変な緊張
いよいよ婚約宣誓の日がやって来た。
朝からお屋敷に来ているんだけど、そりゃもぉ私プチパニックよ?
マリーさんを筆頭にメイドさん達が張り切っちゃって・・・
いわゆるエステのフルコースを施され・・・
髪も綺麗に結い上げられてメイクもされてね?・・・
いやこの世界、化粧品なんてすこぶる希少な訳ですよ。
化粧水っぽいのは売ってるけど、白粉とか紅類なんて王侯貴族くらいしか・・・
あ、そう言えばバルド家は王族だった・・・
そんなこんなで これ私ですかって感じに化けました、ええ化けましたとも。
「ロゼ姉様準備は・・・ わぁ凄く綺麗よロゼ姉様!」
そういうディアも正装のドレスですこぶる可愛いんだけど。
「ふふ、ありがとう。ロゼも可愛いわよ」
と2人できゃっきゃしてたらバルドさんが呼びに来て
「こんなに綺麗で・・・ 嫁にはやらーん!!」
いやちょっと・・・バルドさん?
嫁にはやらんって嫁ぎ先はバルド家なんだけども?
そもそも結婚式はまだだから!婚約だから! 落ち着いて?
「お父様? 嫁にはやらんってロゼ姉様うちに嫁ぐのよ?」
「はっ、そうだった。私とした事がつい・・・」
ディアもね?まだ婚約だからね?・・・
私でこうだと、ディアの時が凄く心配になるんだけども・・・大丈夫かしら。
そして私がこの世界に降り立った場所。
あの呼び出された部屋へと足を踏み入れる。
婚約宣誓だから家族しか居ないんだけど・・・
ちゃっかりディーヴァもクレハも手の平ーズもナディやフラウまで居るよね。
『 どうせなら像ではなく我に誓えばよかろう 』
いやそうかもだけどね?
あのね、私にも一応は羞恥心ってものがね?あるのよ一応は!
こんなやり取りなんて聞こえないトマスさんに促されて宣誓が始まった。
ドキドキする・・・
「ロゼ、君の笑顔を守り共にこれからを歩む栄誉を俺にくれないだろうか?」
「ロゼ、君の人生を共に歩む栄誉を僕にくれないだろうか」
本でしか見た事無いようなプロポースの言葉だこれ・・・
きっと私は真っ赤な顔をしていると思う。
だって顔が熱いんだもの、今ならお湯も沸かせそう・・・ってくらいに。
ぼ~としてしまったけど、これ私も答えなきゃいけないのよね?
「ルーシエ、ラファイエ。貴方達の健康と笑顔を私にも守らせて欲しい
これからの長い人生と言う道を一緒に歩んでもらえるかしら」
ヒィィ、恥ずかしい!凄く恥ずかしいけども!
こう言えってアルテイシアさんにメモ渡されたんだもの・・・
いや確かに2人の健康も笑顔も護りたいんだけどもね?
これでも簡略化してあるって言うのよ、王侯貴族って大変ね・・・
ディーヴァもクレハもうんうん頷いてるし。
「「 常に君き寄り添い 共に手を取り助け合い 幸せにすると誓う 」」
「苦楽を共にし困難に直面しても共に乗り越え幸せになると誓います」
「異議のある物は今ここで申し出よ。
無ければこれ以降何人であろうとも無粋な真似をする事は認められない。
では本日これよりこの婚約は立会人の元正式に認められたものとする」
国王陛下、もといバルドさんの宣言で婚約宣誓は無事終了。
はぁぁぁ、変な緊張したぁ・・・そして疲れた。顔もまだ熱いし!
客室に戻ってドレスから普段着に着替えようとしたら、あらら?
そのまま倒れてしまった。緊張し過ぎたのかなぁ。
ええ、ええ。情けない。 医師が言うには知恵熱ですって!!!
宣誓の言葉とかアレコレ考えすぎですって!!!
やだもぉ・・・
読んで下さりありがとうございます。