ドヤ顔虎徹
「ねぇお母さん。お姉ちゃん困ってるよ。
困った時は助け合うんだっておじぃちゃんも言ってたよ」
デオくん、なんて良い子なんだろう。優しい子だ。
「そうねぇ。お母さんもねそう思うわよ。
自分が食べる用に少しだけ育てたいなら苗を上げてもいいかなと思ったのよ?
でもねぇ・・・。うちの苗は元気がないから育たないかもしれないじゃない」
元気がない、だからテオくんが心配してたのね。でもそれなら・・・
「あの・・・」
「ああ、ごめんなさい。私の父が農園をやっていたんだけど
先日急に亡くなってしまって私が農園を引き継ぐことになったの。
でも不慣れなせいか苗が元気なくて・・・。
やだ、ごめんなさい。こんな話をして。そうね、悩んでも仕方がないわね。
少し元気がないから無事育つかは解らないけど
それでもよかったら余っている苗持って行く?』
「あの! 苗を見せて頂く事は可能でしょうか?
もしかしたら私お役に立てるかもしれません。
ここに来るまで私も祖母と一緒に畑仕事をしていたんです。
もしかしたらまったく役に立たないかもしれませんけど。
駄目元でどうでしょう?」
つい言ってしまった。
私の知っている知識なんて本業農家さんの前では役に立たないかもしれない。
それでももしかしたら少しは役に立てるかもしれない。
苗を見てないから何とも言えないけど
テオくんもお母さんも見ず知らずの私にこうやって声を掛けてくれて
手を差し伸べてくれる。
だったら私も何かしてあげたいじゃない!
「見せるのは構わないけど・・・」
「はっ! すみません。そちらの都合も考えずに急に言い出したりして」
「いえそうじゃないのよ。ここからは少し離れた場所にうちはあるの。
お時間とか大丈夫かしら?」
「私なら大丈夫です。気ままな独り暮らしですし。馬で来てますし!」
『 主 僕の事 忘れてない? 』
忘れてないわよ・・・
「虎徹・・・犬も一緒で大丈夫でしょうか?」
「おっきいわんちゃん!」
「うちは大歓迎よ。じゃぁ是非苗を見に来てちょうだい。
私はラダ。よろしくね」
「私はロゼといいます。宜しくお願いします」
そうしてラダさんの家兼農場へ移動する事になった。
「僕わんちゃんの荷車に乗りたい!」
「だめよテオ。わんちゃんが重たいってなっちゃうわ」
大丈夫ですラダさん。私も乗った事あるので・・・
『 僕 力持ち 強い 任せて! 』
虎徹はひょいとテオくんを咥えて荷車に乗せた。
って咥えないで! ひょいと乗せないで! 襲ってると思われちゃう!
いやドヤ顔にならなくていいから!
「あらテオ。よかったわねぇ。賢いし逞しいわんちゃんね」
キャッキャとはしゃぐ姿は年相応だしかわいい。
まぁ喜んでくれてるしよしとするけど女の子にそれやっちゃだめだからね!
虎徹のサイズ感としてハスキーを一回り大きくした感じです。
十分デカイ気がしますね・・・(;´Д`)
読んで下さりありがとうございます。