甘いわ
『 ねぇ 私達はいったい何を見せられているのかしら 』
ええ、フラウの言う事はごもっともで・・・
対面の挨拶の後 応接間で少し歓談した後
王子くんとディアは中庭にある四阿に移動したのよ。
で、私は離席をしてフラウとこっそり様子を見に来たのだけども・・・
お互いが時々チラッと顔を見ては頬を染めモジモジと俯いたまま1時間。
その間2度ほどマリーさんが紅茶を煎れ変えたものの・・・
会話はどうしたのよ・・・
私に対して行け行けGoGoだったあの勢いはどうしたのよぉ・・・
それじゃあ埒が明かないでしょと思ってたところにフラウのあのセリフなのよ。
はぁ~ と溜息が聞こえた。私のじゃないわよ?
『 私でもないわよ? 』
え?・・・
そっとあたりをうか・・・がおう ・・・ うわぁおっ!
あぶなっ 声でそうになっちゃったじゃない。
なんで王妃様とアルテイシアさんまで来ちゃってるんですかね?
「 なんでお二方がいらっしゃってるんですかっ! 」 コソコソ
「だってぇ気になるんですものぉ」ぼそぼそっ
「ねぇ?」ボソッ
いや ねぇ?じゃなくてですね・・・
『 どうするの?愛し子。これずっと見守るの? 』
と言われましても・・・ね?・・・
でも確かにこのままの状態はきつい。見てる方もきっと当の本人達も・・・
お付きの人達や侍女さん達までどうしたものかと手をこまねいている。
そりゃそうよね。
あの2人お互いが頬を染めているって事は第一印象は好ましいものだったと思う。
かと言って会話がないんだから照れ屋と言うかなんと言うか・・・
周りとしても下手に声をかけて余計に緊張させてしまったらと思うと
見守るしかなくなるのよねぇ。 うーん・・・
そう言えば王子くんは動植物が好きだと言ってたんだよね?
ねぇフラウ フラウってさ他の姿に変化とかできたりしない?・・・
『 そうねぇ リスとかハムスターくらいなら出来るわよ? 』
よし、それだぁ! ハムスターは一見鼠だから、リスでいこうリスで!
『 え? ちょっと何よ? 解るように説明してよ 』
ディアによれば応じ君は動植物が好きなんだけど
動物と触れ合う機会は中々ないんだって。
いつも図鑑を眺めて想像するだけだって聞いたから実物を目の前にすればさ
会話の突破口になるかもしれないじゃない!!
『 たしかにそうかもしれないけど、えー。私目の前でアレ見守るのぉ? 』
フラウの好きなフィナンシェ作ってあげるから!! お願い!!
『 もぉ・・・仕方ないわねぇ。バターたっぷりのにしてね 』
溜息を1つ吐いてやれやれと栗鼠の姿になったフラウは2人に向かって行った。
ひょいとテーブルに乗り王子くんを見つめ小首をかしげている。
やるなフラウ。あざと可愛いじゃないかぁ。
王子くんは驚いて腰を浮かせ前のめりになっていた。
それでもディアの前でなんとか体裁を取り繕うと頑張っているようだった。
やがて落ち着きを取り戻し、一言二言言葉を交わした後には笑顔も出始めた。
栗鼠であるフラウの頭を撫でながら、なんとか会話も続くようになったようだった。
あぁよかった。これでもう大丈夫そうかな?
フラウありがとう。適当に頃合い見計らって戻っておいで~。
程なくしてなんとも言えない表情のフラウが戻って来て変化を解いた。
どうしたの?
『 会話が・・・ 』
会話が?・・・
『 砂糖や蜂蜜よりも甘ったるく感じたのは気のせいかしら? 』
え?・・・ どんな会話だったの?
『可愛いらしいです』
『ええ、本当に愛らしいリスですわね』
『リスも可愛いですが・・・そのハイディア嬢が・・・可愛いと』
『え? ・・・ ええ? わっ私ですの?!』ポッ(真っ赤)
『いつもお手紙を読むたびに想像していたのですが・・・
それ以上にとても可愛らしくて・・・
すみません。初対面でこのような事を申し上げて・・・』ボッ(真っ赤)
『いえ、そう仰って下さりありがとうございます。(モジモジ)
殿下も・・・その素敵な方ですわ・・・』ボンッ(さらに真っ赤)
という感じの会話が続き見つめ合っては真っ赤になりモジモジが続いたんだそう。
あー・・・ね? それは甘いわ甘すぎる。と私まで何とも言えない表情になったら
「ロゼ どうしたの?なにかあったの?」
「ロゼ嬢 2人に何かあったのかしら?」
えー・・・ あの会話を私が言うのぉ? あれ再現するのぉ?・・・
保護者2人に見つめられて拒否出来る訳もなく・・・
渋々 すごーく渋々再現した私だった。
あぁ口直しにサッパリレモネードが欲しい~~~
読んで下さりありがとうございます。