ルーシエと言う青年 その2
『 女性が現れました。 呼び出しは成功したと思われます 』
ルーシエの報告を受けたバルドは一言 そうか と頷いた。
気を失った女性はアルテイシアが看病に当たっている。
『 ならば目が覚め 落ち着いた頃に会うとしよう 』
そう言いながらもちょっとだけ残念そうなバルドであったのだが仕方があるまい。
疲れただろうからお前達も休みなさい と言われ各々自分の部屋へと戻る。
それなりの魔力を消費したのでルーシエは気怠さを感じていた。
女性が気が付けば母上が説明をしてくれるだろう。
そう思い 自分は明朝にでも様子を見に行こうと思った。
ベットに潜り込み目を閉じた所で思い出す。
そう言えばくしゃみをしていた、風邪をひいていなければよいのだが。
夏とは言えどもこの国は過ごしやすい気候で夜ともなれば肌寒いくらいだ。
それが一糸纏わぬ姿で・・・と思い出した所で
湯気でも出ているのではというくらいに赤面した。
非常に不本意ながらも 凝視してしまった。
これはいかん、自分の為にも彼女の為にも早く忘れねば。
そんな思いとは裏腹に なかなか寝付けずに夜が更けていくルーシエであった。
翌朝 食事の時にアルテイシアから女性の熱が下がったと聞いた2人は
一緒に様子を見に行くことにした。
まだ眠っているかもしれないとそっと扉を開けてみれば・・・
腰に手を当て ぐいっとのけぞっている女性と目があったではないか。
『「 ・・・・・・・ 』」
気まずい雰囲気が漂う中 何故そのような体勢なのかと不思議に思うルーシエ。
兄が立ち止まったのを不審に思いひょいと横から覗こうとするラファイエ。
『 兄上 なんでそんなとこで立ち止まっ・・・るよね・・・うん 』
女性の耐性を見たラファイエの言葉はなんとも微妙なものになってしまった。
だがこのまま此処で立ち尽くすわけにもいかず
茫然とした兄の背を押して一旦部屋の外へと出てみる。
外へ出た瞬間 ルーシエの背が ビクンと震えた。
『 貴方達部屋を訪れる際はまずノックをしなさいと教えなかったかしらぁ? 』
2人の頭にゴンッ ゴンッとアルテイシアの拳骨が落とされた。
華奢な見た目のアルテイシアだが意外にも拳骨の威力はあるようで
ズキズキする頭を押さえながら扉をノックするルーシエであった。
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