怒った美形の笑顔は怖い
ん~っ 久々にぐっすり眠れた気がする。
そう、昨夜から精霊達は自分の住処へと帰っている。
ディーヴァの拳骨をくらって・・・。
「君達そろそろ自分の住処に戻った方がいいんじゃないかな?
ホラ私引っ越しの準備もあるし」
『 ロゼ 一緒 だめ? 』
『 だめ? 』
『 め? 』
うっ、3匹揃って首傾げるとか可愛いな・・・
いやいや惑わされるな私。毎回このパターンでずるずると来てるじゃない。
「いい? 皆が此処で寝ると3兄弟やバルド夫妻までが来ちゃうでしょ?
ベッドで皆が寝るのは無理よね?
そうすると床に特設ベッドを作るために侍女さんのお仕事が増えて大変でしょ?」
『でも皆楽しそうだったよ?』
『よ?』
『ね?』
「うん、そうだね。楽しそう・・・ってそうじゃない。
君達は精霊なんだよね? 今までは皆自然の中で暮らしてたんだよね?
だったら人間と適度な距離感を持って生活した方がいいんじゃないかな?
お互いに過度の干渉はしない方がいいと思うのよね?」
『 ロゼ 愛し子 普通 人間 違う 』
『 ロゼは特別だから 』
『 ロゼ しゅき 』
「普通に人間だよ?! 特別かどうかはわかんないけど!
そして好きと言われるのは嬉しいけどそれはそれで別の話になるよね?!」
だぁーかぁーらぁー。キュルンッで顔で首傾げないで!
負けそうになるから!
懐いてくれるのはありがたいし嬉しい。可愛いし、むっちゃ可愛いし。
でもね、向こうの世界でもそうだったけど共存するなら適度な距離感は必要だと思う。
そして・・・のんびりゆっくりベッドで眠りたい・・・。一人で眠りたいのよ・・・。
どう言えば納得してくれるかな、この3匹・・・。
ぶっちゃけて言う方がいいのかなぁ。
よし、そうしよう。
「正直に言おう。
私は1人でゆっくりベッドで眠りたぁーーーいっ!」
よし言ったぞぉ~!
『『『 ・・・ 』』』
な、なにその ガーン みたいな顔は!!
あ、なんか目がウルウルし始めた・・・。
その眼でじっと見ないで、見つめないでー!
私が悪いみたいじゃん・・・。うぅぅ・・・
ゴンッ ゴンッ ベシッ
ウルウル3匹の後ろに拳を振り下ろしたディーヴァが立っていた。
いつの間に・・・
『お前達、いい加減にしないか。甘えすぎだ。
さあ暇するぞ。ナディも一旦こっちに来い、よいな。
いい機会だからお前達とはじっくりと話をする事にしよう 』
微笑んではいるけど、こめかみに青筋が見えているような?・・・
怒った美形の笑顔って怖いな・・・
見なかった事にしよう。私は見なかった、見えていない、いなかった。よし。
ディーヴァは3匹の首根っこをヒョイと掴み消えていったのだった。
とまぁお陰でゆっくり眠れたんだけどね。ああ肩が軽い、首も痛くない。
お陰で今日の作業が捗りそうだ。
読んで下さりありがとうございます。
相変わらずの拙い文章ではありますが暇つぶしの1つにでもなれば幸いです。