走る牛?!
牛の場合 装具無しで乗るらしい。
ロデオが頭に浮かんだけど、大丈夫だろうか。
「ゆっくり歩くだけで走る事はないから安心しておくれ」
って言いませんでしたかねぇぇぇぇ、ボブさんやぁぁぁぁぁ。
今走ってますよね?この牛さん・・・。
周りの景色が流れてますよねこれ・・・。
おぉぉぉぅ、気抜いたら落とされそうよこれ・・・
こっちではこれが歩くって事なんですかね?
まさけねぇ? と皆の方を見たら うん皆の牛も走ってたわ。
え? 嘘でしょ。本当にこれが歩いてるって事なの?
絶対何か違うでしょぉぉぉぉぉう・・・
『 ロゼ 楽し? 嬉し? 』
へ?
まさかこの声って・・・
『 ロゼ 喜ぶ 僕 走る 任せる 』
え? え? えぇー待って待って。牛さん待ってぇぇぇぇ
ドドドドド・・・・
スピード上がったし!
皆の方からも悲鳴だか笑いだか解らない声あがってるし!
ぅおおおおおぉぉぅ・・・
なんか可愛くない声が出たのは仕方が無いと思うの・・・
早い早い早い早い、落ちる落ちる落ちる落ちる いや落ちないけど。
内腿がいたーい! お尻がいたーい!
必死に鬣?毛を握ったけど抜けたりしないよね?
牛ってこんなに早く走れるのぉ?!
そういえばバイソンなんかは70km/h出るんだったっけ。
って いやいやそうじゃなくて。ちょっと休憩したい。お尻が限界。
『 ロゼ 痛い? 休む? 』
出来ればゆっくり戻っていただき・・・・たぁーいっ!
ズドドドドッ・・・・
うっ・・・くっ・・・
なんか変な歩き方になるのは皆同じだったみたいで
私だけじゃなくて良かった。
皆でベンチに腰掛けて溜息をつく。
牛に乗るのってこんなに疲れるものなの?・・・
「いや? 普段はもっとのんびりと歩く」
「兄上も僕も 牛がこんなに早く走るって知らなかったし」
「私・・・歩き方が戻るまで屋敷から出たくないわ・・・
もぉあちこち筋肉痛よ」
あ、よかった。普段はちゃんと歩くんだね。
じゃぁなんで今日はこんなに走ったんだろう?
『 愛し子 来た 僕 嬉しい 走る 』
そっかそっか、嬉しくてテンションあがっちゃって走っちゃったかぁ。
って、さっきから喋ってるよねきみ・・・
もしかしてもしかしなくても きみは精霊なのかな?
『 僕 ここ 生まれた 待ってた 』
なるほどぉ。
「おやおや いつの間にか嬢ちゃんの牛が精霊様と入れ替わっとるのぅ」
「え?ボブさん この子が精霊ってわかるんですかっ!」
「そりゃぁのぅ。
あんなに走って光っとれば 精霊様だと気付くわぃ」
へぇー光ってたんだ。 え? 光ってたのぉ?! 見たかったぁ・・・
「精霊様じゃなかったら 危なっかしくて止めておったわぃ」
いやいやいやいや たとえ精霊でもそこは止めて欲しかったよボブさん。
と・・・頭の上に?マークが浮かんでそうな3兄弟に説明した。
「ロゼの牛は精霊だったのか・・・」
「光りながら走るから普通の牛じゃないとは思ったけど」
「あらでも私達の牛は光ってないけど走ったわよね?」
そう言われればそうよね? 全部が精霊って訳でもないだろうし。
『 僕 加護 渡す 今だけ 走れる 皆 』
要するに3兄弟は巻き添え喰らったって事ね・・・
それを伝えると3兄弟は一瞬キョトンとしたけど笑い出した。
「そうか、精霊の加護で走り出したのか。 クククッ」
「兄上、貴重な体験が出来たね、ちょっとアチコチ痛いけど」
「でもどうせなら お尻が痛くならない加護もほしかったわ」
「「「 ・・・ 確かに! 」」」
『 ごめん 次 気を付ける 』
次?! 次は無くていいから! 走らなくていいから! 普通に歩こう?
あ、ついでに光らなくてもいいから! ね?
牛が光って走るという ちょっとしたハプニングはあったものの
私達は楽しい時間を満喫し帰路についたのだった。
アルテイシアさん以外は皆 お尻が痛かったので
ものすごーくゆっくりと帰ったのはご愛敬・・・。
バルドさんもなのかって?
本来は乗らないハズだったんだけど光り輝き走る牛って事で
精霊に頼み込んで乗せてもらってたのよねぇ。
アルテイシアさん曰く 一番はしゃいでたって(笑)
読んで下さりありがとうございます。