事の経験はないだろう?」
「ん? 牛舎の掃除くらいは出来るよ? だから行ってくるね!じゃっ!」
えぇぇ、もう行ってしまうのかい?なんて声が聞こえたけど気にしない。
また来るから!
と牧場まで青藍で来てみれば・・・ やっぱり人手が足りて無さそう。
「こんにちは!」
「おやロゼさん。すまないね、せっかく来てくれたけど今ちょっと忙しくて」
「お気になさらず! ボブさんの事を聞いたので手伝いにきました!」
「え? でも・・・」
「搾乳とかは無理ですけど牛舎の掃除ならできますから!」
「えぇぇ・・・」
と言う訳で、牧草の収穫や搾乳作業は皆さんにお任せして 掃除を買って出た。
ふっふっふー。実はこの作業 何気に好きだったりする。
時々馬場で厩の掃除も手伝ってたしね。
まっかせなさーい!とピッチフォーク片手に奮起する。
ザクッ バサァー ザクザクッ バッサバサ
一輪車代わりの荷車に汚れた敷き藁を放り投げ片付けて行く。
その後はマルスが水魔法でジャバーと洗ってくれ
ポチくんが羽ばたきで風邪を起こして乾かしてくれる。
そこにまた新しい敷き藁を置いていく。 うん、新しい藁の匂いが心地よい。
「ロゼさん一旦休憩に・・・ってもう終わったのかい?!」
「あ、お疲れ様です! 終わりましたよー!」
そりゃ精霊と魔蜂が手伝ってくれたからね。早く終わるよね。
煎れてくれたお茶を頂いた後
ボブさんの様子を聞いたら会って行ってくれと言われたので部屋に行ってみる。
コンコンッ
「誰じゃね?」
「こんにちは。お加減いかがですか?」
「お嬢さんか。 情けない事に腰を痛めてな。見苦しい格好ですまないね」
「いえいえ、お気になさらずに。安静にしててください」
思ったより元気そうだ。でも2~3日安静にしてないとね。
ギックリ腰は無理すると癖になっちゃうんだよねぇ・・・
「これ良かったら皆さんでどうぞ」
私はお見舞いにと持って来ていた籠を渡す。
中には ベーコンとポテトのキッシュが入って居る。勿論チーズたっぷり。
無理しないでねと言って部屋を後にした。長居して疲れさせてもね。
牧場の人達にも挨拶をして帰宅する事にした。
あ、そうだ途中町によ寄ってドアベルを買って行こうっと。
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