包まれて眠る
あっという間に1週間は過ぎ去って
やっとあの【 あははうふふ 】な甘々から解放されたぁ~!
とは言え王子くんとディアのお見合いは
トントン拍子に進んで来年には正式に婚約が決まったのよね。
それはそれで良かったんだけども。
すっかり意気投合してたアルテイシアさんと王妃様。
冗談ではなく本気で王子くんと共に移住してきそうな勢いだった・・・
でもまぁしばらくはこれでのんびりできるわよねぇ~。
「婚約の宣誓があるぞ」
あ・・・
忘れてたよ・・・
誰か私にのんびりタイムを~、癒しをちょうだい~!
つんつんっ
ん? 翁なぁに?どうしたの?
これで落ち着け? 何これ・・・
ふぁっ これ 白檀の香木!
そう言えば以前拾って乾燥させてたんだった! 忘れてたよ!
翁~、ありがとう~。 これよこれ、この香り! くんくんっ
癒される~・・・ すぅー はぁーと深呼吸をする。
あぁぁずっと嗅いでいたい。
すぅー はぁ~ すぅ~・・・・ ぅ・・・
ルシェと目が合った。そうだ1人じゃないんだった・・・
「 それは何かの儀式か? 」
いやただの深呼吸なんだけどね?
香木に鼻近づけてるからちょっとアレだけども・・・
えーっとね。
「儀式とかじゃなくて、ちょっと香りを楽しんでいただけなのよ」
「「香り?」
「うんうん、香り。
これね、サンダルウッド、白檀とも言うんだけどね。
乾燥させた木片は香木と言われて、とてもよい香りがするのね。
勿論人其々好みがあるから、好き嫌いは別れるんだけど。
私はこの香りが好きだから、ちょっとすぅーはぁーして癒されてたのよ」
「すぅーはぁー??」
「えーっと・・・深呼吸? 深く息を吸い込む感じ?」
やってみる? と香木を差し出してみる。
「これは・・・ なんというか落ち着く匂いだな」
でしょでしょ? ほらほらずずずいと。
2人ですぅーはぁーと香りを楽しんでいたら
『『 何の儀式をしておるか 』』
ディーヴァとクレハにも言われちゃったよ・・・
いやちょっとね? 癒しを求めてね? ・・・
『 他にも香りを楽しむ物もあるのか? 』 スゥー
「ありそうだな」 ハァー
「あるよ。ハーブとか草花で作れるのもあるしこれみたいな木片のもあるし。
樹液や樹脂が固まった物からも作れたりもするし。」
『 作れるとな 』スゥー
「精製してオイルやエッセンスにしたり加工してミストウォーターにしたり
物によっては化粧水にも出来るかなぁ。
解りやすく言えばもっと香りが柔らかい香水みたいな物かなぁ。
乾燥させた花びらを使ってボプリやサシェにも出来るし」
『 ほう、それは試してみたいものだ 』
「でも精製の詳しいやり方しらないのよねぇ」
『 要するにフラワーオイルやフラワーウォーターでいいんでしょ?
私や妖精が作れるわよ? 』
何時のまに来たのフラウ!! ってちょっと待って。作れるの?!
『 やぁねぇ、忘れたのぉ?これでも私花の精霊なんだけど? 』
忘れてはないよ忘れてはないけどね?
まさか花の加工品まで作れるとは思わないじゃない!
じゃぁ婚約とかが落ち着いたらお願いしてもいいかな?
精油とかがあれば石鹸も香りがつけれるし、化粧水も作れそうだし。
簡易入浴剤も・・・わぁ夢が広がる~~!
『 ふふふ 任せて♪ 』
『 僕 ドーナツの香りがいい~ 』
『 僕は あのテリヤキとかってのがいい 』
『 プリン! 』
待て待て手の平ーズ、それ食べ物じゃないよ。
違う意味の香りの楽しみ方になってくるよね?・・・
『『『 駄目? 』』』
駄目というか、作れないと思うんだ・・・
しょぼーん・・・ くっ・・・しょぼくれた姿まで可愛いとかっ。
仕方がないなぁ。夕飯とおやつで作ってあげるからそれで我慢して!
『『『 わぁ~い! 』』』
せっかく白檀の香りに包まれて眠れると思ったのに・・・
夕飯のテリヤキの匂いが残ってしまって・・・
皆デリヤキの匂いに包まれて眠るのでしたとさ。
ぐきゅぅ~
誰、寝ながらお腹鳴らすのは!!
読んで下さりありがとうございます。