閑話:ナディの語彙力
直接的な表現ではありませんが 下ネタっぽいものが含まれます。
笑える程度の物ですが苦手な方は飛ばしてください。
本編への影響はありません。
我はこの地に住まう精霊王ディーヴァである。
まだ生まれて日の浅いナディが
バルド家にお邪魔しているので気配を消して見守りに来たのだが。
( 僕の声 皆 届く 僕 嬉しい 残念 )
では このささやかな願いを叶えてやる事としよう。
ほんの一時だけナディの声が届くように加護を与えた。
だが加護を与えた結果が我の予想の斜め上を行くもとになるなど
思いもしなかった。
『 僕 皆 会えて嬉しい ロゼ 話す 楽しい
僕 ロゼ 初めて 頑張った ロゼ 痛かった ごめんね 』
ブホッ
ロゼとバルドは思い切りお茶を噴出した。
アルテイシアは平静を装っている、さすがだ。
『 待って?その言い方だと何か違う誤解を与えそうな気がするから! 』
誤解だと慌てるロゼだが そもそも3兄弟は何の事だか解ってはいない。
『 ロゼの初めて? 』
『 違うよ兄上。ナディの初めてじゃないかな 』
『 どちらにしても 初めての何なのかしら? 』
その疑問はもっともだ、もっともだと思うがその前にだな。
ナディ その言い回しはいかがなものか?
いやまだ日も浅く幼いから仕方がないのか?
それに3兄弟よ。 ナディの声が聞こえる事に疑問を持つべきではないのか?
『 ロゼ 次 大丈夫 痛くない 優しくする 』
ゲッホゲッホゲホッ
だからだな? ナディよ・・・ もう少し言葉をだな。
バルドがむせてしまったではないか。
『 アナタ 何を咽てらっしゃるの?
ナディちゃんはロゼを乗せて走った時に
ロゼがお尻を痛めてしまった事を言っているのよ?ねぇナディちゃん 』
『 あ、あぁ。そうだな。解っている、判ってたさ。 』
んむ、判ってなかったなこれは。
バルトがなにやらあらぬ想像をしたのも致し方あるまい。
ん? 愛し子が赤面しておるな。
そうか愛し子もあらぬ想像をしたか。
まあ我もナディの言葉だけであれば・・・んんっ ゴホン 何でもない。
『 あらぁ? そう言えば私達ナディちゃんが話す事聞こえてるわねぇ? 』
さすがはアルテイシア、気が付いてくれたか。
『 精霊王様 贈り物 くれた 少しだけ 皆 聞こえる 』
ナディ 贈り物ではなく 加護だからな?
『 まぁそうなのねぇ。少しだけでもナディちゃんの声が聞けて嬉しいわ 』
『 アルテイシアさん凄いですね。ナディの片言でよく理解できますね? 』
うむ、我もそう思う。
『 ふふふ 3人も子供を育てたんですもの。解るわよぉ 』
なるほど、確かに幼子は片言だったりもするのであったな。
元々理解力が高いのか、さすが母親と言うべきか。経験のなせる技か?
『 素敵な機会を下さった精霊王様に感謝しなくてはね 』
『 そうですね。お会いする事があれば感謝を伝えたいです 』
うむうむ、そう遠くない日に会えると思うぞ、ロゼ。
『 皆 笑顔 僕 頑張る 精霊王様 襲われてくる 』
『『『 えぇ?!! 』』』
おい、待たぬか。 それを言うなら教わるであろう!
何故に襲われるになった。
そなたの語彙力はどうなっておるのだ・・・
よかろう、きっちりみっちりと教えるとしよう。
これ以上あらぬ誤解を招いてはたまらぬ。
ディーヴァは早々にナディを連れて帰るのであった。
なおディーヴァの奮闘空しくナディの語彙力は上がらなかったらしい。
読んでいただきありがとうございます。