馬の思い出は涎まみれ?
「ロゼ 乗馬の経験はあるかい?」
唐突にバルドさんに聞かれた。
「ありますよ。頻繁にではないけれど。」
年に数回程度だけど近くの牧場に乗馬しに行ってたんだよね。
近くと言っても4km離れてたし・・・
ここ数ヵ月はコロナのせいで行けなかったけれども。
「では折角だしロゼも乗馬して出掛けるかい?」
「え?いいんですかっ!やったぁ嬉しい!」
即答だったのはご愛敬って事で。
被せなかっただけ良かったと自分を褒めてやりたい。
「では厩に行って選ぶとしよう」
と案内されて向かった厩には・・・
おぉぅ・・・大型馬だ!
フリージアンホース、デストリエ、アイリッシュドラフト
軍馬と呼ばれる大型種にも似た馬達。カッコイイ!
逞しくも美しい流線形の体 くるっとした愛らしい瞳にフサフサの絹艶な鬣
たなびく足毛もカッコイイ。 はぁぁたまらんっ!
毛色も多種多様で 長毛短毛どちらも居る。
あぁぁ、ここは馬好きの楽園ですかそうですか!目福目福!
おっと危ない、鼻息荒くなりそうになっちゃった。落ち着け私。
いいなぁ触りたいなぁ撫でたいなぁ・・・。
でも初対面で近づくのは危険よねぇ。我慢我慢。耐えろ私。
何事も最初が肝心!最初に嫌われたら後から苦労するし!
と葛藤してたら勝手に手がワキワキしてたらしく皆に笑われた。
なにしてんの私の手~~~!!
「こんなに大型馬が居ると圧巻ですねぇ」
しれーと話を振って皆の気を逸らそうと試みた。
「ロゼ、眼がキラキラして楽しそうだね」
「うん、楽しいよ。馬も好きだし。
ラファイエくんは好きじゃない?」
「嫌いでは・・ない・・・かな?」
ん? なんか歯切れが悪いし微妙な言い回しよね?
「ふふっ ラファイエ兄様はね。
幼い頃に髪の毛を食べられたのよね、お馬さんに。
だから少しだけ苦手意識があるのよねぇ、に・い・さ・ま」
あらぁ・・・そっかぁそれ経験しちゃったかぁ幼い時に。
しかもそれをすこぶるいい笑顔で言うかぁハイディアさん。
「 ベ・・・別に! 苦手では・・ないし!
成人したら乗馬するのも楽しみにしてるし!」
ん?成人するまで乗馬出来ないんだったけ?
「ああ。こっちの世界では未成年の乗馬は許可しないんだよ。
馬は賢いからね。子供だと主として認めてくれないんだ。」
あー、そう言えばそうだった気がする。
自分より格下だと思われたら主と認めてくれないんだよねぇ。
しかも大型馬だから 普通の馬よりも更に賢そうだし。
「大丈夫だよラファイエくん。
成人するまでここに通って親睦を・・・」
言いかけて私は言葉を飲み込んだ。
だってラファイエくんの頭を葦毛の子が甘噛みしてるんだもの・・・
あー、これは髪の毛を食べられてるように見えるかも・・・
「うわっ またお前か!やめろよぉ!」
また? って事は・・・
「あの馬は本当にラファイエが好きなのねぇ」
「幼いころからずっとあれだもんなぁ」
いやいや ほのぼの見てないで止めてあげようよ。
まぁ最初の頃は私も涎まみれになってたし・・・
とトオイメにになったのは仕方が無いと思う。
甘噛みは遊ぼうよ、仲良くしようよの合図だもんね。 ちょっと涎が凄いけど。
読んで下さりありがとうございます。




